一般建設業と特定建設業の違いを徹底解説 ─ 全国1,779,245件のデータで見る実態

「自社が取るべき許可は一般?特定?」「下請に出せる金額の上限は?」という疑問に、制度の解説と全国の実データの両面で答えます。

1. 結論:一般と特定の違いは「下請に出す金額」で決まる

一般建設業許可と特定建設業許可の本質的な違いは、「元請として1件の工事で下請に発注する金額」の上限です。下請として工事を受ける側は、どちらの許可でも金額の上限はありません。

区分 1件あたり下請発注額 建築一式工事の場合
一般建設業許可 4,500万円未満 7,000万円未満
特定建設業許可 4,500万円以上も可 7,000万円以上も可

つまり、「自社施工がメイン」「小〜中規模の下請しか出さない」会社は一般で十分「元請として大型工事を受け、巨額の下請契約を結ぶ」会社は特定が必須です。

2. 一般建設業許可とは

一般建設業許可は、建設業を営むうえでの標準的な許可です。500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上または延床150㎡以上の木造住宅)の工事を請け負う場合に取得します。

一般が向いている会社

ポイント

下請として工事を受ける場合、契約金額に上限はありません。1億円の下請工事を受ける一般建設業者も実在します。「一般=小規模」というイメージは誤解です。

3. 特定建設業許可とは

特定建設業許可は、元請として大型の下請契約を結ぶ場合に必要な許可です。一般より要件が厳しい理由は、下請業者を保護するため。元請が経営的に弱いと、下請への支払いが滞るリスクが高まるため、財産要件と人材要件が引き上げられています。

特定が必要になる場面

4. 一般 vs 特定 ─ 4つの違い

制度上の違いは大きく4点です。

比較軸 一般建設業 特定建設業
① 下請発注額(1件あたり) 4,500万円未満
(建築一式は7,000万円未満)
上限なし
② 営業所ごとの専任技術者 実務経験10年以上
または2級資格者など
1級資格者
または指導監督的経験5年以上の有資格者など
③ 財産的基礎 自己資本500万円以上
または500万円以上の資金調達能力
欠損が資本金の20%以下、流動比率75%以上、
資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上
④ 下請への保護義務 標準的な義務 下請代金の支払期日(50日以内)など追加義務

5. 数字で見る実態(全国1,779,245件のデータ)

当データベースに登録されている全国の建設業許可1,779,245件(2026年5月10日時点/会社数484,523社)を分析すると、一般と特定の比率は次の通りです。

区分 件数 比率
一般建設業 1,408,929件 79.19%
特定建設業 370,316件 20.81%
合計 1,779,245件 100.00%

つまり建設業許可全体の約8割は「一般」です。多くの会社は一般建設業で事業が成立しており、「特定を取らなければ一人前ではない」というのは誤った先入観です。

特定建設業の比率が高い業種TOP5

業種ごとに特定の比率は大きく異なります。下請に出す工事規模が大きくなりがちな業種ほど、特定の比率が高くなります。

順位 業種 特定件数 全体件数 特定比率
1解体工事業22,06571,00931.07%
2鉄筋工事業8,07826,00431.06%
3ガラス工事業7,96627,45629.01%
4熱絶縁工事業7,19626,44227.21%
5塗装工事業20,31175,62526.86%

解体・鉄筋といった「重機や資材を大量に扱う業種」、塗装・ガラスといった「大型工事の終盤を担う業種」で特定の比率が高い傾向が見えます。

1社あたりの平均許可数

1社あたり 平均 3.67業種

484,523社が合計1,779,245件の許可を保有 → 1社あたり平均3.67業種。最多保有は(株)愛晃(広島県)の37業種、次いで(株)増田組(静岡県)32業種(有)金沢工務店(群馬県)30業種です。

6. 自社が取るべきはどっち?判定フロー

3つの質問で簡易判定できます。

Q1. 元請として工事を請け負う予定はありますか?
NO(下請専門) → 一般で十分
YES → 次へ
Q2. 1件の工事で下請発注額が4,500万円(建築一式は7,000万円)を超える可能性がありますか?
NO → 一般で十分
YES → 次へ
Q3. 自己資本4,000万円以上、流動比率75%以上などの財産要件をクリアできますか?
YES → 特定建設業を取得
NO → 一般で受注し、下請発注額を上限内に収める運用に
判定結果に沿って、必要な業種ごとに許可申請を行いましょう。

7. よくある誤解 Q&A

Q1. 一般のままで4,500万円を超える下請を出したら?
建設業法違反となり、営業停止や許可取消の対象になります。下請契約は1件ごとに金額を確認し、上限内に収まるよう発注を分割するか、特定建設業を取得してください。
Q2. 特定の方が「ランクが上」?
いいえ。一般と特定は役割の違いであり、序列ではありません。下請として活躍する一般建設業者は、特定を取得していなくても大型工事に関わっています。
Q3. 自社施工のみ(下請発注なし)の場合は?
下請発注をしないなら特定は不要です。一般建設業のみで、契約金額の上限なく工事を請け負えます。
Q4. 同じ業種で「一般→特定」に切り替えできる?
可能です。ただし同じ業種で一般と特定の両方を持つことはできません。特定の要件(人材・財産)を満たした上で、般・特新規として申請します。
Q5. 業種ごとに一般と特定を使い分けられる?
はい。たとえば「土木は特定、内装は一般」のように、業種単位で取得区分を変えることができます。実際に複数業種を保有する会社の多くは、業種ごとに使い分けています。

8. まとめ

自社や取引先がどの区分の許可を持っているかは、当サイトの建設会社検索ページで業者名を入力して調べられます。許可業種・有効期限とあわせて確認してみてください。

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