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無許可工事は致命傷に。建設業許可申請の虚偽記載で逮捕された事例と対策

建設業許可を取得している事業者であっても、「無許可工事」や「虚偽申請」によって逮捕や書類送検される事例が後を絶ちません。2026年に入ってからも、大阪府では万博関連工事での無許可営業、仙台では虚偽の書類による許可申請で行政書士らが逮捕されるなど、建設業界を揺るがすニュースが相次いでいます。許可取得後の維持管理を怠ったり、資本金増資による許可区分変更の手続きを誤ったりすると、指名停止や行政処分だけでなく刑事責任を問われる事態に発展します。本記事では、実際に発生した虚偽申請・無許可工事の事例を詳しく解説し、建設会社が絶対に避けるべき失敗パターンと、許可区分変更時の正しい手続き方法をご紹介します。経営者として知っておくべきリスク回避策を確認しましょう。

目次

実際に起きた建設業許可違反の逮捕・書類送検事例

大阪万博関連工事での無許可営業事件

2026年初頭、大阪・関西万博の「タイパビリオン」建設工事に関連して、大阪府内の建設会社代表ら2人が建設業法違反の疑いで書類送検されました。この事件では、建設業許可を持たないまま500万円以上の工事を請け負ったことが問題視されています。

建設業法では、軽微な建設工事(建築一式工事の場合は1,500万円未満、その他の工事では500万円未満)を除き、建設業許可が必要です。しかし本件では、許可を取得していない状態で大規模工事を請け負い、さらに下請業者への発注も行っていました。万博という注目度の高いプロジェクトであったため、社会的な影響も大きく、発注者側の確認体制も問われる結果となりました。

仙台での虚偽申請による行政書士逮捕事件

2026年6月上旬、仙台市太白区の行政書士ら3人が、虚偽の書類で建設業許可申請を行った疑いで逮捕されました。この事件では、専門家である行政書士が関与していた点が特に問題視されています。

容疑内容は、建設業許可の要件を満たしていない建設会社のために、実際には存在しない技術者や資本金を記載した虚偽の申請書類を作成・提出したというものです。建設業許可申請では、経営業務管理責任者や専任技術者の配置、一定の財産的基礎(資本金や純資産額)などの要件が定められていますが、これらを偽装して申請を通そうとした悪質なケースです。

無許可工事が発覚する主なきっかけ

無許可工事や虚偽申請は、以下のような経路で発覚することが多くなっています。

  • 元請業者や発注者からの通報:工事現場での確認時に許可票の不備を発見
  • 工事トラブルからの調査:近隣住民からの苦情や工事事故をきっかけに行政調査が入る
  • 更新手続き時の整合性確認:建設業許可の更新時に過去の申請内容との矛盾が判明
  • 同業他社や元従業員からの情報提供:競合関係や労務トラブルから通報されるケース

いずれの場合も、一度発覚すると行政処分だけでなく刑事責任を問われる可能性が高く、会社の存続に関わる重大事態となります。

建設業許可の虚偽申請・無許可工事がもたらす致命的リスク

建設業許可更新に必要な申請書類

刑事罰と行政処分のダブルパンチ

建設業法違反による無許可営業や虚偽申請には、厳しい罰則が定められています。

刑事罰としては、建設業法第47条により、無許可営業の場合は3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は1億円以下の罰金)が科される可能性があります。虚偽申請の場合も同様に、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となります。

行政処分としては、以下のような段階的な処分が下されます。

  • 指示処分:違反内容の是正を命じられる
  • 営業停止処分:一定期間(通常1か月~1年)の営業が禁止される
  • 許可取消処分:建設業許可そのものが取り消される

特に許可取消処分を受けた場合、その後5年間は再度の許可取得ができません。これは事実上、建設業からの退場を意味します。

指名停止による経営へのダメージ

公共工事を受注している建設会社にとって、最も恐れるべきは指名停止措置です。

国土交通省や地方自治体は、建設業法違反を起こした業者を指名停止業者として公表し、一定期間(通常3か月~12か月、悪質な場合は24か月以上)入札参加を認めません。指名停止期間中は新規の公共工事を受注できないため、売上が急減し、経営危機に直結します。

さらに、指名停止情報はインターネット上で公開されるため、民間工事でも取引先から敬遠され、企業イメージの失墜は避けられません。過去の事例では、指名停止をきっかけに資金繰りが悪化し、破産に至った建設会社も少なくありません。

社会的信用の喪失と取引先への影響

書類送検や逮捕の事実は報道されることが多く、一度ニュースになると社会的信用は地に落ちます。

  • 既存の取引先から契約を打ち切られる
  • 金融機関からの融資が受けられなくなる
  • 優秀な人材が離職し、採用も困難になる
  • 協力業者・下請業者との関係が悪化する

特に元請として活動している場合、発注者からの信頼を失うことは事業継続の最大リスクとなります。

資本金増資と許可区分変更時の正しい手続きと注意点

一般建設業と特定建設業の許可区分の違い

建設業許可には「一般建設業と特定建設業の違いの違い許可」と「特定建設業許可」の2つの区分があります。

一般建設業許可は、下請に出す工事の総額が4,000万円未満(建築一式工事の場合は6,000万円未満)の場合に必要な許可です。財産的基礎要件として、資本金500万円以上または自己資本500万円以上が求められます。

特定建設業許可は、下請に出す工事の総額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる場合に必要です。財産的基礎要件はより厳しく、資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上、流動比率75%以上などの条件を満たす必要があります。

事業規模が拡大し、大型工事で多額の下請発注が必要になった際には、一般から特定への許可区分変更を検討することになります。

資本金増資による許可区分変更の手続き

特定建設業許可を取得するために資本金を増資する場合、以下の手順で進めます。

  1. 資本金増資の実施:株主総会決議を経て、登記変更を完了させる
  2. 変更届の提出:資本金額変更から30日以内に「変更届出書」を提出
  3. 許可区分変更申請:特定建設業許可の新規申請を行う(または更新時に区分変更)
  4. 財産的基礎の証明:増資後の財務諸表、登記事項証明書などを添付

ここで注意すべきは、虚偽の財務諸表や架空増資による申請は絶対に行ってはいけないという点です。前述の仙台での逮捕事例のように、実態のない資本金を記載した場合、発覚時には刑事責任を問われます。

許可申請時に絶対にやってはいけないこと

建設業許可の更新手続きや許可区分変更時に、以下のような不正行為は厳に慎むべきです。

  • 実在しない技術者の記載:専任技術者として実際には在籍していない人物を記載する
  • 経験年数の水増し:工事経歴や実務経験年数を実際より長く記載する
  • 財務諸表の改ざん:資本金や純資産額を実際より多く見せるために数字を操作する
  • 他社の許可証の流用:名義貸しや許可の又貸しを行う
  • 変更届の未提出:役員変更、営業所移転、技術者交代などを届け出ない

これらは一時的に審査を通過できたとしても、更新時の整合性確認や、工事現場での立入検査、トラブル発生時の調査などで必ず発覚します。発覚した場合の代償は計り知れません。

行政書士など専門家への依頼時の注意点

建設業許可申請を行政書士などの専門家に依頼する際も、依頼者側の責任は免れません。

  • 必ず信頼できる専門家を選ぶ:実績や評判を確認し、格安を謳う業者には注意
  • 虚偽記載を依頼しない:要件を満たしていない場合、正直に相談し正攻法で対応を検討する
  • 提出書類の内容を必ず確認する:専門家任せにせず、自社で内容をチェックする
  • 不審な提案には従わない:「とにかく通します」といった安易な提案は危険信号

仙台の事例では専門家自身が逮捕されましたが、依頼者である建設会社も共犯として処分される可能性があります。専門家だからといって盲信せず、自社でもコンプライアンス意識を持つことが重要です。

よくある質問

建設業許可の新規申請書類の束

Q1. 建設業許可申請で虚偽記載をするとどんな罪に問われますか?

建設業法違反により、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。また、詐欺罪や公文書偽造罪に問われる可能性もあり、会社だけでなく代表者個人も刑事責任を負います。さらに許可取消しや営業停止処分となり、5年間は再申請できなくなります。

Q2. 経営事項審査で実績を水増しした場合、後から発覚しますか?

発覚する可能性は非常に高いです。行政は契約書、請求書、入金記録などの裏付け資料を照合し、取引先への確認調査も行います。また、内部告発や取引先からの通報、税務署との情報共有により虚偽が判明するケースが多く、必ず発覚すると考えるべきです。

Q3. 技術者の実務経験を偽って申請した場合、どのように調査されますか?

行政は社会保険記録、源泉徴収票、過去の工事台帳などで実務経験の真偽を確認します。また、記載された工事の発注者や元請業者に直接照会することもあります。技術者本人への聴取も行われ、具体的な工事内容を答えられない場合は虚偽と判断されます。

Q4. 無許可で500万円以上の工事を受注した場合の罰則を教えてください

建設業法違反として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。法人の場合は両罰規定により、行為者と法人の双方が処罰対象となります。さらに、今後の許可取得が困難になり、元請業者や発注者からの信用を失い、事業継続が困難になる可能性があります。

Q5. 過去の虚偽申請が判明した場合、自主申告すれば処分は軽くなりますか?

自主申告により、行政処分が軽減される可能性はありますが、虚偽の内容や悪質性によって判断されます。速やかに所管の都道府県や国土交通省に相談し、是正措置を講じることが重要です。ただし、刑事責任は免れない場合もあるため、弁護士への相談も併せて行うべきです。

まとめ

建設業許可の虚偽申請や無許可工事は、刑事罰・行政処分・指名停止という三重の打撃をもたらし、会社の存続そのものを脅かします。実際に2026年も大阪や仙台で逮捕・書類送検事例が発生しており、決して他人事ではありません。資本金増資による許可区分変更を行う際には、正確な財務情報に基づいた適切な申請を行い、虚偽記載は絶対に避けなければなりません。また、建設業許可の更新手続きや変更届の提出を怠ることなく、常に最新の状態を維持することが求められます。専門家に依頼する場合も、依頼者自身がコンプライアンス意識を持ち、提出書類の内容を確認する姿勢が不可欠です。まずは自社の許可要件を改めて確認し、不明点があれば都道府県の建設業担当窓口に相談することから始めましょう。

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この記事を書いた人

中小建設企業の経営改善・財務強化・事業承継を専門とするビジネスアドバイザー。建設業特有の下請管理・支払サイト問題・財務諸表の見方を中心に、経営基盤の強化につながる実務情報を発信。建設業の経審(経営事項審査)と公共工事受注の仕組み、労働環境改善・働き方改革対応の最前線情報にも精通。M&A・事業承継・廃業検討中の建設会社向け情報も担当。

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