「熱中症予防計画書を作成するよう言われたが、様式が決まっているのか、どこに提出すればいいのかわからない」という中小建設会社の経営者は少なくない。毎年夏前に作成が必要なこの書類を、2026年版の記載例・チェックリスト付きで解説する。初めて作成する方でも本記事の手順に沿えば対応できる。
Q1:熱中症予防計画書とは?2026年現在の作成義務の範囲

熱中症予防計画書は、厚生労働省が公表している「職場における熱中症予防基本対策要綱」(令和3年4月改正)に基づき、事業者が作成することが求められる書類だ。法的には「義務」とされているが、罰則付きの強制義務ではなく行政指導の対象となる。
作成が求められる主な対象は以下の通りだ。
- 屋外での建設・土木作業を行う事業者(年間を通じて)
- WBGT基準値を超えるおそれのある作業場所を有する事業者
- 元請として下請業者を含む複数の作業員が働く現場の統括安全衛生管理者
建設業のほぼ全ての事業者が対象だ。会社規模(従業員数)に関係なく、現場での作業がある限り作成が必要だと考えておくべきだ。
Q2:何を記載すればいい?2026年版記載例で確認

熱中症予防計画書の様式に法的な決まりはない。ただし、厚生労働省の指針に基づけば、以下の項目を含めることが求められる。
記載必須項目(2026年版)
- ①作成日・現場名・会社名・代表者名
- ②WBGT基準値に基づく作業管理(いつ・何度で作業を制限するか)
- ③水分・塩分補給の方法と頻度(例:30分に1回、冷水・スポーツドリンクを用意)
- ④休憩場所の確保(日陰・冷房付き休憩スペースの設置)
- ⑤熱中症症状の早期発見と救急対応の手順
- ⑥健康管理(作業前の体調確認、高リスク作業員の把握)
- ⑦熱中症予防教育の実施計画(いつ・誰が・何を教育するか)
特に「②作業管理のWBGT基準値」は具体的な数値を書くことが重要だ。「暑いときは休む」では行政指導時に不十分とみなされる可能性がある。
Q3:提出先と提出タイミングは?

熱中症予防計画書は、基本的に「社内保管書類」だ。外部への提出義務は通常ない。ただし、以下の場面では提示が求められる場合がある。
- 労働基準監督署の調査時:是正勧告や事故調査の際に「計画書はあるか」と確認される。
- 元請への提出:元請から「熱中症対策計画を提出してほしい」と求められる場合がある。施工体制台帳の添付書類として含めるケースも増えている。
- 安全衛生委員会への報告:50人以上の事業場では安全衛生委員会への提案資料として活用する。
作成タイミングは「夏季(6月〜9月)の作業開始前」が最適だ。遅くとも6月第1週までに完成させ、現場に掲示することが望ましい。
計画書作成完了チェックリスト(8項目)
- □ 作成日・現場名・会社名・代表者名を記載した
- □ WBGT基準値に基づく作業中止条件を数値で記載した
- □ 水分・塩分補給の頻度と方法を具体的に記載した
- □ 休憩場所(日陰・冷房設備)の確保方法を記載した
- □ 熱中症の早期症状・緊急対応の手順を記載した
- □ 夏季前の安全教育の実施日・内容を記載した
- □ 計画書を現場事務所に掲示した
- □ 下請業者を含む全作業員に周知した
まとめ:2026年夏前に計画書を完成させる
| 記載項目 | 必須/推奨 | 記入例 |
|---|---|---|
| 作業場所・期間 | 必須 | ○○市△△ビル新築工事 / 2026年6〜9月 |
| WBGT測定の方法・頻度 | 必須 | 午前8時・11時・午後2時に現場で測定 |
| 給水・休憩の計画 | 必須 | 1時間に15分休憩・塩飴・経口補水液を常備 |
| 健康管理担当者 | 必須 | 現場所長氏名・連絡先 |
| 緊急時対応手順 | 必須 | 救急車要請フロー・近隣病院リスト |
| 服装・装備基準 | 推奨 | 空調服の支給基準・着用義務化日程 |
| 下請業者への周知方法 | 推奨 | 朝礼での読み合わせ・書面配布日程 |
- 熱中症予防計画書は法的に定まった様式はないが、7項目を含めて作成する
- 外部提出義務は基本ないが、労基署調査・元請提出に備えて社内保管する
- 6月第1週までに完成させ、現場掲示・全作業員への周知を行う
次のアクション:①本記事の7項目を参考に今日から計画書を作成する ②完成後は現場の見やすい場所に掲示する
よくある質問
Q: 熱中症予防計画書の様式は決まっていますか?
法的に決まった様式はありません。ただし厚生労働省の「職場における熱中症予防基本対策要綱」に基づき、作業管理のWBGT基準値、水分補給計画、休憩場所の確保、緊急対応手順などを含めて作成することが求められます。様式自由なので、会社独自のフォーマットで作成して構いません。
Q: 熱中症予防計画書は毎年作り直す必要がありますか?
基本的には毎年夏季前に見直し・更新することが推奨されます。前年の現場状況や法改正の内容を反映させることで、実態に即した計画書になります。同一現場で年をまたぐ長期工事の場合でも、夏季前(5〜6月)に最新内容に改訂することが望ましいです。

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