建設業の許可の更新や業種追加を、ウェブサイトで見つけた行政書士に頼むことがあります。ところが富山県では、頼んだ相手が実在しない行政書士法人で、渡された許可の通知書も偽物だった件が明らかになりました。この記事では、許可の手続きを代わりに頼む前に相手が本物かを確かめる手順と、手続きが本当に済んだかを自分で確かめる方法、社内での決め事を整理します。建設業許可の手続きを外に頼んでいる会社の担当者が、今日から使える内容です。
富山県で起きた偽の行政書士法人の件
何が起きたか
富山県の建設業者が、行政書士法人を名乗るウェブサイトに、2025年5月の許可の更新申請と、同じ年の9月の業種追加申請の代行を頼みました。業者は手数料と県収入証紙を送り、知事の名前が入った許可の通知書を受け取りました。ところが、その通知書は偽造されたもので、実際には更新の申請はされておらず、許可は失効していました。
業者が通知書の写しを国土交通省に出したことで、偽造が分かりました。富山県と北陸地方整備局は、2026年10月14日に、住所・氏名の分からない人物を公文書偽造・同行使の疑いで警察に刑事告発しました(富山県の発表)。
この件から分かること
この件で業者は、怪しい通知を受け取ったのではなく、自分から手続きを頼んでいました。相手のウェブサイトが整っていて、受け取った通知書の見た目が本物らしくても、手続きが済んだとは限りません。頼む前に相手が本物かを確かめること、頼んだ後に許可が本当に更新されたかを自分で確かめることの2つが要ります。
富山県は、行政書士に頼むときは、日本行政書士会連合会のサイトで登録を確かめ、会ったときに行政書士証票で本人を確かめるよう呼びかけています。
頼む前に|行政書士が本物か確かめる
登録と本人を確かめる
行政書士は、日本行政書士会連合会に登録しています。頼む前に、次の順で確かめます。
- 日本行政書士会連合会のサイトで、名前と事務所が登録されているかを見る
- 行政書士法人なら、法人の名前と所在地も同じサイトで見る
- 会ったとき(またはオンラインで顔を合わせたとき)に、行政書士証票を見せてもらう
- 連絡先は、相手のウェブサイトに書かれた番号ではなく、登録の情報で調べ直す
ウェブサイトだけでやり取りが完結し、事務所の所在地や本人の確認ができない相手には、許可の手続きを頼まないのが安全です。
頼んだ後に|許可が本当に更新されたかを確かめる
手続きを頼んだ後は、受け取った通知書だけで済ませず、許可が本当に更新されたかを自分で確かめます。許可は、許可を出した都道府県か国の窓口で確かめられます。許可番号や会社の名前を伝えると、許可の区分と有効期間が分かります。
- 許可の有効期間が、更新後の日付になっているか
- 業種追加を頼んだなら、足した業種が許可に入っているか
- 受け取った通知書の番号と日付が、窓口で聞いた内容と同じか
知事の許可なら都道府県、国土交通大臣の許可なら地方整備局が窓口です。国土交通大臣の許可が必要なのは、2つ以上の都道府県に営業所を置いて営業するときです(建設業法 第3条)。窓口の電話番号は、通知書ではなく、都道府県や地方整備局の公式サイトで調べ直してください。
社内で決めておくこと
支払う前に確かめる5つの項目
手数料や県収入証紙を送る前に、次の項目を確かめます。
- 相手の行政書士や法人が、日本行政書士会連合会のサイトに登録されているか
- 行政書士証票で本人を確かめたか
- 連絡先を、相手のウェブサイトではなく登録の情報で調べ直したか
- 振込の期限を急がせていないか、個人の名前の口座や不自然な口座を指定していないか
- 社長や担当者ひとりで決めず、複数の人で内容を確かめたか
手続きの後の確かめは担当を決める
- 許可の更新と業種追加の進み具合は、経理ではなく許可の管理の担当者が持つ
- 手続きが済んだと言われたら、担当者が窓口で許可の有効期間を確かめる
- おかしいと思ったら、許可を受けた行政庁と警察に相談する
いつも頼んでいる行政書士がいる会社は、その事務所に、普段やり取りしている連絡先から確かめるのが確実です。
許可の更新の期限を社内で持つ
更新の期限を予定表に入れる
建設業許可の更新は5年ごとです。期限を自社で持っていれば、頼んだ手続きが本当に済んだかを、期限の前に確かめられます。
許可の通知書の写しを社内で共有し、更新の期限を予定表に入れます。期限の半年前を目安に準備を始め、手続きの後に窓口で有効期間を確かめるところまでを1つの流れにすると、慌てずに済みます。
よくある質問
Q1. 富山県の件では何が起きたのですか?
建設業者が、行政書士法人を名乗るウェブサイトに許可の更新と業種追加の代行を頼み、手数料と県収入証紙を送りました。受け取った許可の通知書は偽造で、実際には更新されておらず、許可は失効していました。富山県と北陸地方整備局が2026年10月14日に刑事告発しています。
Q2. 行政書士が本物か確かめる方法は?
日本行政書士会連合会のサイトで登録を確かめ、会ったときに行政書士証票を見せてもらいます。連絡先は、相手のウェブサイトではなく登録の情報で調べ直します。
Q3. 手続きが本当に済んだかは、どう確かめればよいですか?
許可を出した都道府県か国の窓口で、許可番号や会社の名前から許可の区分と有効期間を確かめます。受け取った通知書の番号と日付が窓口で聞いた内容と同じかも見ます。
Q4. 支払う前に確かめる項目は何ですか?
相手の登録、行政書士証票での本人の確認、連絡先の調べ直し、振込の期限の急かしや不自然な口座の有無、複数の人での確認の5つです。どれも手数料や県収入証紙を送る前に行います。
Q5. 社内ではどんな決め事をしておくとよいですか?
許可の手続きの進み具合は許可の管理の担当者が持ち、手続きが済んだと言われたら窓口で有効期間を確かめます。おかしいと思ったら、許可を受けた行政庁と警察に相談します。更新の期限は予定表に入れておきます。
まとめ
- 頼む前に相手を確かめる:富山県では、実在しない行政書士法人に頼んだ業者が、偽造の許可の通知書を渡されていました。日本行政書士会連合会のサイトでの登録と、行政書士証票での本人の確認をします
- 頼んだ後に許可を確かめる:通知書だけで済ませず、許可を出した窓口で有効期間を確かめます
- 支払いは確かめた後に:急がせる相手こそ疑い、社内で複数の人が確かめてから決めます
まずは、自社の許可の通知書で更新の期限を確かめ、次に許可の手続きを頼むときの確かめ方を社内で決めるところから始めましょう。
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