介護保険の​住宅改修20万円|​親の家に​手すりを​付ける前にする申請

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洋式トイレの横の壁に付けた跳ね上げ式の手すり

親が要介護の認定を受けて、「トイレに手すりを付けたい」「玄関の段差をなくしたい」と考えたとき、使える仕組みが介護保険の住宅改修です。工事の費用のうち、20万円までの部分の多くを介護保険でまかなえます。

ただし、この仕組みには工事の前に市区町村へ申請しないと支給されないという大事な決まりがあります。この記事では、介護保険法と施行規則、市区町村の案内をもとに、工事を頼む家族(施主)が順番どおりに進めるためのポイントをまとめました。

目次

介護保険の住宅改修とは:20万円までの工事の多くを保険でまかなう

玄関の上がり口の壁に付けた縦の手すり
玄関の上がり口の壁に付けた縦の手すり(イメージ)

介護保険法 第45条(要支援の人は第57条)では、要介護・要支援の認定を受けた人が手すりの取付けなどの住宅の改修をしたとき、市町村が住宅改修費を支給すると定めています。支給の額は、かかった費用の100分の90が基本です。

市区町村の案内では、支給の対象になる費用の上限(支給限度基準額)は、要介護度にかかわらず20万円とされています。自己負担の割合ごとに、支給される額の上限は次のとおりです。

自己負担の割合支給される額の上限20万円の工事での自己負担
1割18万円2万円
2割16万円4万円
3割14万円6万円

20万円を超えた部分は、全額が自己負担です。20万円は1回の工事で使い切る必要はなく、上限に届くまで分けて使えます。また、市区町村の案内では、転居した場合や、介護の必要の程度が3段階以上重くなった場合(1回に限ります)に、もう一度20万円までの枠が設けられるとされています(細かい扱いは市区町村ごとに違います)。

対象になる工事は6種類

板の床の部屋に並ぶふすまの引き戸
板の床の部屋に並ぶふすまの引き戸(イメージ)

対象になる工事は、厚生労働大臣が定める次の6種類です。江東区の案内をもとに、具体例と対象外の例を並べました。

種類具体例対象外の例
手すりの取付け廊下・トイレ・浴室・玄関、玄関から道路までの通路工事を伴わない置き型の手すり(福祉用具の貸与の対象)
段差の解消敷居を低くする、スロープを設ける、浴室の床をかさ上げする置くだけのスロープや浴室のすのこ、昇降機などの動力の機械
床や通路の材料の変更畳から板の床へ、浴室を滑りにくい床へ古くなった畳や床の取替え
引き戸などへの扉の取替え開き戸を引き戸・折戸へ、ドアノブの変更、戸車の設置自動ドアの動力の部分、古くなった扉の取替え
洋式便器などへの取替え和式の便器を洋式へ洋式から洋式への取替え、温水洗浄などの機能を足すだけの工事
上の5つに付帯する工事手すりを固定する壁の下地の補強、便器の取替えに伴う給排水の工事上の5つと関係のない工事

共通しているのは、古くなったから替える工事や、新築・大きな増改築は対象外ということです。対象の工事と対象外の工事を同時にする場合は、対象の部分だけを分けて計算します。

工事の前に申請する:着工の前と完成の後の2回

自宅で高齢の女性と家族が書類を持つ人の話を聞く様子
自宅で高齢の女性と家族が書類を持つ人の話を聞く様子(イメージ)

介護保険法施行規則 第75条(要支援の人は第94条)では、住宅改修費を受け取りたい人は、住宅の改修を行おうとするときに、あらかじめ書類を出し、完成した後にもう一度書類を出すと定めています。

市区町村の案内に沿うと、順番は次のとおりです。

  1. ケアマネジャーに相談する:どこに何が必要かを、本人・ケアマネジャー・工事の会社で家を見ながら決めます
  2. 工事の会社から見積もりを取る:内訳が分かる見積書を出してもらいます
  3. 市区町村に事前の申請をする:申請書・住宅改修が必要な理由書・見積書・工事の前の写真や図面などを出します
  4. 確認の知らせが届いてから着工する
  5. 完成の後に支給の申請をする:領収書・工事の内訳・工事の後の写真などを出します

理由書は、施行規則で「介護支援専門員(ケアマネジャー)その他…専門的知識及び経験を有する者が作成する書類」とされています。だれが書けるかは市区町村によって違うので、まずケアマネジャーに相談するのが近道です。

江東区の案内では、確認の知らせが届く前に行った工事や、申請と違う内容の工事は支給の対象外と明記されています。施行規則にはやむを得ない事情があるときに後から書類を出せる定めもありますが、使える場面は限られます。「急いで先に工事だけしてしまう」のは避けてください。

親の家が子どもの名義のとき:持ち主の承諾書が要る

見落としやすいのが、家の名義です。施行規則 第75条 第3項では、住宅改修をする家の持ち主が介護保険を使う本人でない場合、持ち主が工事を承諾したことが分かる書類を付けると定めています。

  • 親が住む家が子どもの名義になっている
  • 親が賃貸の住宅に住んでいる(持ち主は大家さん)

こうした場合は、事前の申請の前に持ち主の承諾を取っておきましょう。また、対象になるのは本人が住民票(介護保険の被保険者証)の住所に住んでいる家です。入院中・施設に入っている間の工事は、原則として対象になりません。

払い方は2つ:いったん全額か、自己負担分だけか

市区町村の案内では、払い方は次の2つです。

  • 償還払い:工事の代金をいったん全額払い、後から保険の分を受け取る
  • 受領委任払い:市区町村に登録した会社に頼むと、本人は自己負担の分だけを払い、保険の分は市区町村から会社へ支払われる

受領委任払いがあるか、登録した会社がどこかは、市区町村ごとに違います。手元のお金を抑えたいときは、市区町村の介護保険の窓口で、登録した会社の一覧があるかを確かめるとよいでしょう。

工事を頼む会社の確かめ方

手すりや段差の工事は金額が小さいことが多く、建設業の許可が要らない工事に入る場合もあります。だからこそ、頼む前に会社のことを確かめておくと安心です。

  • 介護保険の住宅改修の手続き(写真・見積書の書き方)に慣れているか
  • 見積書の内訳で、対象の工事と対象外の工事を分けてくれるか
  • 建設業の許可を持っているか(許可が要る工事・要らない工事の線引きは「リフォームを頼む前に|建設業許可を確かめる3つの手順」にまとめています)

突然訪ねてきて「介護保険で手すりが付けられる」とすすめる業者には、その場で契約しないでください。訪問での契約の考え方は「突然の訪問でリフォームをすすめられたら」に、契約書で確かめる項目は「工事の契約書で確かめること」にまとめています。当サイトの建設会社名検索では、社名から許可の種類と有効期限を無料で調べられます。近くで頼める会社を探すときは、建設会社データベースで都道府県と業種から許可を持つ会社を一覧できます。

まとめ:工事の前に確かめる4つのこと

  1. 要介護・要支援の認定を受けているか、まずケアマネジャーに相談する
  2. 工事が6種類のどれに当たるか、古くなった物の取替えになっていないかを見積書で確かめる
  3. 市区町村の確認の知らせが届くまで着工しない
  4. 家の名義が本人でないときは、持ち主の承諾書を先に用意する

出典:介護保険法 第45条・第57条、介護保険法施行規則 第75条・第94条(e-Gov 法令検索)・江東区「介護保険住宅改修費の支給」(2026年9月10日更新)・北九州市「介護保険住宅改修費の支給」(2026年7月27日更新)(2026年10月13日に確認)

よくある質問

工事が終わってから申請しても、お金は出ますか?

原則として出ません。介護保険法施行規則では、住宅の改修を行おうとするときに「あらかじめ」書類を出すと定めています。市区町村の確認の知らせが届いてから着工してください。

20万円は一度に使い切らないといけませんか?

使い切る必要はありません。20万円に届くまで、何回かに分けて使えます。転居したときや、介護の必要の程度が3段階以上重くなったとき(1回に限ります)は、もう一度20万円までの枠が設けられます(細かい扱いは市区町村ごとに違います)。

自社の施工事例は、検索で見つけてもらうにはどう載せればいい? → 作成から更新まで頼めるWordPress作成代行センター

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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