住宅の​修理で​「保険で​直せる」と​言われたら|​契約の​前に​確かめること

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屋根の上で下地の板を張る職人の後ろ姿

台風や大雨のあと、突然訪ねてきた業者や電話、インターネットの広告で「火災保険を使えば、自己負担なしで屋根や雨どいを直せます」「保険金が出るように申請をサポートします」と言われることがあります。

国民生活センターには、こうした「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスの相談が多く寄せられていて、何度も注意を呼びかけています。この記事では、国民生活センターの公表と、特定商取引法・保険法の条文をもとに、契約の前に施主が確かめることをまとめました。

目次

「保険で直せる」という勧誘の相談は2019年度までの10年で約24倍に

家の軒先に付いた雨どいとたて樋
家の軒先に付いた雨どいとたて樋(イメージ)

国民生活センターの2020年10月1日の公表では、「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスの相談は、2019年度に2,684件で、2010年度(111件)の約24倍に増えたとされています(国民生活センター)。また、事業者の勧誘・契約は10月前後の秋台風のシーズンに増える傾向があるとしています。

2018年9月6日の公表では、相談の多くを60歳以上の人が占めているとされています。2026年6月29日に更新された「災害に便乗した悪質商法」のページでも、「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」と勧誘する手口の相談が寄せられていると書かれています。

公表された相談に多い4つの型

家の模型と鍵の横で書類に記入する手元
家の模型と鍵の横で書類に記入する手元(イメージ)

国民生活センターが公表した相談事例と問題点を、型ごとにまとめました。

型公表された相談の中身(要約)公表日
手数料・違約金の説明がない工事をしない場合は違約金として保険金の5割を払うと契約書に書いてあったが、契約のときに説明がなかった2020年10月1日
保険金の一部を手数料で取る「修理代を上回る保険金が受け取れる。手数料は40%だが損はない」と言われて契約した。解約を申し出たが、できないと言われた2021年9月2日
「請求の期限が迫っている」とせかす「3年前の大型台風で損害を受けているかもしれない。火災保険の請求期限が迫っている。調査は無料」と言われて契約書に署名した2021年9月2日
うその理由で請求するうその理由で保険金を請求すると言われた。壊れていない瓦を外す細工をされ「黙っているように」と言われた2018年9月6日
2020年10月1日

このほか、保険金が支払われた後に工事が始まらない、見積もりや工事がずさんだった、という相談も公表されています。

保険金の請求は、加入している人が自分でできる

さびが出た古い金属の屋根
さびが出た古い金属の屋根(イメージ)

2021年9月2日の公表は、題名で「申請サポートを受ける前に、損害保険会社に連絡を 保険金の請求は、加入者ご自身で!!」と呼びかけています。アドバイスでも、申請サポート会社に頼らなくても、保険金の請求は加入者自身で行えるとしています。

「保険で直せる」と言われたら、契約の前にまず次のことをしましょう。

  1. 加入している保険会社か保険代理店に連絡する:被害が補償の対象になりそうか、請求に何が要るかを聞きます
  2. 保険証券で契約の中身を確かめる:どんな被害が対象か、自己負担の額(免責の額)があるか
  3. 修理の見積もりは、できれば複数の会社から取る:国民生活センターの「災害に便乗した悪質商法」のページも、その場で決めず、複数社から見積もりを取って比べるよう勧めています

同じページでは、経年劣化による損傷と知りながら、自然災害などの事故による損傷として申請するなど、うその理由で保険金を請求することは絶対にやめましょうとも書かれています。保険金を請求するのは、業者ではなく保険の契約者本人です。

「請求の期限が迫っている」と言われたとき

保険法 第95条 第1項では、保険給付を請求する権利は、行使することができる時から3年間行使しないときは時効によって消滅すると定めています。国民生活センターの公表に「3年前の大型台風」「請求期限まで半年を切った」(「災害に便乗した悪質商法」のページ)という勧誘が載っているのは、この期間を使ってせかす手口と読めます。

ただ、請求できる期間や手続きは、保険の契約(約款)でも決められています。期限が気になるときこそ、業者ではなく加入している保険会社に直接、いつまで請求できるかを聞いてください。2021年9月2日の公表でも、「請求期限が迫っている等の勧誘やインターネット広告をうのみにせず、安易に契約しないようにしましょう」としています。

自宅で契約したら:8日以内ならクーリング・オフができる場合がある

業者が自宅を訪ねてきて、その場で申込みや契約をした場合は、特定商取引法の訪問販売(第2条 第1項)に当たることがあります。訪問販売では、第9条 第1項により、法律で決まった書面を受け取った日から数えて8日を経過するまでは、書面または電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)ができます。業者がうその説明をしたり、おどしたりしてクーリング・オフをさせなかった場合などは、8日を過ぎてもできることがあります。

項第9条の決まり
2項クーリング・オフは、通知を発した時に効力が生じる
3項業者は、クーリング・オフに伴う損害賠償や違約金を請求できない
5項すでに役務(サービス)が提供されていても、その対価を請求できない
6項業者が受け取ったお金は、速やかに返さなければならない
8項これらに反する、申込んだ人に不利な特約は無効

一方で、第26条 第6項 第1号により、自分から「自宅で契約したい」と業者に求めて行われた訪問販売には、第9条が当てはまりません。点検や見積もりのために呼んだだけなら、これに当たらないことがあります。また、クーリング・オフをしたら「手数料は支払うように」と言われた相談(2018年9月6日公表)もあります。自分の契約がクーリング・オフできるか分からないときは、8日を過ぎる前に、消費者ホットライン188で近くの消費生活センターに相談してください。

修理を頼む会社の確かめ方

保険の請求と修理の工事は、別々に考えるのが基本です。修理を頼むときは、次の点を確かめましょう。

  • 見積書に、修理する場所・数量・単価が書かれているか(「一式」だけになっていないか)
  • 保険金の額によって工事の中身や金額が変わる契約になっていないか、違約金の定めがないか
  • 建設業の許可を持っているか

契約書で確かめる項目は「工事の契約書で確かめること」にまとめています。当サイトの建設会社名検索では、社名から許可の種類と有効期限を無料で調べられます。近くで頼める会社を探すときは、建設会社データベースで都道府県と業種から許可を持つ会社を一覧できます。

まとめ:「保険で直せる」と言われたら確かめる4つのこと

  1. その場で契約せず、まず加入している保険会社か保険代理店に連絡する
  2. 保険金の請求は自分でできる。申請サポートの手数料・違約金の定めを書面で確かめる
  3. 経年劣化を災害の被害として申請するなど、うその理由での請求には絶対に乗らない
  4. 自宅で契約してしまったら、書面を受け取った日から8日以内にクーリング・オフを検討し、迷ったら188に相談する(8日を過ぎていても、まず188へ)

出典:国民生活センター「「保険金を使って住宅を修理しませんか」がきっかけでトラブルに!」(2018年9月6日公表)・「「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」(2020年10月1日公表)・「保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!」(2021年9月2日公表)・「ご用心 災害に便乗した悪質商法」(2026年6月29日更新)、特定商取引に関する法律 第2条・第9条・第26条、保険法 第95条(e-Gov 法令検索)(2026年10月13日に確認)

よくある質問

申請サポートの会社に頼まないと、保険金は出ませんか?

そんなことはありません。国民生活センターは、申請サポート会社に頼らなくても、保険金の請求は加入者自身で行えるとしています。まず加入している保険会社か保険代理店に連絡してください。

古くなって傷んだ屋根も、保険で直せますか?

補償の範囲は保険の契約ごとに違うので、加入している保険会社に確かめてください。国民生活センターは、経年劣化による損傷と知りながら自然災害などの事故による損傷として申請するなど、うその理由で保険金を請求することは絶対にやめるよう呼びかけています。

この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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