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令和6年建設業法改正で何が変わった?2026年の実務対応ガイド|一般・特定建設業の許可要件

建設現場の安全確認

「うちの会社は一般建設業許可でいいのか、それとも特定建設業許可が必要なのか」——この判断に迷っている建設会社の経営者や事務担当者は少なくありません。2024年6月に公布された建設業法改正(令和6年法律第49号、いわゆる第三次・担い手3法)は、2024年9月・12月の二段階にわたって主要部分が施行されました。2026年5月現在、多くの改正項目はすでに「施行済み」の段階に入っています。

2026年6月の実務で今問われているのは「知っているか」ではなく「対応済みか」です。特に資材高騰時の契約書変更条項は2024年12月に施行済み。まだ既存の請負契約書ひな形を更新していない会社は、今すぐ対応が必要です。また、処遇改善の一部(労務費目安の義務化等)は令和7年12月13日までに施行予定で、準備期限が迫っています。本記事では一般建設業・特定建設業の許可要件の基本を整理したうえで、2026年5月時点の改正施行状況と、残り施行項目への実務対応を解説します。

目次

一般建設業と特定建設業の基本的な違い

許可区分を分ける決定的な判断基準

一般建設業と特定建設業の最大の違いは、発注者から直接請け負った1件の建設工事について、下請け契約の合計金額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)になるかどうかです。この金額基準を超える下請け発注を行う場合は、特定建設業許可が必要です。

注意すべきは、この判断が「1件の工事ごと」に行われる点です。年間の下請け発注総額ではなく、個別の工事案件ごとに判定します。例えば、5,000万円の建築工事を受注し、そのうち4,500万円を下請けに発注する場合、特定建設業許可がなければ法令違反となります。

一方、下請け工事金額がこの基準未満であれば、一般建設業許可で対応できます。多くの地域工務店や中小規模のリフォーム会社は、一般建設業許可で事業を展開しています。

許可要件の違いが実務に与える影響

一般建設業と特定建設業では、許可を取得するための要件が大きく異なります。特に財産的基礎要件と専任技術者の資格要件に差があります。

財産的基礎要件については、一般建設業が「自己資本500万円以上」または「500万円以上の資金調達能力」であるのに対し、特定建設業は「欠損比率が20%以内」「流動比率75%以上」「資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上」という4要件をすべて満たす必要があります。

専任技術者の要件も異なります。一般建設業では実務経験10年または国家資格者で対応できますが、特定建設業では1級施工管理技士や技術士などの上位資格保有者、または指導監督的実務経験を有する者が必要です。

令和6年建設業法改正の施行状況(2026年5月時点)

令和6年6月14日公布、令和6年法律第49号(第三次・担い手3法)の施行は3段階に分かれています。出典:国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」(最終更新2025年6月17日)。

施行時期 主な内容 2026年5月現在の状況
令和6年9月1日(施行①) 処遇確保の努力義務化、週休2日の取組状況の把握・公表 ✅ 施行済み(約8ヶ月経過)
令和6年12月13日(施行②) 資材高騰時の代金変更条項を契約書法定記載事項に追加(建設業法19条改正) ✅ 施行済み(約5ヶ月経過)
令和7年12月13日まで(施行③) 労務費目安の設定・義務化、処遇改善の残り部分 未施行(施行まで約7ヶ月)

2026年6月の実務担当者が最初に確認すべきは「施行②(2024年12月)に対応した請負契約書への更新が完了しているか」。次いで「施行③(令和7年12月)に向けた労務費見直しの準備が進んでいるか」です。

令和6年建設業法改正の3本柱——2026年5月時点の実施状況

ポイント1:処遇改善——施行①済み、労務費義務化は令和7年12月を待つ

施行①(令和6年9月1日)により、建設業者に処遇確保が努力義務として課されました。国土交通省が各社の取り組み状況を調査・公表する仕組みが動いており、「対外的に説明できる処遇改善の取り組み」が求められる段階にあります。

2026年5月現在で未施行の核心部分——中央建設業審議会による「労務費の目安」設定

これまで技能者への労務費の相場観が不明確だったために、下請け工事での労務費削減が常態化してきました。今回の改正では業種別・地域別の労務費目安を中央建設業審議会が公式に設定・公表することが定められています。この義務化部分は施行③(令和7年12月13日まで)に含まれており、2026年5月現在まだ施行前です(出典:国土交通省公式ページ)。

ただし、施行③は令和7年12月13日が期限——つまり2025年末には施行される見通しです。労務費目安が確定すれば、目安を著しく下回る発注は是正指導の対象になる可能性があります。

経営者として今すぐ取り組むべきこと(施行③対応):

  • 自社が下請けに支払っている労務費単価の棚卸しを今から始める
  • 元請けからの発注単価が将来の目安を大幅に下回っていないか確認する
  • 処遇改善の取り組みを記録・文書化しておく(施行①対応の継続)

ポイント2:資材高騰による労務費へのしわ寄せ防止——施行②は済んでいます。契約書は更新済みですか?

2024年12月13日の施行②から約5ヶ月が経過しました。この改正では資材高騰に伴う請負代金等の変更方法を契約書の法定記載事項に追加しました(建設業法19条改正)。

施行②対応のチェックポイント(2026年5月現在):

  • 2024年12月13日以降に締結・更新した請負契約書に「資材価格高騰時の代金変更条項」が盛り込まれているか
  • 社内のひな形・書式を更新していない場合は、現在進行中の工事契約にも法令違反のリスクがある
  • 国土交通省が公表している「建設工事標準請負契約約款」最新版(令和6年12月改定)を確認し、自社書式に反映すること

元請け・下請けどちらの立場でも、この条項のない契約は両者に不利です。資材価格が再び高騰した場合の代金交渉根拠が契約書にないと、受注者側が全リスクを被ることになります。

ポイント3:働き方改革——上限規制適用から2年。実態を把握できていますか?

2024年4月1日から建設業にも時間外労働の上限規制(年720時間・月100時間未満等)が適用されました。2026年4月でちょうど適用2年が経過した節目です。

令和6年建設業法改正(施行①・③)では、この働き方改革の定着を図るための体制整備が盛り込まれています。週休2日の取り組み状況の把握・公表が義務化されており、2026年現在は「把握・公表を実施しているか」が問われる段階です。

適用2年経過後の実務確認リスト:

  • 2024年4月以降の現場別残業時間の記録が取れているか
  • 年720時間の上限を超えている社員・職人がいないか
  • 工期設定の段階で週休2日を前提とした人員計画が組めているか
  • 「工期が短すぎる」「無理な受注をせざるを得ない」状況が続いている場合は、受注段階での価格・工期交渉力の強化が急務

自社に必要な許可区分を判断する実践的チェックポイント

下請け工事金額の判断基準を具体例で理解する

自社が特定建設業許可を必要とするかどうかは、実際の受注工事の内容から判断します。

ケース1:マンション大規模修繕工事
受注金額8,000万円の建築一式工事を元請けとして受注し、塗装工事に3,500万円、防水工事に2,000万円を下請け発注する場合、下請け合計額は5,500万円です。建築一式工事の基準は6,000万円なので、この場合は一般建設業許可で問題ありません。

ケース2:商業ビル新築工事
受注金額1億5,000万円の建築一式工事で、電気工事に4,000万円、設備工事に3,500万円を下請け発注する場合、下請け合計額は7,500万円となり6,000万円を超えます。この場合は特定建設業許可が必要です。

ケース3:専門工事の元請け
塗装工事を5,000万円で元請け受注し、足場工事に1,500万円、下地処理に1,000万円を下請け発注する場合、下請け合計額は2,500万円です。建築一式以外の工事基準は4,000万円なので、一般建設業許可で問題ありません。

成長段階に応じた許可戦略の考え方

建設会社の成長段階によって、必要な許可区分は変化します。創業期の工務店や専門工事会社は、まず一般建設業許可を取得し、実績を積むのが一般的です。

事業拡大に伴い大型案件を受注するようになり、下請け発注額が基準を超える見込みが出てきたタイミングで、特定建設業許可への変更を検討します。また、業種ごとに許可を取得できるため、主力業種は特定建設業、その他の業種は一般建設業という組み合わせも可能です。

許可申請・更新で見落としやすい注意点

更新申請のタイミングと必要書類

建設業許可の有効期間は5年間です。更新申請は有効期間満了日の3か月前から30日前までに行う必要があります。この期間を過ぎると、許可が失効し、再度新規申請が必要になるため注意が必要です。

更新申請時には、財務諸表、納税証明書、社会保険加入証明書類、専任技術者の資格証明書類などの提出が求められます。特に社会保険関連書類の確認が求められているため、保険料の滞納がないことを事前に確認してください。

決算変更届(事業年度終了報告)を毎年提出していない場合、更新申請が受理されない可能性があります。日頃から適切な届出を行うことが重要です。

変更事項が発生した場合の届出義務

許可取得後に、商号、所在地、代表者、役員、資本金、専任技術者などに変更があった場合は、変更届の提出が義務付けられています。

  • 2週間以内の届出が必要:経営業務管理責任者や専任技術者の変更
  • 30日以内の届出が必要:商号、所在地、資本金、役員などの変更

特に専任技術者の退職は許可要件に直結するため、後任者の配置と速やかな変更届が必要です。届出を怠ると、許可取消しの対象となる可能性があるため、人事異動の際は建設業許可への影響を必ず確認しましょう。

また、M&Aや合併により建設会社を買収・統合する場合、許可の承継手続きが必要になります。建設業法では、一定の要件を満たせば許可を引き継げる制度がありますが、手続きが複雑なため、専門家への相談をおすすめします。

まとめ

  • 令和6年建設業法改正の3本柱「処遇改善」「資材高騰対策」「働き方改革」のうち、施行①②はすでに施行済み(2024年9月・12月)
  • 一般建設業と特定建設業の判断基準(4,000万円・6,000万円)は改正後も変更なし
  • 施行③(令和7年12月13日まで)の労務費義務化まで残り約7ヶ月——今から準備が必要

2026年6月 実務対応チェックリスト(今すぐ確認)

優先度 対応項目 期限
🔴 緊急 2024年12月以降の請負契約書に資材高騰時の代金変更条項が入っているか確認 即時対応
🔴 緊急 現在有効な全ての請負契約書ひな形の更新(国土交通省「建設工事標準請負契約約款」最新版を参照) 即時対応
🟡 準備 自社の労務費単価の棚卸し(施行③の労務費目安設定に備える) 令和7年12月13日まで
🟡 準備 処遇改善の取り組みを記録・文書化(施行①の努力義務に対応) 継続実施
🟢 確認 2024年4月以降の残業時間記録・年720時間上限の遵守確認 定期確認

次にとるべきアクション

  1. 自社の請負契約書ひな形を今すぐ確認し、建設業法19条(資材高騰対策)への対応が漏れていれば法律事務所または行政書士に相談する
  2. 中央建設業審議会の労務費目安の公表動向を国土交通省サイトで定期的にチェックする(令和7年末までに公表・施行予定)
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