「建設業法が改正されたけれど、うちの管工事業にどう影響するのか整理できていない」という経営者の方は少なくないでしょう。令和6年建設業法改正(令和6年法律第49号)は2025年12月12日に主要規定が施行されており、管工事業を含む建設業全般に幅広い変更をもたらしています。本記事では、管工事業経営者が今確認すべき改正の要点を整理し、2026年版の実務対応チェックリストとしてまとめています。
令和6年建設業法改正の概要——2025年12月12日に施行済み
今回の改正は「第三次・担い手3法」の建設業法部分
令和6年建設業法改正は、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第49号)」として2024年6月14日に公布されました。主要規定の施行日は2025年12月12日(令和7年12月12日)です(一部の処遇改善関連規定はそれ以前に施行)。
改正の3本柱は①労働者の処遇改善、②資材価格の高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止、③働き方改革と生産性の向上です(①担い手の確保・②生産性の向上・③地域における対応力強化は令和元年の改正)。管工事業経営者にとって特に影響が大きいのは、技術者の兼任・専任の見直しと労務費・処遇改善に関する規律の強化です。
なお、「経営業務管理責任者の経験年数が短縮された」という情報を目にする場合がありますが、これは令和2年(2020年)改正の内容です。令和6年改正(2025年12月12日施行)では、経営業務の管理責任者の要件は変わっていません。混同しないよう注意が必要です。
管工事業に直接影響する主な変更点

確認:経営業務の管理責任者の要件(2020年10月の改正のまま・今回の改正では変わらない)
改正前は、建設業許可の要件として「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者(いわゆる経営業務管理責任者=経管)」を常勤役員等の中に置くことが義務付けられていました。経管には建設業の役員経験年数(原則5年、緩和要件で一定の組み合わせ等)が求められており、事実上「適格な個人を経管として特定すること」が許可維持の前提でした。
この「適格な個人を経管として置く」形は、2020年(令和2年)10月の改正で見直されました。常勤役員等に一定の経験がある者を置くか、常勤役員等とそれを補佐する者(財務管理・労務管理・業務運営の経験者)の体制で満たす形も認められています。令和6年改正(2025年12月12日施行)は、この要件を変えていません。今の要件のまま、次回の更新や変更の届出に備えてください。
管工事業経営者にとって重要な実務上の変化としては、以下が挙げられます。
- 申請の様式は改められることがあるため、申請の前に最新の手引きと様式を確かめること
- 詳細な要件・申請様式については、各都道府県の建設業担当窓口または国土交通省地方整備局に最新情報を確認すること
経営業務の管理責任者の要件の詳しい整理は、当サイトの関連記事「令和6年改正も施行済み——経営業務管理責任者の要件を2026年版に総整理」も参照してください。
変更点1:労務費・処遇改善に関する規律の強化
管工事業を含む建設業全体で、労務費の適切な支払いと処遇改善に関する規律が強化されました。具体的には、元請から下請への支払い条件における労務費相当分の確保が求められるほか、技能者の賃金引上げに向けた取組みへの対応が業界全体に求められています。
処遇改善の実行手段として、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携が引き続き重要性を持ちます。CCUSは技能者の就業履歴・資格を登録・蓄積し、能力評価につなげる仕組みであり、公共工事を中心にCCUS活用が拡大しています(最新の登録者数はCCUS公式サイトで確認できます)。
変更点2:技術者制度・施工体制に関する見直し
今回の改正では技術者の配置要件についても見直しが行われており、管工事業を含む各業種の主任技術者・監理技術者の兼務・配置に関するルールが整理されています。自社の技術者配置が改正後の要件を満たしているか、許可更新前に確認しておくことが重要です。
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許可・申請に関する確認事項
- ☑ 許可の有効期限と次回更新時期を確認している
許可更新時は改正後の様式・要件で申請する必要があります。最新の申請の手引きと様式を事前に確認しておきましょう。 - ☑ 経営業務の管理責任者等の体制(2020年10月の要件)が今も満たせているか確認している
財務管理・労務管理・業務運営の各機能を担う組織体制の整備状況を確認してください。一人親方・極小規模事業者については別途要件の確認が必要です。 - ☑ 専任技術者(2024年12月から営業所技術者)の配置状況が現行要件を満たしているか確認している
管工事業の営業所技術者(2024年12月13日までの呼び名は専任技術者)資格(1級管工事施工管理技士、2級管工事施工管理技士等)の有効性と、常勤性の確認を行っておきましょう。 - ☑ 改正後の申請書類フォーマット変更への対応を確認している
各都道府県の許可申請様式が改正後に変更されている場合があります。事前に最新様式を窓口・ウェブサイトで確認してください。
処遇改善・CCUS対応の確認事項
- ☑ 技能者のCCUS登録(事業者・技能者両方)を済ませているか確認している
公共工事の受注や協力会社の社会保険確認において、CCUS登録が実質的な前提となるケースが増えています。 - ☑ 下請契約における労務費相当分の支払い条件を確認している
改正により、元請から下請への代金支払い条件における労務費確保の義務が強化されています。契約書の見直しが必要な場合があります。 - ☑ 処遇改善状況を示す資料を整備しているか確認している
技能者の賃金・処遇改善状況を示す書面の整備が、CCUS活用や各種加算申請の際に必要となる場合があります。
よくある質問

Q1. 令和6年改正で管工事業の許可要件は具体的にどう変わりましたか?
中心は、労務費の基準(基準を著しく下回る見積りや契約の禁止)など、技能者の処遇と価格のルールです。経営業務の管理責任者の要件は変わっていません(会社の体制で満たす形は2020年10月の改正から)。技術者の配置では、営業所技術者の呼び方や兼任のルールが2024年12月から見直されています。申請様式の変更を伴うため、次回更新時には都道府県窓口で最新情報を確認してください。
Q2. 令和6年改正で、経管として届け出ている役員の扱いは変わりますか?
変わりません。令和6年改正は経営業務の管理責任者の要件を変えていないため、今の届出のままで構いません。役員が代わるときは、これまでどおり2週間以内に変更の届出が要ります。
Q3. 小規模な管工事業者でも改正の影響を受けますか?
はい。建設業許可を持つ事業者であれば規模を問わず、令和6年改正の適用を受けます。特に一人親方や小さな事業者は、労務費の基準を下回る見積りになっていないかを確かめておくことが必要です。不明点は行政書士等の専門家や都道府県窓口に相談することをお勧めします。
Q4. 施行後半年が経過した今、優先して対応すべきことは何ですか?
まず、自社の許可更新時期を確認することが最優先です。次回の更新が近い場合は、改正後の申請様式・添付書類を都道府県窓口で事前確認してください。また、CCUS登録状況の確認と、下請契約における処遇改善対応の確認も重要です。改正の中身がわからないときは、早めに都道府県の窓口や専門家へ相談することをお勧めします。
Q5. 改正への対応が遅れた場合のリスクはありますか?
改正内容への対応遅れとして最も重大なのは、許可更新時に要件を満たしていない状態で申請してしまうケースです。許可が取得できなくなる、あるいは更新が滞ることは業務に直接影響します。また、処遇改善に関する義務への違反は行政処分の対象となる可能性があります。改正後も定期的に国土交通省・都道府県窓口の情報を確認し、適切なコンプライアンス体制を維持してください。
まとめ
令和6年建設業法改正は2025年12月12日に施行済みであり、管工事業にとって労務費の基準と処遇改善の規律の強化という重要な変化をもたらしています。改正の影響を正確に把握し、次回の許可更新・変更申請に備えることが経営者に求められています。
主な確認ポイントは次の3点です。①労務費の基準を下回らない見積りと契約、②CCUS登録と技能者の処遇改善状況の整備、③技術者配置・施工体制の現行要件への適合確認。本記事のチェックリストを活用して自社の状況を確認し、未対応の事項から優先的に取り組んでください。
確認日:2026年5月30日 e-Gov法令検索(建設業法・令和6年法律第49号・令和7年12月12日施行)、国土交通省サイトに基づく
出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)
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