解体工事業の許可を営む上で、適切な許可取得は法令遵守の大前提です。兵庫県内で解体工事業を開始する際には、建設業法に基づく許可申請や登録が必要となります。しかし、申請手続きの複雑さや、許可取得後の変更届・廃業届など、一連の手続きを正確に理解している事業者は多くありません。本記事では、兵庫県で解体工事業許可を取得する手順から、事業運営中の変更手続き、そして廃業時の届出まで、実務に必要な全工程を具体的に解説します。建設業許可申請の要件や必要書類、注意すべきポイントを押さえることで、適法かつスムーズな事業運営を実現できます。
解体工事業の許可制度と兵庫県での申請区分
解体工事業に必要な許可の種類
解体工事業を営むには、工事の規模や請負金額によって必要な許可が異なります。建設業法では、請負金額500万円以上(税込)の解体工事を行う場合、建設業許可(解体工事業)の取得が義務付けられています。一方、請負金額500万円未満の工事のみを行う場合は、建設リサイクル法に基づく解体工事業登録が必要です。
兵庫県で解体工事業を営む場合、営業所の所在地によって申請先が異なります。兵庫県知事許可は、営業所が兵庫県内のみにある場合に該当し、主たる営業所の所在地を受け持つ県の土木事務所へ申請します。複数の都道府県に営業所を設置する場合は、国土交通大臣許可が必要となり、申請先は地方整備局です。
許可取得に必要な5つの要件
建設業許可を取得するには、建設業法第7条に定められた5つの要件をすべて満たす必要があります。
常勤役員等(2020年10月から経営業務管理責任者の名が変わりました)の配置では、建設業の経営経験が5年以上ある役員などを常勤で置くなどの要件があります。経営経験は解体工事業に限らず、建設業であれば業種を問いません。
専任技術者(2024年12月から営業所技術者)の配置では、営業所ごとに、土木施工管理技士・建築施工管理技士(2級は土木または建築・躯体)、解体工事施工技士、技能検定のとびなどの資格者、もしくは実務経験による者を常勤で配置します(資格ごとの細かな条件は兵庫県の手引きで確かめます)。実務経験の場合は、一般建設業で10年以上の実務経験証明が必要です。
誠実性については、請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが求められます。過去の違反歴や刑事罰の有無が審査されます。
財産的基礎では、一般建設業の場合、自己資本が500万円以上あること、または500万円以上の資金調達能力があることを証明する必要があります。直近の決算書や預金残高証明書で確認されます。
欠格要件に該当しないことも必須条件です。破産者で復権を得ていない者、暴力団員等(暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年を経ない者)、過去5年以内に建設業法違反で許可取り消しを受けた者などは許可を受けられません。
兵庫県での解体工事業許可申請の実務手順

申請書類の準備と提出の流れ
解体工事業許可取得のための申請書類は、建設業法施行規則に基づいた様式を使用します。兵庫県の場合、申請書類の様式は兵庫県の公式ウェブサイトから入手でき、申請は主たる営業所を受け持つ土木事務所で受け付けています。
主な提出書類は以下の通りです。
- 建設業許可申請書(様式第1号)
- 工事経歴書(様式第2号)
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)
- 使用人数(様式第4号)
- 誓約書(様式第6号)
- 常勤役員等証明書(様式第7号)
- 営業所技術者等証明書(様式第8号・旧 専任技術者証明書)
- 実務経験証明書(様式第9号)
- 工事請負契約書・注文書等の写し
- 卒業証明書または資格証明書
- 常勤性を証明する書類(健康保険の資格確認書など)
- 納税証明書
- 登記事項証明書
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書等)
申請から許可取得までの標準処理期間は兵庫県の手引きで確かめてください。書類に不備がある場合は補正に時間を要するため、余裕を持った準備が重要です。
申請手数料と審査のポイント
建設業許可申請には法定の手数料が必要です。兵庫県知事許可の場合、新規の許可申請の手数料は一般建設業でも特定建設業でも90,000円です(両方を同時に申請するときは180,000円)。許可の更新時は一般建設業で50,000円です。
審査では、特に専任技術者の常勤性と実務経験の証明が厳しくチェックされます。解体工事業の実務経験を証明する場合、過去に従事した工事の契約書、注文書、請求書など、客観的な証拠書類の提出が求められます。実務経験で証明する場合は10年分が要るため、従事した工事を時系列で整理しておきます。
財産的基礎の審査では、決算書の数字が正確であるか、自己資本の計算に誤りがないかが確認されます。設立間もない法人や個人事業主の場合は、預金残高証明書で500万円以上の資金を証明する方法が確実です。
許可取得後の変更届と各種手続き
変更届が必要な主な事項
解体工事業許可を取得した後も、事業内容に変更が生じた場合には、建設業法第11条に基づき変更届の提出が義務付けられています。変更届が必要な主な事項は以下の通りです。
30日以内に届出が必要な事項として、商号または名称の変更、営業所の名称・所在地・業種の変更、資本金額の変更、役員の変更、支配人の変更などがあります。常勤役員等(旧 経営業務管理責任者)と営業所技術者の変更は2週間以内に届け出ます。
決算後4か月以内に届出が必要な事項として、毎事業年度終了後の決算変更届(事業年度終了報告)があります。これは許可を受けたすべての事業者に提出義務があり、工事経歴書や財務諸表などを提出します。
兵庫県では、変更届の様式は許可申請時と同様に県の公式サイトから入手できます。変更届の提出を怠ると、建設業法第50条により6か月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象となり、監督処分を受けることもあるため、変更が発生した際は速やかな手続きが必要です。
入札参加資格審査と許可情報の関連性
公共工事の入札に参加する場合、建設業許可とは別に入札参加資格審査の申請が必要です。兵庫県や県内各自治体では、通常2年ごとに入札参加資格審査の定期受付が実施されます。受付の時期と審査の対象は、各発注機関の案内で確かめてください。
入札参加資格審査では、経営事項審査(経審)の受審が必須です。経審では、完成工事高、自己資本額、利益額などの経営状況と、技術職員数、元請完成工事高などの技術力が数値化され、総合評定値(P点)が算出されます。解体工事業で高評価を得るには、専任技術者の資格レベルや継続的な工事実績の積み上げが重要です。
変更届を適切に提出していないと、許可情報が最新でないため、入札参加資格審査で不利になる可能性があります。決算変更届は毎年確実に提出し、許可情報を常に最新の状態に保つことが、公共工事受注機会の確保につながります。
無許可営業のリスクと廃業時の手続き
無許可解体工事の法的リスクと罰則
無許可で解体工事業を営むことは、建設業法違反として厳しく罰せられます。建設業法第47条では、無許可営業に対して3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されると規定されています。法人の場合は、行為者だけでなく法人にも1億円以下の罰金が科される両罰規定があります。
このようなコンプライアンス違反は、社会的信用の失墜だけでなく、取引先との契約解除、金融機関からの融資停止など、事業継続に致命的な影響を及ぼします。兵庫県内で事業を営む場合も、適切な許可取得と法令遵守が事業の前提条件です。
廃業届・許可の取り消しと返納手続き
解体工事業を廃業する場合、または法人が解散・倒産する場合には、建設業法第12条に基づき、廃業等の届出が必要です。届出が必要なケースは以下の通りです。
- 個人事業主が死亡した場合
- 法人が合併により消滅した場合
- 法人が破産手続開始の決定を受けた場合
- 建設業を廃止した場合
- 法人が破産以外の理由で解散した場合
廃業届は、事由が発生した日から30日以内に、許可を受けた行政庁(兵庫県知事許可の場合は主たる営業所を受け持つ土木事務所)に提出します。提出書類は、廃業届(様式第22号の4)に、法人の場合は登記事項証明書、個人の場合は死亡診断書の写しなどを添付します。
許可の更新を行わずに有効期間(5年間)が満了した場合、自動的に許可は失効します。ただし、この場合も正式に廃業する際は届出が望ましいとされています。廃業後も、過去の工事に関する帳簿や契約書類は、建設業法で定められた保存期間(5年間)は保管する義務があります。
兵庫県で解体工事業の許可を持つ会社は、兵庫県の解体工事業の許可業者一覧で会社名や所在地から確かめられます。
よくある質問
Q1. 解体工事業の許可取得に必要な資格要件は何ですか?
「技術管理者」は、建設リサイクル法の解体工事業の登録(500万円未満の解体工事だけを請け負う業者)で置く人です(建設機械施工技士は登録の技術管理者には当たります)。500万円以上の工事を請け負う許可では、技術管理者ではなく営業所技術者を置きます。許可(解体工事業)の営業所技術者(2024年12月までの専任技術者)には、1級・2級の土木施工管理技士(2級は種別「土木」)、1級・2級の建築施工管理技士(2級は種別「建築」または「躯体」)、技術士(建設部門など)、1級とび技能士、2級とび技能士(合格後に解体工事の実務経験3年以上)、解体工事施工技士(登録解体工事試験の合格者)などが当たります。資格が無い場合は、解体工事の実務経験10年以上(指定学科の卒業者は3年または5年)で認められます。平成27年度までの施工管理技士と技術士の合格者は、解体工事の実務経験1年以上か登録解体工事講習の受講が要ります。建設機械施工技士は許可の資格には入りません。
Q2. 兵庫県で解体工事業の許可申請にかかる費用と期間を教えてください
兵庫県知事許可の場合、新規の申請手数料9万円が必要です。標準処理期間は兵庫県の手引きで確かめてください(書類の補正があれば延びます)。行政書士に頼む場合の報酬は事務所により異なります。
Q3. 解体工事業の許可後に営業所技術者が退職した場合の手続きは?
営業所技術者が替わったときは、2週間以内に変更の届出をします。新しい営業所技術者の資格の証明書や実務経験証明書、常勤であることがわかる書類(健康保険の資格確認書など)を添えます。後任がいないまま要件を欠くと許可の取消しの対象になるため、早めに後任を決めておきましょう。
Q4. 解体工事業を廃業する際の届出手続きと注意点を教えてください
廃業日から30日以内に廃業届を提出します。出す書類は兵庫県の手引きで確かめてください。建設リサイクル法の届出物件が残っている場合は完了させてから廃業することが望ましく、未完了工事がある場合は引継ぎ先を明確にする必要があります。
Q5. 解体工事業の許可更新時に必要な書類と更新タイミングは?
許可の有効期間は5年間で、満了日の30日前までに更新申請が必要です。必要書類は、更新申請書、財務諸表、納税証明書、営業所技術者の常勤の証明、健康保険等の加入状況を示す書類などです。更新を怠ると許可が失効し、再度新規申請が必要となります。
まとめ

兵庫県で解体工事業を適法に営むには、工事規模に応じた建設業許可または登録の取得が必須です。許可取得には、常勤役員等や営業所技術者の配置、財産的基礎の証明など、建設業法第7条に定められた5つの要件をすべて満たす必要があります。申請から許可取得までの標準処理期間は兵庫県の手引きで確かめ、事業開始前に十分な準備期間を確保しましょう。許可取得後も、役員変更や事業年度報告などの変更届を適切に提出し、入札参加資格審査への対応も含めて許可情報を最新に保つことが重要です。無許可営業は刑事罰の対象となるため、法令遵守は事業継続の前提条件となります。まずは自社が必要とする許可の種類を確認し、兵庫県の建設業担当窓口や行政書士などの専門家に相談することから始めましょう。
出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)
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