注意
経審は制度改正・様式変更があり得ます。申請手続・必要書類・算定基準は国土交通省および所管の地方整備局・運輸局等の最新公表資料を必ず確認してください。本記事は入門の概説であり、個社の申請戦略や点数算定の個別判断ではありません。
1. 経営事項審査とは
経営事項審査(通称経審)は、建設業者の経営状況・技術力・施工体制などを総合的に評価し、その結果を点数化する制度です。公共工事の発注者は、この評価結果を入札評価の要素の一つとして用いることがあります(工事種別・契約方式・入札要項により異なります)。
2. 公共工事で求められる理由
税金を財源とする公共工事では、適正な施工能力を持つ業者に工事を任せることが重要です。経審は、財務の健全性、工事の安全・品質管理体制、過去の施工実績などを一定の基準で比較可能な形にまとめるための仕組みです。
なお、建設業許可そのものとは別の制度です。許可を持っていても経審の申請・更新をしていなければ、対象となる公共工事に参加できない場合があります。
3. 5つの審査項目の概要
経審の点数は、次の5つの評点から計算します(正式名称・細目は公表資料に従ってください)。
| 評点(重み) | 何を見るか |
|---|---|
| X1 完成工事高(25%) | 業種ごとの年間の完成工事高(2年または3年の平均) |
| X2 自己資本額と利益額(15%) | 自己資本の額と、利払前税引前償却前利益(2年の平均) |
| Y 経営状況(20%) | 負債の返す力・収益性・財務の健全性など8つの指標。登録経営状況分析機関が分析する |
| Z 技術力(25%) | 業種ごとの技術職員の数と資格、元請の完成工事高 |
| W その他の審査項目(社会性等)(15%) | 社会保険・退職金の制度、防災の協定、法令違反の有無、監査の状況、技術者の育成、建設機械の保有、ISO などの取組 |
5つを重みで合わせた点を総合評定値(P点)と呼び、発注者はこの点をもとに入札に参加できる会社の格付けをします。
4. 申請から入札参加までの流れ(イメージ)
- 決算が終わったら、決算変更届を許可の窓口に出す
- 登録経営状況分析機関に経営状況分析を申し込み、Y 点の結果通知書を受け取る
- 所管の窓口(大臣許可は地方整備局等・知事許可は都道府県)に、経営規模等評価と総合評定値の請求をする
- 結果通知書(P点)を受け取り、発注者の競争入札参加資格の審査に申し込む
- 格付けを受けて、入札に参加する
細部は年度ごとに周知されるため、申請前にWebで手引き・Q&Aをダウンロードして確認するのが確実です。
5. 民間中心の会社へのアドバイス
今後、公共工事に参入したい場合は、早い段階から決算内容の整備・安全管理体制の文書化・施工実績の整理が重要になります。経審は「その日から始めて翌月完成」という性質のものではないため、受注計画とあわせて準備スケジュールを立てるとよいでしょう。
6. 有効期間と毎年の申請
経審の結果が使えるのは、審査基準日(決算日)から1年7か月です。公共工事を続けて受けるには、決算のたびに毎年経審を受け、切れ目なく有効な結果を持っておく必要があります。決算から結果が出るまでに通常2〜4か月かかるため、決算日から4か月ほどで申請を終えるつもりで準備すると、期間の切れ目を防げます。
| 費用 | 目安 |
|---|---|
| 経営状況分析 | 分析機関ごとに1万円前後(機関によって違う) |
| 経営規模等評価+総合評定値 | 1業種 11,000円。業種を1つ足すごとに 2,500円 |
7. よくある質問
Q1. 民間の工事しか受けない会社も経審を受けるべきですか?
経審は公共工事を元請で受けるための制度なので、民間の工事だけなら受けなくても構いません。ただし、発注者や元請から取引の条件として P点を聞かれることが増えています。公共工事に入る予定が数年のうちにあるなら、早めに1回受けて自社の点を知っておくと、何を伸ばせばよいかが分かります。
Q2. 点数を上げるには何から手を付ければよいですか?
重みの大きい X1 と Z は短い期間では動かしにくいので、まずは W(社会性等)を見直すのが近道です。退職金の共済への加入、防災の協定、技術者の講習の受講、建設キャリアアップシステムの取組などは、準備の手間に比べて点が上がりやすい項目です。
Q3. 業種はいくつ申請すればよいですか?
入札に参加したい業種だけで足ります。業種を増やすほど手数料がかかり、技術職員の数も業種ごとに割り振るため、1業種あたりの Z 点が下がる場合があります。
Q4. 有効期間が切れるとどうなりますか?
切れている間は、公共工事の契約を結べません。入札の途中や契約の直前に切れると、受注の機会を失います。前の年の結果の期限の日を控え、そこから逆算して申請の日を決めておきましょう。
Q5. 経審の点数は他の会社のものも見られますか?
見られます。一般財団法人 建設業情報管理センター(CIIC)の「経営事項審査結果の公表」で、会社ごとの総合評定値と項目ごとの評点が公開されています。載るのは結果通知書の発行からおよそ30日後です(国土交通省 関東地方整備局の案内)。取引先の規模の目安や、同じ地域の同業の点を知る手がかりになります。
Q6. 建設業許可が無くても経審は受けられますか?
受けられません。経審を受けられるのは建設業許可を持つ会社だけで、申請する業種も許可を持っている業種に限られます。これから公共工事に入る会社は、先に許可を取り、その後の最初の決算で経審を受ける順番になります(一般建設業と特定建設業の違い)。
Q7. 審査基準日とはいつのことですか?
申請する日の直前の事業年度の終わりの日、つまり直近の決算日です。3月決算の会社なら3月31日が審査基準日で、そこから1年7か月後の10月31日が有効期間の終わりになります。決算日を変えた年は期間の計算がずれるので、窓口に相談してから申請しましょう。
Q8. 経審の申請は自社でできますか?
できます。決算変更届と経営状況分析の結果がそろえば、窓口の手引きに沿って自社で書類を作れます。ただし技術職員の数え方や、W(社会性等)の加点の証明書類は細かい決まりが多いため、初めての年だけ行政書士に頼み、2年目から自社で作る会社も少なくありません。
8. まとめ
- 経審は公共工事入札で施工能力を示すための総合評価であり、建設業許可とは別制度
- 点数は X1・X2・Y・Z・W の5つを重みで合わせた総合評定値(P点)。有効期間は決算日から1年7か月
- 申請・算定は所管庁の最新資料が最優先
- 参入検討なら、体制づくりを前倒しで始める価値がある
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自社や取引先の許可の業種・許可番号・有効期限は、会社名や許可番号から調べられる建設業許可業者の検索でも確かめられます。
出典と参考(2026年10月1日に確認)
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