栃木県佐野市には、太陽光発電や蓄電池を付けた家、窓を断熱性の高いものに替えた家などに補助金を出す「佐野市ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化支援補助金」があります。名前に「ZEH(ゼッチ)」と入っていますが、ZEH の家を建てた人だけの制度ではありません。いまの家に太陽光と蓄電池を付けた人、窓を替えた人も対象になります。一方で、申請は工事が終わってから行う、太陽光と蓄電池の両方がそろっていないと申請できないなど、ほかの補助金と違う点もあります。本記事では、市の「令和8年度 申請の手引き」と市のページで確かめた内容だけをもとに、受給条件と申請手続きを、施主と工務店・リフォーム会社の両方に向けて整理します。
令和8年度の受付状況と制度の全体像
まず大事なお知らせです。市のページには「令和8年7月6日 午後1時現在」の表示で、令和8年度の申請受付は終了したと書かれています。手引きによると、令和8年度の予算額は4,500万円で、補助の合計が予算額に届いた時点で受付が終わる仕組みです。
また手引きには、この補助金の交付は「令和8年度末までの実施を予定」しており、状況によって変わることがある、と書かれています。来年度(令和9年度)も同じ制度があるかどうかは、現時点の資料では分かりません。これから太陽光や蓄電池を付ける方は、工事の前に市のページで最新の案内を確かめてください。
担当は佐野市 農林環境部 気候変動対策課で、窓口は令和8年4月1日から市役所の3階に移っています。
出典:佐野市「【受付終了】佐野市ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化支援補助金」(2026年10月8日確認)
補助の対象になる6つの事業と補助額
令和8年度の対象と金額は次の6つです。チラシには「補助額 最大45万円」とあります。
| 補助対象事業 | 補助額 |
|---|---|
| ① ZEH の新築又は購入 | 一律40万円 |
| ② 太陽光発電設備の設置 | 総発電容量1kW につき1万円(上限9万円) |
| ③ 蓄電池設備の設置 | 総蓄電容量1kWh につき2万円(上限10万円) |
| ④ 高断熱窓への改修 | 改修に要した費用の3分の1(上限20万円) |
| ⑤ HEMS の設置 | 一律1万円 |
| ⑥ 電気自動車等充電設備の設置 | 一律5万円 |
補助額は1,000円未満を切り捨てます。HEMS(ヘムス)は、家の電気の使用量や発電量を自動で測って画面で見られる仕組みです。充電設備には V2H も含まれます。
組み合わせには決まりがあります。① ZEH の新築又は購入と一緒に申請できるのは、⑥ 電気自動車等充電設備だけです。①以外の組み合わせ(②〜⑥)には制限がありません。たとえば、いまの家に太陽光(5kW)と蓄電池(6kWh)を新しく付けた場合、手引きの計算方法では太陽光が5万円、蓄電池が上限の10万円で、合わせて15万円になります(実際の額は市の審査で決まります)。
出典:佐野市「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化支援補助金(チラシ)」(2026年10月8日確認)
受給条件:誰が、どんな家と設備なら対象か
申請できる人の条件
次の4つをすべて満たす人が対象です。
- 佐野市の住民基本台帳に記録されている
- 佐野市のすべての市税に滞納がない
- 補助金を申請する住宅に、自分が住んでいる
- 同じ補助対象事業で、すでにこの補助金の交付決定を受けていない
対象の住宅からは、賃貸住宅と集合住宅が除かれています。貸している家や、マンション・アパートは対象になりません。同じ事業で受けられるのは1回だけですが、別の事業なら受けられます(例:前に HEMS で受けた人も、電気自動車等充電設備では申請できます)。
太陽光と蓄電池の両方がそろっていること
この制度でいちばん見落としやすいのがこの条件です。②〜⑥の申請は、申請するときに、住む家に太陽光発電設備と蓄電池設備の両方が付いていて、常に互いにつながっていることが必要です。太陽光だけ、蓄電池だけでは、②も③も申請できません。窓の改修(④)や HEMS(⑤)も同じで、太陽光と蓄電池がある家であることが前提です。
また、太陽光で発電した電気を家で使わず、すべて売る契約(全量売電)にしている場合は対象外です。出力が10kW 以上の太陽光は、蓄電池があり、発電した電気を家で使う場合に限って対象になります。
新品で、初めての設置・改修であること
すべての事業で、設備や資材は新品であることが条件です。中古品やリースで取り入れたものは対象になりません。②〜⑥は、初めて設置した場合(④は初めて改修した場合)だけ申請できます。
窓の改修と ZEH の条件
④ 高断熱窓への改修は、今ある窓の改修で、内窓の取付け・外窓の交換・ガラスの交換(カバー工法や建具の交換を含む)のいずれかの方法によるものです。改修の結果、家にあるすべての窓の熱貫流率(熱の伝わりやすさ)が2.33W/㎡・K 以下になる必要があります。一部の窓だけを替えて、ほかの窓がこの値を超える場合は条件を満たしません。
① ZEH の新築又は購入は、国が定める ZEH の要件を満たす家を新築したか、新築の建売住宅を買った場合が対象です。手引きの Q&A では、今ある家を改築して ZEH の定義を満たしても、①の対象にはならないと書かれています。ただし、改築のときに新しく付けた設備や窓の改修は、②〜⑥として申請できます。省エネリフォームで使うのは、②〜⑥の組み合わせだと考えてください。
申請手続きの流れと必要な書類
申請は工事が終わってから1年以内
この補助金は、工事の前に申し込む形ではありません。設置や改修が終わった日から数えて1年以内に申請します(① ZEH は、工事が終わった日か引渡しを受けた日から1年以内)。手引きの例では、完了日が令和7年8月14日なら、令和8年8月13日まで申請できます。ただし、予算が尽きればその年度の受付は終わるため、期限内でも申請できないことがあります。
流れは次のとおりです。
- 太陽光・蓄電池などの工事を終え、代金を払う
- 書類をそろえて、交付申請書を市へ出す(窓口か郵送)
- 市が審査し、交付決定通知書(または棄却通知書)が届く
- 交付が決まると、申請者が指定した口座に補助金が振り込まれる
郵送でも申請できます。封筒の表に「申請書在中」の旨を書き、不備に備えて返信用の封筒を入れます。郵送の申請は、届いた日の窓口の受付が終わった後に受け付けられます。
どの事業でも出す書類
- 補助金交付申請書(様式第1号)と同意書(様式第2号)。同意書は令和8年4月1日以降の日付で、本人の署名(または記名と押印)が必要です。同意書を出せば、住民票と納税証明書は原則として要りません
- 住宅の位置図と、住宅の全景の写真
- 太陽光と蓄電池の配置図と、設置の様子が分かる写真(①の申請では不要)
- 余った電気を売る契約の書類の写し(全量売電でないことを示すもの)
- 工事が終わった日が分かる書類(工事完了引渡証明書など。代表者印と会社印が押されたもの)
- 領収書の写しなど、支払ったことが分かる書類(契約の金額と支払った金額が一致すること)
事業ごとに足す書類
太陽光と蓄電池では、工事請負契約書か売買契約書の写し、容量が分かるカタログの写し、新品であることが分かる保証書や出荷証明書の写しを足します。窓の改修では、改修した窓の写真、すべての窓の位置が分かる平面図と立面図、すべての窓(替えていない窓も含む)の熱貫流率が分かるカタログの写しなどが要ります。契約の後に金額が変わった場合は、変更の契約書もすべて出します。
出典:佐野市「令和8年度 佐野市ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化支援補助金 申請の手引き」(2026年10月8日確認)
工務店・リフォーム会社が準備しておくこと
申請するのは施主本人ですが、工事完了引渡証明書(代表者印と会社印)、型番の入った契約書や内訳書、配置図、窓のカタログなどは施工した会社が用意するものです。工事の段階から施主に渡せるようにしておくと、1年以内の申請がしやすくなります。提案のときは、太陽光だけ・蓄電池だけでは対象にならないこと、窓はすべての窓が条件を満たす必要があること、予算が尽きると受付が終わることを先に伝えます。
国の制度との関係では、市の手引きの Q&A は「国の補助金との併用はできます」としています。一方で、国の「住宅省エネ2026キャンペーン」の公式サイトは、国費が充てられている地方の制度とは併用できないと案内しています。窓の改修などで国と市の両方を使いたいときは、工事の前に市の気候変動対策課で組み合わせを確かめてください。なお、国のキャンペーンの交付申請は、施主ではなく、施主と契約した住宅事業者が行う仕組みです。
出典:国土交通省「住宅省エネ2026キャンペーン」公式サイト(2026年10月8日確認)
よくある質問
Q1. 太陽光発電だけを付けた場合も補助を受けられますか?
受けられません。太陽光発電設備の補助は、蓄電池設備が設置されていることが条件です。申請するときに、太陽光と蓄電池が両方あり、常に互いにつながっている必要があります。蓄電池だけの場合も同じです。
Q2. 工事を始める前に申請しなくてよいのですか?
この補助金は、設置や改修が終わった日から1年以内に申請する形です。工事の前の申請は手引きに書かれていません。ただし予算が尽きると受付が終わるため、工事の前に市のページで受付が続いているかを確かめておくと安心です。
Q3. 今の家を ZEH の性能まで改修すれば、40万円の補助を受けられますか?
受けられません。手引きの Q&A では、ZEH の新築又は購入の補助は、ZEH を新築した場合か新築の建売 ZEH を買った場合だけとされています。改修のときに新しく付けた太陽光・蓄電池・窓・HEMS・充電設備は、それぞれの事業として申請できます。
まとめ
栃木県佐野市のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化支援補助金は、ZEH の新築だけでなく、今の家への太陽光・蓄電池・高断熱窓・HEMS・充電設備も対象にした制度です。受給条件の要点は、市内に住む人が自分の住む住宅(賃貸住宅と集合住宅を除く)で行うこと、市税の滞納がないこと、太陽光と蓄電池の両方がそろっていること、新品で初めての設置であることです。申請手続きは、工事が終わってから1年以内に、契約書・領収書・完了の証明・写真などをそろえて市へ出します。令和8年度の受付は7月6日に終わっています。手引きでは令和8年度末までの実施を予定とされ、令和9年度以降は今の資料では分かりません。これから工事を考える方は、まず市のページで最新の案内を確かめ、施工する会社と書類の準備を相談するところから始めてください。
出典:佐野市「【受付終了】佐野市ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化支援補助金」・佐野市「令和8年度 佐野市ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化支援補助金 申請の手引き」・佐野市「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス化支援補助金(チラシ)」・国土交通省「住宅省エネ2026キャンペーン」公式サイト(2026年10月8日確認)
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