大阪府で建設業許可を持つこと、そして許可の範囲で営業することは、会社を続けるための土台です。大阪・関西万博の海外パビリオンの工事では、建設業許可なしで工事を請け負った会社が、大阪府から営業停止の処分を受けました。下請の業者が工事代金の未払いを訴えたことも報じられています。本記事では、万博の処分の事例と、許可が要る工事の範囲、元請・下請として発注の前に確かめる項目、代金の未払いへの備えを解説します。
万博の工事で起きた無許可の請負と営業停止
タイ館の電気設備の工事の件
報道によると、2024年10月、群馬県高崎市の建設会社が、万博のタイ館の電気設備の工事(約4,400万円)を、建設業許可なしで請け負った疑いがあります。大阪府は2025年9月にこの会社を30日の営業停止とし、2026年6月には大阪府警が経営者ら2人と会社を書類送検しました。
営業停止の間は、処分で決められた区域と範囲で、建設工事の請負ができなくなります。範囲は処分ごとに違うため、処分の公表で確かめる必要があります。
ほかの海外パビリオンの処分
大阪府は2026年4月23日、万博の海外パビリオンで許可の要る金額(500万円以上)の工事を無許可で請け負った3社を、建設業法にもとづき30日〜3日の営業停止にしたと発表しました(処分は4月22日付)。報道では、海外パビリオンの無許可の工事の処分は、これで計8社になりました。
営業停止が会社に与える影響:
- 処分の期間と範囲で、新しい工事の請負ができない
- 取引先や金融機関からの信用が下がる
- 処分の内容が公表される
建設業法違反で罰金刑を受けると、その後5年間は許可を受けられない欠格要件にも当たります(第8条)。
代金の未払いの訴え
2025年6月13日には、海外パビリオンの工事に入った下請の業者らが大阪府庁で記者会見し、工事代金の未払いを訴えました。元請の許可や支払いの能力を確かめないまま工事に入ると、下請が代金を受け取れないリスクを負うことを示しています。
大阪府で許可が要る工事と業種の区分

許可が要る金額
建設業法では、1件の請負代金が500万円以上(消費税込み・建築一式工事は1,500万円以上。ただし延べ面積150平方メートル未満の木造住宅の工事を除く)の工事を請け負うには、建設業許可が必要です。元請か下請かは関係ありません。これより小さい工事(軽微な建設工事)は、許可がなくても請け負えます。
業種ごとの許可
建設業許可は29の業種に分かれ、請け負う工事の業種ごとに許可が要ります。例えば電気設備の工事を500万円以上で請け負うなら、電気工事業の許可が必要です。
2016年6月からは「解体工事業」が独立した業種になりました。土木一式工事や建築一式工事の許可を持っていても、解体だけの工事を500万円以上で請け負うには、解体工事業の許可が必要です。解体工事業の許可のほか、土木工事業・建築工事業の許可も持たずに、500万円未満の解体工事を請け負う場合は、建設リサイクル法の解体工事業の登録が要ります。
一般建設業と特定建設業
元請として受けた1件の工事で、下請に出す代金の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になる場合は、特定建設業の許可が必要です。
発注の前に確かめる項目と、未払いへの備え
相手の許可を確かめる方法
元請として下請に出すときも、下請として仕事を受けるときも、相手の許可を確かめましょう。
- 国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」や大阪府の情報で、会社名と許可番号を確かめる
- 許可の業種が、頼む(頼まれる)工事の業種と合っているか
- 許可の有効期間が切れていないか
- 営業停止などの処分を受けていないか(処分の公表で確かめる)
元請が、許可のない業者と許可の要る金額の下請契約を結ぶと、元請も監督処分の対象になることがあります(建設業法第28条)。
代金の未払いへの備えと対応
- 書面で契約する:工事の内容、代金の額、支払いの時期と方法を書面に残す(建設業法第19条)
- 書面で請求する:支払いがないときは、内容証明郵便などで請求し、いつ・いくらを請求したかの記録を残す
- 窓口に相談する:下請代金の支払いの遅れ(建設業法第24条の3・第24条の6)は、許可行政庁の窓口や国の「駆け込みホットライン」に相談できる
- 紛争の手続き:建設工事紛争審査会のあっせん・調停・仲裁、民事調停、少額訴訟(60万円以下)など
元請が建設業法の支払いの決まりに違反すれば、監督処分の対象になることがあります。口約束ではなく、必ず書面で契約しましょう。
営業停止を防ぐ社内の体制

受注の前の確認
- 受注のチェックリスト:工事の内容、金額、業種、自社の許可の範囲を文書で確かめる
- 責任者の確認:着工の前に、許可の範囲の工事かを責任者がもう一度確かめる
- 下請の管理:協力会社の台帳で、許可の業種と有効期間を管理する
- 社内の研修:建設業法の違反の重さを、営業の担当にも伝える
許可の更新の管理
建設業許可の有効期間は5年です。更新の申請は、満了の30日前までに出す必要があります。満了日までに申請しないと許可は失効し、新規の申請からやり直しになります。失効の後に許可の要る工事を請け負えば無許可営業です。満了日を管理表に記録し、半年前から準備を始めましょう。
よくある質問
Q1. 許可が要る工事と要らない工事の境目は何ですか?
1件500万円以上(消費税込み・建築一式工事は1,500万円以上など)の工事には許可が要ります。元請か下請かは関係ありません。一般建設業か特定建設業かは、元請として下請に出す総額(5,000万円・建築一式は8,000万円以上なら特定)で分かれます。迷う場合は、大阪府の建設業の窓口に相談してください。
Q2. 無許可の工事で営業停止になると、期間はどのくらいですか?
期間は、違反の内容や情状に応じて、処分の基準にもとづき決まります。万博の海外パビリオンの件では、30日から3日の営業停止でした。罰金刑を受けると、5年間は許可を受けられなくなります。
Q3. 下請が無許可で工事をした場合、元請も責任を問われますか?
問われることがあります。許可のない業者と、許可の要る金額の下請契約を結ぶと、元請も監督処分の対象になりえます(建設業法第28条)。契約の前に、下請の許可の業種と有効期間を確かめ、契約書に許可番号を書いておきましょう。
Q4. 営業停止の間に、別の会社で工事を続けられますか?
処分を逃れる目的で別の会社を使って同じ工事を請け負うと、新たな違反として扱われるおそれがあります。処分の範囲を守り、その間にできることを許可行政庁に確かめてください。
Q5. 無許可の工事を防ぐために、社内で何をすべきですか?
受注のときに許可の範囲を確かめるチェックリスト、定期的な研修、許可の期限の管理が有効です。現場の主任技術者・監理技術者の配置の確認も大切です。大阪府の窓口も活用し、体制を定期的に見直しましょう。
まとめ

万博の海外パビリオンの工事では、建設業許可なしで工事を請け負った会社が営業停止の処分を受けました。大きな工事や、信頼できそうな相手からの依頼でも、許可がなければリスクは免れません。第一に、自社の許可の業種を正しく知り、許可の外の工事を受けないこと。第二に、解体工事業など業種の区分を取り違えず、必要な許可を早めに取ること。第三に、元請としても下請としても相手の許可を事前に確かめ、書面で契約することです。代金の未払いのトラブルからも身を守れます。今すぐ、自社の許可の状況と受けている工事を見直しましょう。
工事を頼む先や協力会社を探すときは、大阪府の建設業許可業者を業種別に調べられる大阪府の建設会社一覧もお使いください。
出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-10-06)・万博の件は、日本経済新聞(2026年6月・タイ館の書類送検)、大阪府の2026年4月23日の発表の報道(3社の営業停止)、しんぶん赤旗(2025年6月15日・未払いの会見)による
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。
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