電気工事の下請先を選ぶ経営者へ|建設業許可と登録電気工事業者の違いと確かめ方

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分電盤のブレーカーを測定器で確かめる電気工事士の手元

「うちは建設業許可を持っているから、電気工事も請けられるはずだ」「下請の電気屋さんは許可業者の一覧に載っていないけれど、頼んで大丈夫だろうか」(想定の例)。電気工事を自社で行う、あるいは下請に出す建設会社の経営者が、一度は迷うところです。この記事は、建設業許可(電気工事業)と電気工事業の登録(登録電気工事業者)の違いを整理し、自社に要る手続きと、下請先がどちらを持っているかの確かめ方をQ&Aの形でまとめたものです。

目次

Q1. 建設業許可と「登録」は何が違う?|許可は500万円以上を請ける資格、登録は電気工事をする届け

ブレーカーが並ぶ分電盤で作業する手元
ブレーカーが並ぶ分電盤で作業する手元(イメージ)Photo by Pixabay on Pexels

一言でいうと、建設業許可は「1件500万円以上の工事を請けるための許可」、電気工事業の登録は「電気工事を1件でも行う事業の届け」です。根拠になる法律も、窓口も、目的も違います。

  • 建設業許可(電気工事業):建設業法の制度です。1件の請負代金が500万円未満の「軽微な工事」だけを請けるなら要りません(建設業法 第3条・同施行令 第1条の2)。目的は、建設工事の適正な施工と発注者の保護です。
  • 電気工事業の登録:電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)の制度です。金額の下限がなく、電気工事を行う事業であれば規模にかかわらず対象になります(電気工事業法 第3条)。目的は、電気設備の保安の確保です。

つまり「500万円未満だから許可は要らない」会社でも、電気工事をするなら電気工事業法の手続きは要ります。2つは別々の制度で、片方がもう片方の代わりにはなりません。

Q2. 電気工事業者には何種類ある?|「許可の有無」と「工事の種類」で4つに分かれる

電気工事業法の上では、建設業許可を持っているかと、住宅や小さな店舗などの一般用の工事をするか、工場やビルの高圧設備などの自家用の工事だけかの2つで、次の4種類に分かれます。

一般用の工事をする(住宅・小さな店舗など)自家用の工事だけ(工場・ビルの高圧設備など)
建設業許可なし登録電気工事業者(登録・有効期間5年)通知電気工事業者(開始の10日前までに通知)
建設業許可あり(業種は問わない)みなし登録電気工事業者(開始したら遅滞なく届出)みなし通知電気工事業者(開始したら遅滞なく通知)
電気工事業法の4種類(電気工事業法 第3条・第17条の2・第34条)。「一般用」には10kW以上50kW未満の太陽光などの小規模事業用電気工作物も含まれます

見落としやすいのは下の段です。建設業許可を持つ会社は、許可の業種を問わず「みなし登録電気工事業者」になり、電気工事業を始めたら都道府県知事などへの届出が必要です(電気工事業法 第34条)。内装仕上工事業や管工事業の許可しか持っていない会社でも、自社で電気工事を行うなら同じです。また、登録電気工事業者があとから建設業許可を取ると、登録は効力を失い、みなし登録の届出に切り替わります。

Q3. 許可と登録を比べると?|法律・窓口・営業所に置く人・罰則の違い

項目建設業許可(電気工事業)電気工事業の登録
法律建設業法電気工事業法
対象1件500万円以上金額にかかわらず
窓口国土交通大臣か都道府県知事経済産業大臣か都道府県知事
期間5年5年
置く人営業所技術者主任電気工事士
建設業許可(電気工事業)と電気工事業の登録の比較(2026年9月時点の法令による)
  • 窓口:どちらも、2つ以上の都道府県に営業所があれば大臣(許可は国土交通大臣、登録は経済産業大臣)、1つの都道府県だけなら都道府県知事です。
  • 営業所に置く人:許可は営業所技術者(2024年12月に「専任技術者」から呼び名が変わりました)、登録は主任電気工事士(第一種電気工事士、または免状の交付後3年以上の実務経験がある第二種電気工事士)です。
  • 手続きをしないと:登録を受けずに電気工事業を営むと1年以下の拘禁刑もしくは10万円以下の罰金、または併科(電気工事業法 第36条)。みなし登録の届出をしないと2万円以下の罰金です(同 第40条)。
  • 手数料:都道府県で異なります。東京都・福岡県では、登録の新規が22,000円、更新が12,000円です。

営業所技術者と主任電気工事士の資格の細部は、電気工事の資格一覧の記事にまとめています。

Q4. 自社にはどの手続きが要る?|よくある5つの場面

条文をもとに、よくある場面を整理すると次のとおりです。個別の事情で扱いが変わることがあるため、迷うときは営業所のある都道府県の窓口で確かめてください。

  1. 500万円未満の電気工事だけを請け、建設業許可は持っていない:建設業許可は要りませんが、電気工事業の登録が要ります。
  2. 500万円以上の電気工事も請ける:建設業許可(電気工事業)が要り、電気工事業法の手続きはみなし登録の届出になります。
  3. 内装仕上工事業など別の業種の許可を持ち、付随して電気工事も自社で行う:電気工事が500万円未満なら電気工事業の許可は要りませんが、みなし登録の届出は要ります(許可の業種を問わないため)。
  4. 工場の高圧設備など自家用の電気工事だけを行い、建設業許可は持っていない:電気工事業法の手続きは通知(開始の10日前まで)です。建設業許可は金額によります。
  5. 電気工事はすべて電気工事業者に下請へ出し、自社では作業しない:自社に手続きが要るかは、請け方や契約の形によって判断が分かれます。この場合は都道府県の窓口に確かめてください。

太陽光発電や蓄電池の工事を請ける場合の許可・登録・資格は、太陽光・蓄電池工事を請け負う建設会社向けの確認手順で詳しく扱っています。

Q5. 下請先がどちらを持っているかは、どう確かめる?|一覧・標識・登録簿の3段で

工事中の建物でヘルメットをかぶり書類を確かめる2人
工事中の建物でヘルメットをかぶり書類を確かめる2人(イメージ)Photo by Pavel Danilyuk on Pexels

元請にとって大事なのはここです。電気工事業法 第22条は、請け負った電気工事を、電気工事業者でない者に下請させてはならないと定めています(違反は3月以下の拘禁刑もしくは3万円以下の罰金、または併科)。下請先を決める前に、次の3段で確かめます。

  1. 建設業許可を持っているか(一覧で探す):建設業許可(電気工事業)を持つ会社は、国の公開データで確かめられます。当サイトでは、国の公開データをもとに有効な許可業者483,870社を都道府県×業種の一覧にしています(データ更新:2026年9月19日)。電気工事業の許可を持つ会社は全国で67,106社(2026年9月15日時点・当サイト集計)で、例えば福岡県の電気工事業の許可業者一覧には2,837社、東京都の電気工事業の許可業者一覧には7,853社が載っています。
  2. 登録かみなし登録か(現場と営業所の標識を見る):電気工事業者は、営業所と施工場所ごとに標識を掲げる義務があります(1日で終わる工事の施工場所は除く)。登録電気工事業者なら「登録の年月日と登録番号」、みなし登録電気工事業者なら「届出の年月日と届出先」が書かれています(電気工事業法 第25条・同施行規則 第12条)。
  3. 登録の中身を確かめたいとき(登録簿):登録簿の謄本の交付や閲覧は、登録をした経済産業大臣か都道府県知事に、誰でも請求できます(電気工事業法 第16条)。

注意したいのは、当サイトの一覧は「建設業許可を持つ会社」の名簿であり、登録電気工事業者の名簿ではないことです。許可を持たない登録電気工事業者は一覧に載っていません。また、みなし登録の届出をしているかどうかは、建設業許可の検索だけでは分からないため、標識や相手の書類で別に確かめてください。

Q6. よくある誤解は?|「建設業許可があるから電気工事もできる」

いちばん多い誤解は、建設業許可があれば電気工事もそのまま営めると考えてしまうことです。許可があっても、みなし登録の届出をしていなければ電気工事業は営めず、届出をしないと罰金の対象になります(電気工事業法 第34条・第40条)。また、建設業許可を更新したときには、みなし登録の変更の届出が要ると案内している都道府県もあります(東京都)。許可の更新とあわせて、電気工事業法の届出も見直す習慣をつけてください。

まとめ

  • 建設業許可は「500万円以上を請ける許可」、電気工事業の登録は「電気工事をする事業の届け」で、別々の制度
  • 建設業許可を持つ会社は、業種を問わず、電気工事を始めたら「みなし登録」の届出が要る
  • 電気工事の下請先は電気工事業者でなければならない。許可は一覧で、登録は標識と登録簿で確かめる

次のアクション

まず自社がどの手続きをしているかを届出の控えで確かめ、次に、いま電気工事を頼んでいる下請先の許可を一覧で、登録を標識で確かめるところから始めてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 当サイトの一覧に載っていない電気工事の会社は、頼んではいけない会社ですか?
A. そうとは限りません。当サイトの一覧は建設業許可を持つ会社の名簿で、500万円未満の工事だけを請ける登録電気工事業者は載っていません。そうした会社に頼むときは、標識や登録の書類で「登録電気工事業者」であることを確かめてください。

Q2. 登録電気工事業者の一覧は、どこかで公開されていますか?
A. 登録簿の謄本の交付や閲覧は、登録をした経済産業大臣か都道府県知事に誰でも請求できます。一覧をウェブで公開しているかどうかは都道府県によって違うため、営業所のある都道府県の電気工事業の担当窓口に確かめてください。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」・電気工事業法(e-Gov 法令検索)(確認日 2026-09-28)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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