佐賀県で解体工事業を始める、または解体工事を受注の柱にしたいと考える建設会社・工務店の経営者へ。解体工事は「建設業許可(解体工事業)」か「解体工事業の登録」のどちらかが要り、工事で出る廃棄物の処理には排出事業者としての責任が付いて回ります。本記事では、佐賀県で解体工事を適法に営むために押さえるべき許可・登録の要件、産業廃棄物の処分ルートの作り方、建設リサイクル法とアスベストの手続き、そして行政処分を避けるための実務を整理します。
佐賀県で解体工事を請け負うための許可と登録
500万円で分かれる「許可」と「登録」
解体工事を請け負うには、工事の規模で2つの制度のどちらかが要ります。
- 1件の請負代金が500万円以上(税込)の解体工事を請け負う:建設業法に基づく建設業許可(解体工事業)が要ります。営業所が佐賀県内だけなら佐賀県知事許可、複数の都道府県に営業所があれば国土交通大臣許可です。
- 500万円未満の解体工事だけを請け負う:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)に基づく解体工事業の登録が、工事をする都道府県ごとに要ります。
建設業許可のうち、解体工事業・土木工事業・建築工事業のいずれかを持っていれば、登録は要りません(佐賀県の案内)。反対に、内装仕上や塗装など別の業種の許可しか持っていない会社が500万円未満の解体工事を請け負うときは、登録が要ります。
佐賀県の窓口と処理期間
佐賀県知事の建設業許可と解体工事業の登録は、どちらも県土整備部 建設・技術課が担当です(佐賀市城内1-1-59・電話 0952-25-7153)。県が公開している目安は次のとおりです。
| 手続き | 目安 |
|---|---|
| 建設業許可の標準処理期間 | 40日(申請が土木事務所に届いてから本庁で処分するまで) |
| 建設業許可の更新の受付 | 有効期間満了の3か月前から30日前まで |
| 解体工事業の登録の処理 | 受付からおおむね30日程度 |
| 登録の有効期間 | 5年(満了の30日前までに更新) |
建設業許可の申請は、JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)による電子申請も使えます。手数料や様式は年度で変わることがあるため、申請前に県のページで最新の案内を確かめてください。
建設業許可(解体工事業)の5つの要件
- 経営業務の管理責任者等:建設業(業種は問わない)で5年以上、役員などとして経営業務を管理した経験を持つ人などを常勤役員等として置く(2020年10月の改正で業種ごとの経験は不要)
- 営業所技術者(2024年12月までの呼び名は専任技術者):営業所ごとに、解体工事業の資格(1級・2級土木施工管理技士、1級・2級建築施工管理技士、とび技能士、解体工事施工技士など)か、解体工事の実務経験10年以上などの人を常勤で置く。平成27年度までに取った施工管理技士は、解体工事の実務経験1年以上か登録解体工事講習の受講が要る
- 誠実性:請負契約で不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと
- 財産的基礎:一般建設業なら自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力
- 欠格要件に当たらないこと:建設業法第8条(許可の取消しから5年、拘禁刑以上の刑(2025年6月より前の懲役・禁錮を含む)の執行から5年、暴力団員など)
解体工事業は2014年(平成26年)の建設業法改正で「とび・土工工事業」から分かれ、2016年6月から独立した業種になりました。とび・土工の許可だけでは、500万円以上の解体工事は請け負えません。
登録に要る「技術管理者」
解体工事業の登録には、営業所ごとではなく会社に技術管理者を置きます。1級・2級土木施工管理技士、1級・2級建築施工管理技士、1級・2級建築士、とび技能士(1級、または2級+実務1年)、解体工事施工技士、または解体工事の実務経験8年以上(指定学科の卒業者は短縮)などが該当します。登録業者は、営業所と工事現場に「解体工事業者登録票」を掲げ、工事ごとの帳簿を備える義務があります。
産業廃棄物の処分ルートを先に作る
排出事業者は解体工事の元請
解体工事で出るコンクリートがら、木くず、金属くず、石膏ボード、混合廃棄物などは産業廃棄物です。廃棄物処理法では、建設工事の廃棄物の排出事業者は元請業者と定められています(第21条の3)。下請に処分を任せきりにしても、責任は元請に残ります。
自社で運搬・処分をしない場合は、産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可を持つ業者に、収集運搬と処分をそれぞれ書面で委託します。委託先の許可の写しを取り、許可の品目に木くずやがれき類が入っているかを契約前に確かめてください。
マニフェストの交付と保存
委託のたびに産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、運搬・処分が終わった写しが戻ってくるのを確かめます。マニフェストの保存期間は5年で、県の立入検査で確かめられる書類です。電子マニフェスト(JWNET)を使えば、紙の保存と返送の確認の手間が減ります。委託先が不法投棄をした場合、委託の仕方に不備があれば排出事業者にも措置命令が及ぶことがあります。
佐賀県の産業廃棄物の窓口
産業廃棄物の収集運搬業・処分業の許可は、佐賀県では循環型社会推進課が担当です。解体で出るがれきや木くずを自社のトラックで運ぶなら、自社にも収集運搬業の許可が要ります(佐賀県の新規の手数料は81,000円・有効期間5年・講習の修了証が必要)。委託先を選ぶときは、県が公表している許可業者の名簿と、優良産廃処理業者認定制度の認定の有無が参考になります。処分場の受入れの条件や単価は業者ごとに違うため、見積もりの段階で処分ルートと単価を確定させておくことが、利益を守る第一歩です。
解体の現場で欠かせない2つの届出
建設リサイクル法の届出(工事の7日前まで)
床面積の合計が80平方メートル以上の建築物の解体工事は、建設リサイクル法の対象です。発注者(または自主施工者)が工事に着手する7日前までに、分別解体の計画などを県(または権限を持つ市)に届け出ます。元請は契約の前に、発注者へ分別解体の方法や費用を書面で説明し、契約書にも書く義務があります。佐賀県では届出済みの工事に「建設リサイクル法届出済シール」を交付しており、全国一斉パトロールで現場の掲示や分別の状況が確かめられます。
アスベストの事前調査と報告
解体・改修工事の前には石綿(アスベスト)の事前調査が要ります。2023年10月からは、建築物石綿含有建材調査者など有資格者による調査が義務になりました。解体の床面積80平方メートル以上、または請負代金100万円以上の改修工事は、調査の結果を電子システムで労働基準監督署と自治体に報告します。調査を怠ると労働安全衛生法・大気汚染防止法の罰則の対象になり、工事の中止にもつながります。
行政処分を避けるための実務
よくある違反の3つの型
- 無許可・無登録での受注:500万円以上を許可なしで請け負うと建設業法第47条(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金・法人は1億円以下)、登録なしで解体工事業を営むと建設リサイクル法の罰則の対象です。工事を分割して500万円未満に見せることも認められません。
- 技術者の配置と届出の遅れ:現場ごとの主任技術者の配置を怠る、経営業務の管理責任者・営業所技術者が代わったのに2週間以内の変更届を出さない(商号・役員・営業所などは30日以内)、毎年の決算変更届(事業年度終了後4か月以内)を出さない。
- 廃棄物の不適正な処理:無許可業者への委託、マニフェストの未交付、現場での野焼きや不法投棄。廃棄物処理法違反は5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金(法人は3億円以下)で、建設業法第28条の監督処分にもつながります。
監督処分の3段階
建設業法の監督処分は、指示(第28条第1項)→営業停止(1年以内・第28条第3項)→許可の取消し(第29条)の順に重くなります。処分は国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で公表され、公共工事の指名停止や元請からの取引停止につながります。許可を取り消されると5年間は新たな許可を受けられません。
社内で回す4つの点検
- 受注前に請負代金と自社の許可・登録の範囲を照らす(500万円の線・業種・営業所の都道府県)
- 着工前に建設リサイクル法の届出とアスベストの事前調査・報告を済ませ、現場に標識を掲げる
- 廃棄物の委託契約書・許可証の写し・マニフェストを工事ごとに1つの綴りにして5年保存する
- 技術者・役員・営業所の変更を人事の記録と突き合わせ、期限内に変更届を出す
よくある質問
Q1. 佐賀県で解体工事を行うとき、産業廃棄物の許可は必須ですか?
自社で運搬や処分をするなら、それぞれ産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可が要ります。許可業者に委託するだけなら自社の許可は要りませんが、排出事業者として委託契約とマニフェストの義務を負います。
Q2. 建設業許可と解体工事業の登録は両方要りますか?
解体工事業・土木工事業・建築工事業のいずれかの建設業許可があれば、登録は要りません。500万円未満の解体工事だけを請け負うなら、登録だけで営めます。
Q3. 解体工事で出る廃棄物はどう分けますか?
コンクリートがら(がれき類)、木くず、金属くず、ガラス・陶磁器くず、廃プラスチック、石膏ボードなどに現場で分別します。混合廃棄物として出すと処分単価が上がり、建設リサイクル法の対象工事では分別解体そのものが義務です。
Q4. マニフェストは誰が交付し、どのくらい保存しますか?
排出事業者である元請が、収集運搬業者に廃棄物を渡すときに交付します。返送された写しを含めて5年間保存します。電子マニフェストなら情報処理センターに記録が残り、紙の保存は不要です。
Q5. 解体工事の廃棄物の処分費用を抑えるには?
アスベストの事前調査を早く済ませて工程を組み、現場で分別の精度を上げて混合廃棄物を減らすことが効きます。処分場ごとの受入れ品目と単価を見積もりの前に確かめ、複数の許可業者から見積もりを取ってください。
まとめ
佐賀県で解体工事業を営むには、500万円を境に建設業許可(解体工事業)か解体工事業の登録が要り、どちらも県土整備部 建設・技術課が窓口です。工事で出る産業廃棄物は元請が排出事業者として委託契約とマニフェストを管理し、着工前には建設リサイクル法の届出とアスベストの事前調査を済ませます。無許可の受注・技術者と届出の不備・廃棄物の不適正処理の3つを社内の点検で防ぐことが、指示・営業停止・取消しの監督処分を避け、地域で信頼される解体業者であり続ける道です。
出典:佐賀県「建設業許可の標準処理期間について」「解体工事業の登録(請負金額500万円未満)」「産業廃棄物収集運搬業許可申請について」「建設リサイクル法に係る書類提出について」(いずれも県の公式ページ)・建設業法第8条・第28条・第29条・第47条・廃棄物処理法第21条の3・建設リサイクル法。確認日:2026-09-24
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工事の発注先や協力業者を探すときは、建設業許可業者データベースで許可業種と所在地から確認できます。許可の有無と業種は、見積依頼の前に必ず確かめておきたい項目です。
出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」・廃棄物処理法(e-Gov 法令検索)(確認日 2026-09-28)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。
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