台風・大雨前の​足場点検チェックリスト|​強風と​浸水の​対策の手順

企業検索はメインサイトから

建設業許可データベースのトップへ
足場を組みブルーシートで覆った住宅の基礎

台風・集中豪雨が多発する今のシーズン、建設現場で最も倒壊リスクが高いのが足場です。足場の倒壊は作業員の生命に関わるだけでなく、隣家・通行人への損害賠償責任も発生します。労働安全衛生規則に基づく安全点検を体系化し、経営者として義務を果たすためのチェックリストを解説します。

全国のとび・土工工事業の会社を、都道府県と許可の内容から探せます:とび・土工工事業の許可業者一覧

目次

なぜ台風・大雨で足場が倒れるのか——3つの原因

足場倒壊の主な原因は3パターンです。

  • 養生シートが帆のようになる(風圧増大):台風時に養生シートを張ったままにすると、風を受けた面積が増大し足場全体に横力がかかる。最も多い倒壊パターン
  • 壁つなぎの不足・脱落:法令の壁つなぎ間隔(単管足場は垂直5m×水平5.5m以内、枠組足場(高さ5m未満のものを除く)は垂直9m×水平8m以内・労働安全衛生規則第570条)を守っていても台風の強風に耐えられないケースがある
  • 地盤の軟弱化による根元の沈下:大雨で地盤が緩み、足場の根入れ部が沈下・傾斜する

労働安全衛生規則第567条第2項は、強風・大雨・大雪などの悪天候や中震以上の地震の後、足場での作業を始める前に点検者を指名して点検させることを義務づけています(2023年10月から点検者の指名が必要)。違反した場合は6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます(労働安全衛生法第119条)。

赤い手袋で足場のパイプにクランプを留める手元
赤い手袋で足場のパイプにクランプを留める手元(イメージ)

強風対策の実務手順——台風接近72時間前から行う足場点検(2026年版)

以下の手順を台風接近が予報された時点から実施してください。

  • 【養生シートの対処】 風速10m/s超が予報される場合は養生シートを撤去または巻き上げて固縛する。「風が強くなってから撤去」では間に合わない
  • 【壁つなぎの増設】 台風の接近前に、足場の組立図やメーカー・仮設工業会の資料に沿って壁つなぎを増やす。特に足場の端・角・最上部は風を強く受けるので重点的に確かめる
  • 【控え補強】 足場の転倒防止のため、斜材(控え)を追加設置する。地盤への打込みアンカーを使用する
  • 【資材の固縛・撤去】 足場上の資材・廃材は地上に降ろすか、ロープで固縛する。飛散すると第三者への損害賠償が発生する
  • 【点検記録の作成】 実施した対策を「足場点検記録簿」に記録。写真も併せて保存する
建物の外壁に沿って組まれた足場
建物の外壁に沿って組まれた足場(イメージ)

建設会社・工務店の方へ

ホームページの制作費は0円。かかるのは1万円だけです

1万円(税込・1回だけ)に、12か月のサーバーと .com ドメインの取得・初年度の費用を含みます。

制作費0円で申し込む ›

大雨・浸水対策の手順——脚部と地盤の確認

大雨による地盤軟弱化は、台風通過後に顕在化することが多く、見落とされやすい危険です。

  • 脚部の確認:鋼管足場の脚部にベース金物を使い、敷板・敷角などで沈下を防ぎ、根がらみを設けているか確認(労働安全衛生規則第570条)。大雨後は敷板の下の地盤が緩んで沈下することがある
  • ベース金物の確認:ベースが水平に設置されているか。傾きがある場合は即座に修正する
  • 排水・水はけ対策:足場周囲に水が溜まっていないか確認。溜水は地盤軟弱化の原因になる
  • 法面・斜面の確認:法面近くの足場は、大雨による土砂崩れリスクを別途確認する
土のうと柵とカラーコーンが並ぶ河川敷の工事現場
土のうと柵とカラーコーンが並ぶ河川敷の工事現場(イメージ)

台風通過後の足場復旧確認フロー——再使用前の必須点検7項目

台風通過後は、外観上問題がなくても内部の損傷が発生している場合があります。以下の7項目を、指名した点検者が点検し、記録に残してから作業員を入場させてください。

  • ① 壁つなぎの損傷・抜け落ちの確認
  • ② 布板(踏み板)のずれ・損傷・脱落の確認
  • ③ 手すり・中桟の変形・損傷の確認
  • ④ 足場の全体的な傾きの確認(水準器使用)
  • ⑤ 脚部(ベース)の沈下・傾きの確認
  • ⑥ 養生シート再設置前の固定状態確認
  • ⑦ 隣地・道路への飛散物の確認と撤去

点検結果を「悪天候後足場点検記録簿」に記録し、問題があれば修復完了まで入場禁止措置を取ってください。点検の結果と補修の内容は、その足場を使う仕事が終わるまで保存します(労働安全衛生規則第567条第3項)。

法令でいう「悪天候」と、足場の点検の決まり

足場の点検は「台風のときだけ」ではありません。労働安全衛生規則は、毎日の点検と、悪天候の後の点検を分けて決めています。どの天気が「悪天候」に当たるかは、厚生労働省の通達で目安が示されています。

決まり中身根拠
毎日の点検その日の作業を始める前に、指名した点検者に、手すりなどの墜落を防ぐ設備が外れていないか・脱落していないかを点検させる労働安全衛生規則第567条第1項
悪天候・地震の後の点検強風・大雨・大雪などの悪天候や中震以上の地震の後、足場での作業を始める前に、指名した点検者に床材・手すり・脚部・壁つなぎなどを点検させる同第567条第2項
記録の保存悪天候の後の点検の結果と補修の内容を、その足場を使う仕事が終わるまで保存する同第567条第3項
組立て作業の中止高さ2m以上の足場などの組立て・解体・変更で、強風・大雨・大雪などの悪天候のため危険が予想されるときは、作業を中止する同第564条第1項第3号
足場の点検と作業の中止の決まり(労働安全衛生規則をもとに作成)

通達の目安では、強風は10分間の平均風速が10m/s以上、大雨は1回の降雨量が50mm以上、大雪は1回の降雪量が25cm以上、中震以上の地震は震度4以上です。台風が過ぎた朝は、このどれかに当たることが多いので、点検者の名前・点検した日時・結果を記録簿に書いてから作業を始めます。

隣家や通行人に被害が出たときの責任と備え

足場やシートが倒れて隣の家や車、通行人に被害が出たとき、民法では次の考え方で責任が決まります。

  • 土地の工作物の責任(民法第717条):足場のような土地の工作物の設置や保存に欠陥があって他人に損害を与えたときは、まず占有者(足場を管理している者)が責任を負います。占有者が損害を防ぐのに必要な注意をしていたときは、所有者が責任を負います
  • 使用者責任(民法第715条):作業員が仕事の中で他人に損害を与えたときは、雇っている会社も責任を負います
  • 元請と下請の分担:だれが足場を管理していたかは、足場を組んだ会社・使っている会社・契約の決まりで変わります。下請契約や足場の賃貸借の契約に、管理の分担を書いておきます

備えとしては、第三者への賠償に備える請負業者賠償責任保険などに入っているか、台風の被害が対象になるかを、シーズンの前に保険の担当者と確かめておきます。そして「必要な注意をしていた」ことを示すために、台風の前の対策と、通過した後の点検の記録を写真つきで残しておくことが何より大切です。

まとめ:台風・大雨シーズンの足場管理で経営者が押さえる3点

  • 「台風前」の養生シート撤去が最重要:台風通過後の対応より台風前の準備が倒壊を防ぐ。72時間前から行動する
  • 書面記録が法的義務の証明になる:足場点検記録簿・悪天候後点検記録は行政調査・損害賠償訴訟の両方で証拠になる
  • 大雨後は必ず地盤を確認してから入場させる:目視で問題なくても地盤軟弱化が起きている。再入場前の点検を省略しない

次のアクション: 今すぐ各現場の「足場点検記録簿」の書式を準備し、現場担当者に台風前チェックリストを配布してください。

➡ 建設業許可を持つ会社を都道府県で検索する

➡ 都道府県別の建設業情報・手続きガイド

➡ 建設業経営情報ブログ(記事一覧)

よくある質問

Q: 台風接近時に養生シートを撤去しなかった場合、事故が起きたら誰の責任?

足場の管理に欠陥があって第三者に損害を与えたときは、まず足場を管理している者(占有者)が責任を負い、必要な注意をしていたときは所有者が負います(民法第717条)。作業員の行為による損害は雇っている会社も責任を負います(第715条)。だれが管理者かは契約と現場の実態で決まるため、下請契約に管理の分担を書き、台風の前の対策と点検の記録を残しておくことが大切です。

Q: 台風後の足場点検は作業主任者資格がないと実施できない?

作業主任者でなくても点検はできます。労働安全衛生規則第567条第2項は、悪天候の後に足場での作業を始める前、事業者が点検者を指名して点検させることを義務づけています。点検者は、足場の組立て等作業主任者であって能力向上教育を受けた人など、十分な知識と経験を持つ人を指名するのが望ましいとされています(令和5年3月14日 基発0314第2号)。

出典と参考(2026年10月1日に確認)

あわせて読みたい

この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

自社の施工事例は、検索で見つけてもらうにはどう載せればいい? → 作成から更新まで頼めるWordPress作成代行センター

建設会社・工務店の方へ

ホームページの制作費は0円。かかるのは1万円だけです

1万円(税込・1回だけ)に、12か月のサーバーと .com ドメインの取得・初年度の費用を含みます。

制作費0円で申し込む ›
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

建設業界の申請実務・業界動向・サービス比較を専門とするリサーチャー兼ライター。行政書士選びのポイント・申請代行サービスの費用比較・都道府県別の審査傾向など、実際に情報収集して検証した内容を記事化。建設業の許可・経審・入札に関する公的資料を基に、現場で役立つ実践的な情報を正確に届けることを方針としている。

目次