建設業許可の営業所技術者(旧 専任技術者)の交代と電子申請|滋賀県の申請方法から学ぶ実務ポイント

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書類を見ながらノートパソコンで手続きをする男性

建設会社やリフォーム会社の経営者の皆様へ。建設業許可を保つには、営業所ごとに「営業所技術者」(以前の呼び方は専任技術者)を置き続ける必要があります。担当者が退職や異動をするときは、後任の届出を2週間以内に出さなければなりません。届出を怠ったり、名義だけの人を届け出たりすると、罰則や許可の取消しにつながります。本記事では、滋賀県の案内と建設業法の条文をもとに、交代の届出の期限と書類、電子申請(JCIP)の流れ、欠格要件の正しい範囲、名義貸しで有罪となった福岡県の事例から学ぶ注意点を整理します。

目次

営業所技術者の交代が必要な場面と法的背景

開いたノートとペンとコーヒーの机
開いたノートとペンとコーヒーの机(イメージ)

営業所技術者の役割と交代の届出の期限

建設業の許可を受けるには、営業所ごとに営業所技術者を専任で置く必要があります(建設業法第7条第2号)。営業所技術者になれるのは、施工管理技士や建築士などの資格を持つ人、決められた学歴と実務経験のある人、10年以上の実務経験のある人などです。

営業所技術者が営業所にいなくなり、代わりの人がいるときは、2週間以内に後任の届出をします(第11条第4項)。交代が必要になる主な場面は次のとおりです。

  • 退職したとき
  • 別の営業所や、専任で働けない部署へ異動したとき
  • 病気などで営業所に常勤できなくなったとき

交代の手続きを怠ったときのリスク

代わりの人がいないと、許可の基準を満たさなくなります。この場合は2週間以内にその旨を届け出る義務があり(第11条第5項)、許可は取消しの対象になります(第29条第1項第1号)。

また、後任の届出を出さなかったり、虚偽の記載をして出したりすると、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(第50条第1項第2号・第3号)。実際に、名義だけの技術者を届け出て有罪になった事例もあります(後で説明します)。

電子申請による交代手続きの実務フロー

グラフの資料を2人で指さして確かめる手元
グラフの資料を2人で指さして確かめる手元(イメージ)

電子申請システム(JCIP)と滋賀県の対応

国土交通省の「建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)」を使うと、インターネットで申請や届出ができます。滋賀県では令和5年1月10日から、許可の申請、変更の届出、決算変更届、廃業届、経営事項審査を電子で受け付けています。

電子申請の前に知っておきたい点:

  • gBizID が必要:デジタル庁の「gBizID」のアカウントを作ります。すでに持っていれば新しく作る必要はありません
  • 入力できない文字がある:JIS 第1〜第4水準以外の文字は入力できません。氏名などにこうした文字があるときは、県に相談します
  • 書面でも出せる:電子申請が始まった後も、書面の届出は引き続き使えます

交代の届出に必要な書類(滋賀県の案内)

滋賀県の「建設業許可変更届」のページでは、営業所技術者等の交代・退職のときの書類として、次のものが挙げられています。

書類内容
様式第22号の2(第一面)変更届出書
様式第1号別紙四営業所技術者等の一覧
様式第8号営業所技術者等の証明書(追加する人と削除する人でそれぞれ1枚)
資格証明書の写し資格で要件を満たす場合
様式第9号と添付書類実務経験で要件を満たす場合(実務経験証明書)
様式第10号特定建設業で必要な場合(指導監督的実務経験証明書)
常勤を確かめる書類後任が営業所に常勤していることを示すもの

必要な書類は変わることがあるため、提出の前に県のページで最新の案内を確かめてください。

入力と準備の注意点

  • 空白の期間を作らない:前任が退く日と後任が就く日の間が空くと、その間は許可の基準を満たしません。後任を先に決めてから交代の日を決めます
  • 常勤を示す書類を先に集める:後任が営業所に常勤していることを示す書類をそろえておきます
  • 資格は原本で確かめる:合格証明書や資格者証の原本を見て、写しと照らし合わせます
  • gBizID は早めに取る:発行までに日数がかかることがあるため、交代が決まった時点で準備します

欠格要件の確認と虚偽書類のリスク

作業着の人が積まれた本の横で分厚い本を開いて読む手元
作業着の人が積まれた本の横で分厚い本を開いて読む手元(イメージ)

欠格要件の対象は役員等と令3条の使用人

許可を受けられない条件(欠格要件)は建設業法第8条に定められています。対象は、会社、役員等、令3条の使用人(支配人や、支店・営業所の代表者)です。営業所技術者は、役員等や営業所の代表者を兼ねていなければ、欠格要件の対象ではありません。ただし、営業所技術者が営業所長を兼ねる会社も多いため、その場合は次の点を確かめます。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(第1号):復権すれば当たりません
  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、刑の執行を終わった日などから5年を経過しない者(第7号):罪の種類は問いません
  • 決められた法令・罪で罰金刑に処せられ、5年を経過しない者(第8号):建設業法、政令で定める建設・労働関係の法令、暴力団対策法の違反や、刑法の傷害・暴行・脅迫・背任などの罪が対象です
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(第9号)
  • 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者(第10号)

「成年被後見人・被保佐人」は2019年の法改正で欠格要件から外れ、いまは第10号で個別に判断されます。未成年であることだけでは欠格要件に当たりません。詐欺罪や横領罪には罰金刑がなく、窃盗罪の罰金刑は第8号の対象ではありません。

名義貸しで有罪となった福岡県の事例

TNCテレビ西日本(2026年4月30日)などの報道によると、福岡県大任町の建設会社の社長らは、2023年6月に一般建設業の許可を申請した際、働いている実態のない70代の男性2人の名義で「常勤役員等証明書」と「専任技術者証明書」を作り、県に提出していました。社長ら2人は2026年4月に逮捕され、同年9月、福岡地方裁判所で建設業法違反により懲役1年・執行猶予3年の判決を受けました。名義を貸した70代の2人も書類送検されています。

役員等が拘禁刑以上の刑に処せられると欠格要件に当たり(第8条第7号)、不正の手段で受けた許可は取消しの対象です(第29条第1項第7号)。不正の手段を理由に取り消されると、取消しの日から5年間は許可を受け直せません(第8条第2号)。

この事例から学べること:

  • 名義だけの人を届け出ない:営業所技術者は、その営業所に常勤し、専らその仕事をする人でなければなりません
  • 書類は事実どおりに作る:実務経験の証明や常勤の証明に事実と違う内容を書くと、罰則の対象です(第50条)
  • 届出の担当を決めておく:交代のたびに誰が確かめ、誰が届け出るかを社内で決めておきます

外国人技術者を配置するときの確認

在留資格と営業所技術者

外国人でも、営業所技術者の要件(資格、または学歴と実務経験、常勤・専任)を満たせば、営業所技術者になれます。ただし、その仕事が在留資格で認められた活動に入っている必要があります。

  • 就労の制限がない在留資格:永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者
  • 活動が決められている在留資格:「技術・人文知識・国際業務」など。営業所技術者の仕事が認められた活動の範囲に入るかを、出入国在留管理庁や専門家に確かめます

外国の学校の卒業や外国での実務経験は、国土交通大臣の認定を受けると要件に使える場合があります(第7条第2号ハ)。

在留資格の確かめ方

  1. 在留カードの原本を見る:在留資格、在留期間の満了日、就労の制限の有無を確かめます
  2. 失効していないか確かめる:出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」で、カードの番号が失効していないかを確かめます
  3. 更新の時期を管理する:在留期間の満了日を社内の台帳に記録し、更新を忘れないようにします

在留資格の範囲外の仕事をさせると、事業主が不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法第73条の2)に問われることがあります。

滋賀県で手続きを進めるときの注意点

情報源と相談先

滋賀県のホームページには、「建設業許可変更届」「建設業許可・経営事項審査の電子申請について」「建設業許可/認可申請マニュアル」のページがあります。書類や手順はこれらのページで最新の内容を確かめ、分からない点は県の建設業許可の担当課に相談しましょう。交代は許可の申請ではなく届出のため、「許可が下りるまで待つ」手続きではありませんが、書類に不足があれば補正を求められます。

交代の前に確かめるチェックリスト

  • 後任は資格または実務経験で要件を満たしているか(原本で確認)
  • 後任は営業所に常勤し、専任で働けるか(ほかの会社の仕事や、離れた工事現場の専任と重なっていないか)
  • 前任の退く日と後任の就く日の間に空白がないか
  • 後任が営業所長などを兼ねる場合、欠格要件に当たらないか
  • 外国人の場合、在留資格と在留期間に問題がないか
  • 届出の期限(事実が起きてから2週間以内)に間に合う段取りか

よくある質問

Q1. 営業所技術者(専任技術者)を交代するときに必要な書類は何ですか?

滋賀県の案内では、変更届出書(様式第22号の2)、営業所技術者等の一覧(様式第1号別紙四)、営業所技術者等の証明書(様式第8号・追加と削除)、資格証明書の写しまたは実務経験証明書(様式第9号)、常勤を確かめる書類などです。事実が起きてから2週間以内に届け出ます。

Q2. 電子申請で交代の届出を出すときの流れを教えてください。

gBizID のアカウントを用意し、JCIP にログインして変更の届出を選び、必要な内容を入力して書類を添付し、送信します。滋賀県では令和5年1月10日から電子での届出を受け付けています。書面での届出も引き続きできます。

Q3. 前の技術者から新しい技術者へ交代する間に空白期間があってもいいですか?

いいえ。空白の間は許可の基準を満たさず、2週間以内にその旨を届け出る義務が生じ、許可は取消しの対象になります(第11条第5項・第29条第1項第1号)。後任を決めてから交代の日を決めましょう。

Q4. 技術者の要件が変わったと聞いたのですが?

2023年7月1日施行の建設業法施行規則などの改正で、一般建設業の許可では、施工管理技士の技術検定(第一次検定を含む)の合格者が指定学科の卒業者と同じように扱われるようになりました。1級の合格者は合格後3年、2級の合格者は合格後5年の実務経験で要件を満たせます(対象の業種や検定の種目には条件があります)。また、いまの建設業法では、専任技術者を「営業所技術者」と呼びます。交代のときは最新の要件に合っているかを県のページで確かめてください。

Q5. 電子申請がうまくいかない場合、どう対処すればいいですか?

JIS 第1〜第4水準以外の文字が入っていないか、添付したファイルの形式に誤りがないかを確かめます。解決しないときは、滋賀県の担当課に問い合わせるか、書面での届出に切り替えましょう。期限(2週間以内)に間に合わせることを優先します。

まとめ

営業所技術者(専任技術者)の交代は、単なる人事異動の報告ではなく、建設業法に基づく届出です。本記事では、次の3点をお伝えしました。第1に、交代の届出は事実が起きてから2週間以内で、空白の期間を作ると許可の取消しの対象になること。第2に、滋賀県では令和5年1月からJCIPで電子の届出ができ、gBizIDの準備と入力できない文字に注意が要ること。第3に、名義だけの人を届け出ると刑事罰と許可の取消しにつながり、欠格要件は役員等と令3条の使用人について確かめること。交代が決まったら、まず後任の要件と常勤の状況を確かめることから始めましょう。

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工事の発注先や協力業者を探すときは、建設業許可業者データベースで許可業種と所在地から確認できます。許可の有無と業種は、見積依頼の前に必ず確かめておきたい項目です。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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