古い家や空き家を取り壊すとき、解体の会社に頼めば手続きもすべて会社がしてくれる、と思っていませんか。実は、一定の大きさ以上の建物の解体では、施主(発注者)に届け出の義務があります。
この記事では、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)の条文をもとに、家の解体を頼むときに施主が知っておきたいことをまとめました。
床面積80㎡以上の解体は、発注者が届け出る

建設リサイクル法第10条は、対象になる工事の発注者は、工事に着手する日の7日前までに、決められた事項を都道府県知事に届け出なければならない、としています。
対象になるのは、木材やコンクリートなどの決められた建設資材を使った建物の解体で、建設リサイクル法施行令第2条が定める大きさ以上の工事です。建物の解体では、解体する部分の床面積の合計が80㎡が基準です。一般的な一戸建ての家の解体は、この大きさに当たることが多いでしょう。
届け出る事項は、次のとおりです(第10条第1項)。
- 解体する建物の構造
- 工事に着手する時期と工程の概要
- 分別解体(資材の種類ごとに分けて壊すこと)の計画
- 解体する建物に使われた建設資材の量の見込み
- そのほか主務省令で定める事項
届け出た内容を変えるときも、工事に着手する日の7日前までに届け出ます(同条第2項)。届け出の窓口は住んでいる地域によって違うので、県や市区町村の案内で確かめてください。
届け出をしないと罰金の対象に
建設リサイクル法第51条は、第10条の届け出をしなかった者や、うその届け出をした者は、20万円以下の罰金に処する、としています。この決まりの対象は発注者です。会社に任せきりにせず、届け出が済んでいるかを施主も確かめておきましょう。
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制作費0円で申し込む ›会社は、施主に書面で説明する決まり

施主が届け出の中身を自分で全部考えるのは大変です。そこで建設リサイクル法第12条は、施主から直接工事を請け負おうとする会社に、少なくとも第10条第1項の事項(建物の構造・工程・分別解体の計画・資材の量の見込みなど)を書面で渡して説明するよう求めています。
見積もりや契約の段階で、この説明の書面を受け取っているかを確かめてください。説明が無いまま「手続きはこちらでやっておきます」とだけ言われたときは、届け出を誰が・いつ出すのかを確かめておくと安心です。
解体を頼む会社の確かめ方:許可か登録か

解体工事を仕事にするには、建設業の許可か、解体工事業の登録が要ります。
- 建設業の許可:税込み500万円以上の解体工事を単独で請け負うには、建設業の解体工事業の許可が要ります(土木一式・建築一式の工事の一部としての解体はそれぞれの許可で行えます)。土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可を持つ会社は、建設リサイクル法の解体工事業の登録が要りません
- 解体工事業の登録:これらの許可を持たない会社が解体工事業をするには、工事をする区域の都道府県知事の登録を受けなければなりません(建設リサイクル法第21条)。登録は5年ごとに更新します
建設業の許可は、当サイトの建設会社名検索で社名から許可の種類と有効期限を調べられます。許可の確かめ方は「リフォームを頼む前に|建設業許可を確かめる3つの手順」に、契約書で確かめる項目は「工事の契約書で確かめること」にまとめています。解体工事業の登録は、都道府県が公開している登録業者の名簿で確かめられることがあります。会社名が分からないときは、都道府県別・業種別の建設会社の一覧からも探せます。
見積書で確かめたい、解体の費用の中身
解体の見積もりは、会社によって書き方がまちまちです。「解体工事 一式」だけでは、何が入っていて何が入っていないかが分かりません。見積書を受け取ったら、次の項目が分けて書かれているか、入っていない物は別にかかるのかを確かめましょう。
- 足場と、ほこりや音を防ぐ養生のシート
- 建物本体を壊す費用(重機・手作業)
- 出た廃材を運んで処分する費用
- 基礎のコンクリートの撤去
- 庭木・ブロック塀・物置・カーポートなど、建物の外にある物の撤去
- 家の中に残った家具や家電の処分(入っていないことが多い)
あわせて、工事の途中で地中から古い基礎や廃材が出てきたときに、費用をどう決めるかも聞いておきます。契約書や見積書にその扱いが書かれていると、あとで話が食い違いにくくなります。
解体の前と後に、施主がしておくこと
工事は会社がしますが、施主にしかできない準備もあります。
- 電気・ガス・水道・電話などの連絡:止める日を、それぞれの会社に前もって伝える(水道は工事で使うことがあるので、止める日を解体の会社と相談する)
- 家の中の片付け:残す物と処分する物を分け、処分を会社に頼むなら見積もりに入れてもらう
- 近所へのあいさつ:工事の期間と、音やほこりが出ることを伝える。会社が回るのか、施主も一緒に回るのかを決めておく
- 建物がなくなった後の登記:登記されている建物を取り壊したら、建物の滅失の登記を1か月以内に申請します(不動産登記法 第57条)。土地家屋調査士に頼むこともできます
解体の後の土地を売ったり、新しく家を建てたりする予定があるときは、その計画も会社に伝えておくと、基礎の撤去や地面のならし方を合わせてもらえます。見積もりは、同じ条件(壊す範囲・建物の外の物・家の中の物の処分の有無)を伝えて複数の会社に頼むと、金額だけでなく説明の丁寧さや書面の分かりやすさも比べられます。届け出の手伝いや近所へのあいさつまで含めてくれるかも、比べる材料になります。質問への答えが早く、書面で返してくれる会社だと、工事の間の連絡もしやすくなります。比べた結果は、メモに残しておきましょう。
まとめ:家の解体を頼む前に確かめる4つのこと
- 解体する部分の床面積の合計が80㎡以上なら、発注者(施主)が着工の7日前までに届け出る(建設リサイクル法第10条)
- 届け出をしない・うその届け出は20万円以下の罰金(同法第51条)
- 会社から、建物の構造・工程・分別解体の計画などを書いた書面で説明を受ける(同法第12条)
- 会社が建設業の許可(土木・建築・解体)か解体工事業の登録を持っているかを確かめる(同法第21条)
出典:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第10条・第12条・第21条・第51条、同法施行令 第2条(e-Gov 法令検索・2026年9月30日に確認)
よくある質問
届け出は解体の会社に代わりに出してもらえますか?
法律上、届け出の義務があるのは発注者です。会社に手続きを手伝ってもらう場合も、誰の名前で・いつ出したのかを確かめ、控えを受け取っておきましょう。代わりに出してもらえるかや必要な書類は、届け出の窓口の案内で確かめてください。
床面積が80㎡に届かない小さな建物なら、何も要りませんか?
建物の解体で第10条の届け出の対象になるのは、解体する部分の床面積の合計が80㎡以上の工事です(施行令第2条)。ただし、解体を請け負う会社が建設業の許可(土木・建築・解体)か解体工事業の登録(第21条)を持っている必要があるのは、工事の大きさにかかわりません。建物以外のもの(工作物)の解体は請負代金の額が基準になるなど、扱いが違うので、迷ったら窓口に確かめてください。
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