建設業の倒産件数が急増中|帝国データバンクのデータで見る経営リスクと生存戦略

企業検索はメインサイトから

建設業許可データベースのトップへ
ノートパソコンの前で頭を抱える人の後ろ姿

「受注は増えているのに手元に資金が残らない」「材料費が上がって見積もりが合わない」——こうした声が建設業経営者から増えています。帝国データバンクと東京商工リサーチの最新データによると、建設業の倒産件数は近年増加傾向にあり、特に中小企業での「黒字倒産」が問題視されています。本記事では統計データをもとにリスク要因を整理し、生存戦略を解説します。

目次

建設業倒産の最新動向:帝国データバンク統計が示す警戒信号

帝国データバンクの「「建設業」の倒産動向(2025年)」(2026年1月13日発表)によると、2025年の建設業の倒産は2,021件(前年比6.9%増)で、2000年以降では初めての4年連続の増加となりました。注目すべきは倒産原因の変化です。従来は「受注不足」が主因でしたが、近年は「コスト増加による収益悪化」「資金繰り困難」が上位に浮上しています。

  • 物価高倒産:240件(前年250件)。資材や燃料の値上がりを価格に転嫁できなかった倒産
  • 人手不足倒産:113件(前年99件)
  • 規模:負債5,000万円未満の小規模な倒産が1,167件で、全体の57.7%
  • 業種:とび工事業が過去最多。はつり・解体、塗装、防水、機械器具設置の各工事業も2000年以降で最多

📊 参照データ:帝国データバンク「「建設業」の倒産動向(2025年)」
👉 https://www.tdb.co.jp/report/industry/1lm_mer_4e/

3つのコスト高騰が建設業を直撃している実態

建設現場で稼働するタワークレーン
建設現場で稼働するタワークレーン(イメージ)

建設業の経営を圧迫している主な要因は以下の3点です。これらが同時に発生している点が今回の危機の特徴です。

  1. 資材高騰:木材・鉄鋼・コンクリートの価格が2020年ごろから大きく上がり、高い水準が続いている。上がり幅は資材と地域で違うため、自社の仕入れ値の推移で確かめたい
  2. 人件費増加:最低賃金の毎年引き上げ・技能者不足による単価上昇。上がった人件費を受注単価に反映しにくいことが収益を圧迫する
  3. 金利上昇:日銀の政策変更により、借入金利が上昇傾向。設備投資や運転資金の調達コストが増大

📊 参照データ:国土交通省「建設工事施工統計調査」
👉 https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001361.html

倒産リスクを数値で診断:自社の財務健全性チェック

建設業の資金繰り管理と財務書類
建設業の資金繰り管理と財務書類(イメージ)

以下の財務指標を確認し、「警戒ゾーン」に入っていないか確認してください。

  • 自己資本比率:20%未満は要注意
  • 流動比率:120%未満は資金繰りリスクあり(流動資産÷流動負債×100)
  • 売上高経常利益率:2%未満は赤字転落リスクが高い
  • 借入依存度:総資産に占める有利子負債が50%超は危険水域

今すぐ着手できる生存戦略3つ

倒産リスクを回避するために、経営者がいま取れる手は以下の3つです。

  1. 価格転嫁の交渉:資材・労務費の上昇分を見積もりに反映させる。国交省の「適正な工期・請負代金の確保」ガイドラインを活用する
  2. 資金繰り管理の強化:月次の資金繰り表を作成し、3ヶ月先まで可視化する。早期に金融機関と相談できる体制を整える
  3. 選別受注への転換:薄利の案件から撤退し、利益率の高い分野に特化する。専門技術・許可業種を武器にした差別化が有効
財務指標見直しを考える目安
自己資本比率20%未満は要注意
流動比率120%未満は警戒
売上高経常利益率2%未満は危険水域
借入依存度50%超は要注意
月次資金繰り可視化3ヶ月先まで見えていなければ危険
建設業経営者向け倒産リスクの見直しの目安(本記事の目安で、公的な基準ではありません。同業の平均と比べるときは、決算書を預けている税理士や取引のある金融機関に同じ業種・規模の数字を聞くのが確実です)

価格転嫁と取引先の倒産に備えて使える制度

改正建設業法:値上がりを請負代金に反映する仕組み

令和6年に改正された建設業法(令和6年法律第49号)は、資材の値上がりや労務費の上昇を請負代金に反映しやすくするための決まりを定めています。受注する側は、資材の値上がりなどが起きるおそれがあると認めるときは、契約を結ぶまでに注文者へその情報(おそれ情報)を知らせなければなりません。契約書には、価格が変わったときに請負代金や工事の内容をどう変えるかの方法を書くことになりました。

令和7年12月12日に全面施行された部分では、中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を示し、著しく低い労務費などによる見積りの提出や、見積りの変更の依頼が禁じられました。値上げの交渉では、自社の見積りの根拠(材料の仕入れ値の推移・労務費の内訳)を書面で示せるようにしておくことが、交渉の土台になります。

経営セーフティ共済:取引先の倒産による連鎖を防ぐ

元請や取引先が倒産して売掛金が回収できなくなると、黒字の会社でも資金繰りが一気に苦しくなります。中小企業基盤整備機構の「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」は、掛金を月5,000円〜20万円(5,000円単位)で積み立て、取引先が倒産したときに、回収できなくなった売掛金などの額と掛金総額の10倍(最高8,000万円)のいずれか少ない額まで借りられる制度です。掛金は総額800万円まで積み立てられます。借りるには加入から6か月以上掛金を納めていることなどの条件があるため、取引先の経営が気になり始めてからではなく、平時に入っておくことが大切です。

📊 参照データ:国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」/中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済」(確認日:2026-09-27)

まとめ:倒産は他社の話ではない——数字で自社を守る

  • 建設業倒産の主因は「受注不足」から「コスト増加による収益悪化」に変化している
  • 資材高騰・人件費増・金利上昇の三重苦が中小建設会社を直撃中
  • 自己資本比率・流動比率・売上高利益率を毎月確認し、早期対処が鍵

➡ 建設業許可を持つ会社を都道府県で検索する

➡ 都道府県別の建設業情報・手続きガイド

➡ 建設業経営情報ブログ(記事一覧)

よくある質問

Q: 建設業で倒産が増えている主な原因は何ですか?

資材高騰・人件費増加・金利上昇の三重苦が主な原因です。帝国データバンクのデータでは、従来の受注不足型から「コスト増加による収益悪化」型の倒産にシフトしています。特に自己資本比率が低い小規模業者への影響が大きくなっています。

Q: 建設業の倒産リスクを早期に発見する方法はありますか?

自己資本比率(20%未満は要注意)・流動比率(120%未満は警戒)・売上高経常利益率(2%未満は危険)の3指標を毎月確認することが有効です。月次の資金繰り表で3ヶ月先まで可視化し、早期に金融機関へ相談できる体制を整えてください。

Q: 2025年の建設業の倒産は何件でしたか?

帝国データバンクの集計(2026年1月13日発表)では2,021件で、前年より6.9%増えました。2000年以降で初めて4年続けての増加です。資材などの値上がりを価格に転嫁できなかった「物価高倒産」が240件、「人手不足倒産」が113件でした。

Q: どの工事業で倒産が増えていますか?

同じ集計では、とび工事業が過去最多となり、はつり・解体、塗装、防水、機械器具設置の各工事業も2000年以降で最多となりました。職人の確保と資材の値上がりの影響を受けやすい専門工事業で増えているのが特徴です。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-10-02)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

あわせて読みたい

自社の施工事例は、検索で見つけてもらうにはどう載せればいい? → 作成から更新まで頼めるWordPress作成代行センター

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

目次