鹿児島県の建設業許可更新|役員の罰金刑・欠格要件で不許可を防ぐ確認手順

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書類がとじられたリングファイルの金具のアップ(セピア調)

建設業許可の更新を控えた鹿児島県の建設会社・工務店の経営者の皆さんは、更新の審査で「欠格要件」が改めて確かめられることをご存じでしょうか。欠格要件の対象は従業員全員ではなく、申請者と役員等、支店長や営業所長などの「令3条の使用人」です。対象者が特定の法令違反で罰金刑を受け、5年を過ぎていなければ、更新は認められません。本記事では、建設業法の条文と国土交通省・鹿児島県の公式ページをもとに、確認の対象者、罰金刑が影響する罪と5年の数え方、会社としての確かめ方、社会保険の加入要件、更新前のチェックリストを整理します。

目次

建設業許可の更新で確かめる「欠格要件」とは

更新の審査で見られる主な欠格要件(建設業法第8条)

建設業法第8条は、許可をしてはならない場合(欠格要件)を定めています。更新の申請では、第1号と第7号から第14号までが確かめられます。経営者が押さえておきたいのは次の項目です。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 拘禁刑以上の刑(2025年6月からの呼び方。それまでの懲役・禁錮)に処せられ、刑の執行を終わった日などから5年を経過しない者(罪の種類を問わない)
  • 建設業法など決められた法令に違反して罰金刑に処せられ、刑の執行を終わった日などから5年を経過しない者
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者

このほか、許可申請書や添付書類に重要な事項の虚偽の記載があったり、重要な事実の記載が欠けていたりする場合も、許可はされません。

確認の対象者は「役員等」と「令3条の使用人」

欠格要件に当たるかを確かめる対象者は、法律で次のように決まっています(建設業法第8条・同法施行令第3条)。

  • 法人の場合:会社そのもの、役員等(業務を執行する社員・取締役・執行役やこれに準ずる者のほか、相談役・顧問など名称を問わず同等以上の支配力を持つ人)、令3条の使用人(支配人、支店や営業所の代表者)
  • 個人事業主の場合:事業主本人、令3条の使用人(支配人、支店や営業所の代表者)
  • 営業に関して成年者と同じ行為能力を持たない未成年者の場合:その法定代理人

現場代理人や主任技術者、施工管理技士、一般の従業員は、役員等や支店・営業所の代表者を兼ねていなければ、欠格要件の対象ではありません。一般建設業の許可でも特定建設業の許可でも、この範囲は同じです。

罰金刑で欠格になる罪と「5年」の数え方

罰金刑のうち欠格要件に当たるのは、次の法令に違反した場合だけです(建設業法第8条第8号・同法施行令第3条の2)。

  • 建設業法
  • 建築基準法・宅地造成及び特定盛土等規制法・都市計画法・景観法の、行政の命令に違反した場合
  • 労働基準法(強制労働の禁止・中間搾取の排除)、職業安定法(労働者供給事業の禁止)、労働者派遣法(建設業務などへの派遣の禁止)
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
  • 刑法の傷害・現場助勢・暴行・凶器準備集合・脅迫・背任の罪
  • 暴力行為等処罰に関する法律の罪

5年は「罪を犯した日」からではなく、「刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日」から数えます。罰金刑であれば、罰金を納め終えた日がおおむね起点です。たとえば令和4年(2022年)10月に罰金を納め終えた場合、令和9年(2027年)10月までは欠格要件に当たります。

鹿児島県での確認の実務的な流れ

木々の間から見た鹿児島市の街並みと桜島
木々の間から見た鹿児島市の街並みと桜島(イメージ)

対象者の一覧を作り、本人の申告で確かめる

欠格要件を確かめる基本は、対象者本人からの申告です。会社として進める手順は次のとおりです。

  1. 登記の役員、支配人、支店・営業所の代表者を一覧にする(相談役・顧問などを含めて漏れがないか確かめる)
  2. 一覧の一人ひとりに欠格要件の中身を説明し、当てはまるものがないかを書面で申告してもらう
  3. 役員や営業所長の就任・交代のたびに、同じ確認を行う
  4. 当てはまるかもしれない人がいるときは、申請の前に鹿児島県土木部監理課(建設業許可係)へ相談する

許可の申請書には、申請者と役員等・令3条の使用人が欠格要件に当たらないことを誓う「誓約書」を添えます。事実と違う誓約をすると、それ自体が虚偽の申請になります。

警察に役員や従業員の前科を照会することはできない

警察が出す「犯罪経歴証明書」は、外国の大使館や移民局などから提出を求められた人が、本人で申請するものです(鹿児島県警察「海外渡航等のための犯罪経歴証明書の申請」)。会社が役員や従業員の前科を警察に照会する手続きはありません。また、犯罪の経歴は個人情報保護法の「要配慮個人情報」に当たり、本人の同意なく取得することは原則としてできません。調査会社に前科を調べさせるような方法は避け、本人の申告と書面で確かめましょう。

社会保険の加入要件と勤怠の記録

社会保険の加入は許可の要件

2020年10月の建設業法の改正から、適切な社会保険への加入が許可の要件になりました。健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、適用事業所に当たるすべての営業所で届出をしていることが必要です(国土交通省「許可の要件」・鹿児島県「建設業許可の要件について」)。更新の申請でも確かめられます。

社会保険の加入は、欠格要件(罰金刑など)とは別の要件です。どちらか一方だけ整えても更新はできないため、両方を同じ時期に点検しておくと安心です。

勤怠管理システムで記録をそろえる

社会保険の加入や賃金の支払いを記録で示しやすくするため、勤怠管理システムを入れる建設会社も増えています。建設業で選ぶときのポイントは次のとおりです。

建設業でシステムを選ぶポイント:

  • 複数の現場での出勤・退勤を一元管理できるか
  • 給与計算システムと連携し、実際の労働日数が記録されるか
  • 社会保険料の控除額を自動で計算できるか
  • 時間外労働の上限(36協定の原則の月45時間)に近づいたことが分かるか
  • 労働者名簿や賃金台帳など労働関係の記録を、法律の保存期間(5年。当分の間は3年)以上残せるか

記録がそろっていれば、社会保険の加入状況を確かめる作業や、役員・営業所長の在籍期間を確かめる作業も進めやすくなります。

更新申請で陥りやすい失敗パターン

庭石と小川の前に建つ平屋の家
庭石と小川の前に建つ平屋の家(イメージ)Photo by Jose Lopez on Pexels

パターン1:対象者を狭めすぎる・広げすぎる

対象者の範囲を取り違えると、確認が漏れたり、必要のない負担が生まれたりします。

  • 狭めすぎる例:登記の取締役だけを確かめ、支店長・営業所長(令3条の使用人)や、相談役・顧問を見落とす
  • 広げすぎる例:現場の従業員全員に罰金刑の申告を求める(法律上の対象ではないうえ、前科は要配慮個人情報で扱いに注意が要る)

パターン2:「5年」を罪を犯した日から数える

5年の起点は、罪を犯した日でも判決の日でもなく、刑の執行を終わった日などです。

  • 誤解例:「罪を犯したのは6年前だから、もう5年を過ぎている」と判断する
  • 正しい考え方:罰金を納め終えた日などから5年を過ぎているかで判断する

対象者の申告を受けるときは、刑が確定した時期と罰金を納め終えた時期を分けて書いてもらうと、判断を誤りにくくなります。

パターン3:更新のときだけ確かめる

欠格要件は更新の審査だけで問題になるものではありません。許可を受けた後に役員等や令3条の使用人が欠格要件に当たるようになると、更新を待たずに許可の取消しの対象になります(建設業法第29条第1項第2号)。役員や営業所長を選ぶときに確かめ、就任後も定期的に申告を受ける体制が大切です。

実務的なチェックリストと対応スケジュール

有効期間の満了の半年前から進める項目

更新の申請は、有効期間が満了する日の30日前までに出す決まりです(建設業法施行規則第5条)。余裕を持って進められるよう、確認の項目を次の表にまとめました。

実施項目時期担当
対象者の一覧化(役員等・支配人・支店や営業所の代表者)満了6か月前総務
対象者への欠格要件の説明と申告書の回収満了5か月前総務
役員等の変更届が出ているかの確認(登記と県への届出が合っているか)満了4か月前総務
毎年の決算変更届が全部出ているかの確認満了4か月前総務
社会保険の加入状況の確認満了3か月前経理
申請書類一式の作成・確認(誓約書を含む)満了2か月前総務
鹿児島県への更新申請の提出満了30日前まで総務

このスケジュール表を社内の管理ツール(Excel やクラウドの管理ツール)に組み込み、進み具合を月1回確かめる体制をつくっておくと、更新の直前にあわてずに済みます。

よくある質問

白い机で電卓を打つ手元とペン
白い机で電卓を打つ手元とペン(イメージ)

Q1. 建設業許可の更新で、従業員全員の罰金刑を確かめる必要がありますか?

いいえ。欠格要件の対象は、申請者(法人・個人事業主)、役員等、令3条の使用人(支配人、支店や営業所の代表者)です。現場代理人や一般の従業員は、これらを兼ねていなければ対象ではありません。対象者の範囲に迷うときは、鹿児島県土木部監理課に確かめてください。

Q2. どのような罰金刑が建設業許可に影響しますか?

建設業法、建築基準法などの命令違反、労働基準法の強制労働・中間搾取、職業安定法、労働者派遣法、暴力団対策法、刑法の傷害・暴行・脅迫・背任などの罪、暴力行為等処罰法の罪による罰金刑です。道路交通法の違反による罰金は含まれません。一方、拘禁刑以上の刑は罪の種類を問わず欠格要件に当たります。

Q3. 役員の処分歴はどこで確かめられますか?

会社が警察に役員や従業員の前科を照会する手続きはありません。本人に欠格要件の中身を説明したうえで、書面で申告してもらうのが基本です。前科は要配慮個人情報に当たるため、本人の同意のない調査は避けてください。判断に迷う場合は、鹿児島県土木部監理課や行政書士などの専門家に相談しましょう。

Q4. 許可を受けた後に役員が罰金刑を受けた場合はどうなりますか?

その罰金刑が欠格要件に当たる罪によるものであれば、更新を待たずに許可の取消しの対象になります(建設業法第29条第1項第2号)。当てはまるかどうかを早めに確かめ、鹿児島県土木部監理課や専門家に相談してください。

Q5. 更新の申請で事実と違う内容を書いたらどうなりますか?

申請書や添付書類に重要な事項の虚偽の記載があれば、許可はされません(建設業法第8条)。不正の手段で許可や更新を受けたことが後で分かれば許可は取り消され、取消しの日から5年間は許可を受けられなくなります(同法第29条第1項第7号・第8条第2号)。分からない点は、申請の前に鹿児島県の担当課へ相談しましょう。

まとめ

鹿児島県で建設業許可を更新するときの欠格要件の確認は、対象者の範囲と数え方を正しく押さえれば、社内の手順で着実に進められます。本記事では、次の3点が実務的に重要であることをお伝えしました。第1に、確認の対象は申請者・役員等・令3条の使用人であり、罰金刑で欠格になるのは建設業法など決められた法令の違反に限られること。第2に、5年は刑の執行を終わった日などから数え、会社が警察に前科を照会する手段はないため、本人の申告と書面で確かめること。第3に、社会保険の加入要件と合わせて、満了の半年前から計画的に確認を進め、許可を受けた後も役員や営業所長の交代のたびに確かめることです。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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