建設業許可の確認方法を維持する上で、経営業務管理責任者の変更は避けて通れない重要な手続きです。しかし、変更届の提出要件や必要書類について正確に理解している経営者は意外と少なく、申請直前になって慌てるケースが後を絶ちません。特に2026年7月からの経営事項審査(経審)について改正により、資格要件や評価基準に変更が加えられたことで、変更届提出時の確認事項も増えています。この記事では、経営業務管理責任者の変更届を提出する際に必要な要件確認から具体的な書類準備、さらに施工管理技士資格取得や外国人雇用といった特殊ケースまで、実務に即した形で詳しく解説します。
本記事は令和8年(2026年)5月現在の法令・制度に基づいて作成しています。建設業法・出入国管理法等の法改正が随時行われるため、最新情報は国土交通省・出入国在留管理庁の公式サイトでご確認ください。
経営業務管理責任者の変更届が必要になるケースとは
変更届の提出が義務付けられる3つの場面
経営業務管理責任者に関する変更届は、建設業法に基づき一定の事由が発生した場合に提出が義務付けられています。主なケースは以下の3つです。
1. 経営業務管理責任者の交代
代表取締役の退任や役員構成の変更により、新たな人物が経営業務管理責任者に就任する場合です。この場合、新任者が建設業法で定める要件(5年以上の経営業務経験など)を満たしていることを証明する必要があります。
2. 氏名・住所等の変更
経営業務管理責任者本人の氏名が変更された場合や、本店所在地の変更に伴い届出事項に変更が生じた場合も変更届の対象となります。
3. 資格・実務経験の追加取得
施工管理技士資格を新たに取得した場合や、追加の業種で経営業務経験を満たした場合など、経営業務管理責任者の要件に関わる事項が変更された際にも届出が必要です。
変更届の提出期限と提出先
建設業許可における変更届は、変更事実が発生した日から2週間以内に提出することが建設業法第11条で定められています。期限を過ぎた場合、監督処分の対象となる可能性があるため注意が必要です。
提出先は、国土交通大臣許可の場合は地方整備局、都道府県知事許可の場合は許可を受けた都道府県の建設業課となります。複数の都道府県に営業所がある場合でも、主たる営業所の所在地を管轄する行政庁への提出となります。
2026年改正経審に対応した要件確認のポイント

経営事項審査改正で変わった評価項目
2026年7月1日に施行された経営事項審査の改正では、「建設技能者を大切にする」という方針が明確化されました。この改正により、経営業務管理責任者が保有する資格や実務経験の評価にも影響が出ています。
具体的には、1級・2級施工管理技士資格の保有者に対する評価が見直され、特に複数業種の施工管理技士資格を保有している場合の加点制度が拡充されました。そのため、経営業務管理責任者が新たに施工管理技士資格を取得した場合、変更届を提出することで経審の評価点向上につながる可能性があります。
施工管理技士資格取得時の変更届申請手続き
2026年現在、2級施工管理技士試験の実施回数が拡大され、より多くの技術者が資格取得の機会を得られるようになりました。経営業務管理責任者が新たに施工管理技士資格を取得した場合、以下の書類を添付して変更届を提出します。
- 変更届出書(様式第22号の2)
- 施工管理技士合格証明書の写し
- 経営業務管理責任者証明書(様式第7号)の更新版
- 常勤性を証明する書類(健康保険証の写しなど)
特に注意すべき点は、資格取得により専任技術者としての兼務要件が変わる可能性があることです。経営業務管理責任者と専任技術者を兼務している場合、資格の追加取得により担当できる業種が増えるため、建設業許可申請の手順の業種追加と併せて検討することをおすすめします。
外国人雇用における経営業務管理責任者の特例要件
外国人が経営業務管理責任者になるための条件
建設業界における人手不足を背景に、外国人労働者を経営幹部として登用する企業が増えています。外国人が経営業務管理責任者となる場合、日本人と同様の要件に加えて、以下の条件を満たす必要があります。
在留資格の確認
経営業務管理責任者として認められるためには、「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」のいずれかの在留資格を有していることが必須です。技能実習や特定技能1号の在留資格では、経営業務管理責任者になることはできません。
常勤性の証明
外国人の場合、在留カードの写しに加えて、雇用契約書や社会保険加入証明書など、より詳細な常勤性の証明書類が求められる傾向があります。特に在留期間の更新時期が近い場合は、更新後の在留カードの提出を求められることもあります。
外国人を経営業務管理責任者とする場合の変更届作成ポイント
外国人を経営業務管理責任者として変更届を提出する際は、通常の変更届書類に加えて以下の書類を準備します。
- 在留カードの両面コピー
- パスポートの写し(顔写真ページと在留資格記載ページ)
- 住民票(国籍・在留資格記載のもの)
- 経営業務経験を証明する書類(日本国内での経験に限る)
特に重要なのは、経営業務経験の証明です。外国人の場合でも、建設業における5年以上の経営業務経験は日本国内の企業での経験が求められます。母国での経験は原則として認められないため、この点を事前に確認しておく必要があります。
変更届の具体的な書き方と添付書類の準備方法

変更届出書(様式第22号の2)の記入手順
経営業務管理責任者の変更届は、各都道府県が定める様式第22号の2を使用します。記入項目は以下の通りです。
- 許可番号・商号または名称:建設業許可通知書に記載された情報を正確に転記します
- 変更事項:「経営業務管理責任者」にチェックを入れます
- 変更年月日:実際に変更が発生した日付(取締役会議事録の日付など)を記入します
- 変更前・変更後の内容:氏名、生年月日、役職名を正確に記入します
- 添付書類の一覧:提出する書類すべてにチェックを入れます
記入時の注意点として、変更年月日は「事実が発生した日」であり、届出を作成した日ではありません。例えば、取締役会で新しい経営業務管理責任者を選任した場合、その取締役会の開催日が変更年月日となります。
必須添付書類のチェックリスト
経営業務管理責任者の変更届には、以下の書類の添付が必須です。
基本書類
- 変更届出書(様式第22号の2)
- 経営業務管理責任者証明書(様式第7号)
- 常勤役員等の一覧表(様式第11号の2)
経営業務経験を証明する書類
- 履歴事項全部証明書(法人の場合、発行後3か月以内)
- 5年以上の経営業務経験を証明する確定申告書の写しまたは決算報告書
- 健康保険被保険者証の写し(常勤性の証明)
補完書類(該当する場合のみ)
- 施工管理技士合格証明書の写し
- 在留カード・パスポートの写し(外国人の場合)
- 組織図(経営業務管理責任者の役割を明示したもの)
都道府県によって求められる書類に若干の違いがあるため、提出前に管轄の建設業課に確認することをおすすめします。
2026年改正経審の主な変更点と経営業務管理責任者への影響
令和8年(2026年)施行の建設業法改正では、経営事項審査(経審)において以下の点が変更されました。中小建設会社の経営業務管理責任者(経管)変更届に影響する箇所を確認してください。
| 変更項目 | 改正前 | 改正後(令和8年〜) |
|---|---|---|
| W点(労働福祉の状況) | 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入のみ対象 | 退職金制度・建退共加入状況も評価対象に追加 |
| 技術職員Z点 | 1級技士補は0.5人分 | 1級技士補で実務5年以上は0.75人分に引き上げ |
| 経管の要件確認書類 | 登記事項証明書+確定申告書 | 上記に加えて社会保険加入証明書を追加要求 |
変更届の提出から許可証書き換えまでの標準スケジュール
経営業務管理責任者の変更届は、変更があった日から14日以内に提出が必要です(建設業法第11条)。以下が標準的なスケジュールです。
| 日数 | 対応事項 | 担当 |
|---|---|---|
| 0日(変更日) | 役員変更・代表取締役選定の株主総会・取締役会決議 | 社内 |
| 1〜3日 | 新任経管の要件書類(経験証明・資格証明)の収集 | 社内+前職先 |
| 4〜7日 | 登記事項変更申請(司法書士委託の場合) | 司法書士 |
| 8〜14日 | 都道府県建設業担当課へ変更届提出(14日以内の必須期限) | 社内または行政書士 |
| 1〜3ヶ月後 | 許可証書き換え(都道府県により処理期間が異なる) | 行政庁 |
変更届に必要な書類チェックリスト
- 建設業許可申請書(変更届出書:様式第22号の4)
- 新任経管の略歴書(様式第12号)
- 経営業務の管理責任者証明書(様式第7号)または確認資料
- 登記事項証明書(変更登記完了後のもの、発行3ヶ月以内)
- 社会保険加入証明書(令和8年改正追加要件)
- 前任経管の退任証明書類(議事録等)
よくある質問
Q1. 経営業務管理責任者の変更届はいつまでに提出する必要がありますか?
経営業務管理責任者に変更が生じた場合は、変更があった日から2週間以内に都道府県知事または国土交通大臣に変更届を提出する必要があります。期限を過ぎると監督処分の対象となる可能性があるため、速やかな手続きが求められます。
Q2. 経営業務管理責任者の変更届に必要な添付書類は何ですか?
主な添付書類は、新任者の常勤性を証明する社会保険証明書、経営業務管理責任者要件を満たす経験を証明する書類(履歴書、工事実績等)、登記事項証明書、組織図、新旧責任者の就任・退任に関する取締役会議事録などです。
Q3. 2026年改正で経営業務管理責任者の要件はどう変わりますか?
2026年の経審改正では、経営業務管理責任者の経験年数要件の見直しや、複数業種における経験の評価方法が変更される見込みです。また、デジタル化対応として電子申請の義務化や、経験証明書類のオンライン提出が可能になる予定です。
Q4. 経営業務管理責任者が急に退職した場合の対応方法を教えてください
後任者を速やかに選任し2週間以内に変更届を提出する必要があります。要件を満たす後任者がいない場合、許可が取り消される可能性があるため、事前に複数の候補者を確保しておくことが重要です。やむを得ない場合は行政庁に相談しましょう。
Q5. 経営業務管理責任者と専任技術者は兼任できますか?
要件を満たしていれば兼任可能です。ただし、両方の常勤性が求められ、それぞれの職務を適切に遂行できることが条件です。兼任する場合も社会保険加入証明や常勤を示す書類が必要となり、変更届にはその旨を明記する必要があります。
関連情報:
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まとめ

経営業務管理責任者の変更届は、建設業許可を維持するための重要な手続きです。今回解説した3つのポイントを押さえておきましょう。1点目は、変更事実が発生してから2週間以内に提出することが法律で義務付けられているため、余裕を持った準備が必要だということです。2点目は、2026年7月施行の経審改正により、施工管理技士資格の評価が見直されたため、資格取得時の変更届提出が経審の評価向上につながる可能性があることです。3点目は、外国人を経営業務管理責任者とする場合、在留資格の確認と日本国内での経営業務経験の証明が必須となることです。変更届の提出が必要な場面が発生したら、まずは管轄の建設業課に必要書類を確認し、期限内に正確な申請を行いましょう。

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