長野県で建設業を営む、または新たに建設業を始める際、多くの経営者が最初に直面するのが「建設業許可取得」という高いハードルです。許可なしでは1件500万円以上(消費税込み。建築一式工事の場合は1,500万円以上で、延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事を除く)の工事を請け負うことができず、公共工事への参加も不可能になります。しかし、長野県での建設業許可取得には、どのような書類が必要で、どこに申請すればよいのか、地域によって手続きに違いがあるのか、多くの疑問が生まれます。この記事では、長野県における建設業許可取得の具体的な手続き、必要な要件、申請先の違い、さらには許可取得後の事業展開まで、実務に直結する情報を体系的に解説します。
長野県で建設業許可が必要になるケースと基礎知識
建設業許可が必要な工事規模と業種
建設業法では、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業を営むには国土交通大臣または都道府県知事の許可を受ける必要があると定められています。長野県で許可が必要になる具体的な基準は以下の通りです。
許可が必要な工事規模:
- 建築一式工事:1件の請負代金が1,500万円以上(延べ面積150㎡未満の木造住宅工事は金額にかかわらず不要)
- 建築一式工事以外の工事(土木一式工事・内装・電気・管など):1件の請負代金が500万円以上(消費税込み)
これらの金額以上の工事を請け負う場合、必ず建設業許可を取得しなければなりません。無許可で営業した場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
知事許可と大臣許可の違い
営業所が長野県内だけにある場合は「長野県知事許可」(工事は県外でもできます)、複数の都道府県に営業所を設置する場合は「国土交通大臣許可」が必要です。営業所が長野県内だけなら長野県知事の許可で、申請先は長野県(県庁の建設政策課)です。
営業所の定義は「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」であり、単なる作業場や資材置き場は営業所には該当しません。長野県内に本店のみを置く場合は知事許可で十分ですが、将来的に県外展開を視野に入れる場合は、事業計画と照らし合わせて検討する必要があります。
建設業許可取得に必要な5つの要件
経営業務管理責任者(経管)の要件
建設業許可取得で最も重要な要件の一つが、経営業務管理責任者の配置です。これは、建設業の経営経験を持つ人を常勤役員等(個人は事業主本人など)の中に1人置くことを求める制度です(営業所ごとに置くのは営業所技術者です)。
主な要件:
- 建設業に関する経営業務の管理責任者としての経験が5年以上ある
- 経営業務の管理責任者に準ずる地位(執行役員等)で5年以上、経営業務を管理した経験がある
- 経営業務の管理責任者に準ずる地位で6年以上の補佐経験がある
長野県内の小規模建設会社では、代表者自身が経管の要件を満たすケースが一般的です。経験年数を証明するためには、過去の確定申告書、工事請負契約書、注文書などの書類が必要になります。特に一人親方から法人化して許可を取得する場合、個人事業主時代の実績をどう証明するかが重要なポイントになります。
営業所技術者の配置要件
各営業所には、許可を受けようとする建設業の種類に応じた専任技術者(2024年12月から営業所技術者)を常勤で配置する必要があります。営業所技術者は、一定の資格または実務経験を持つ技術者でなければなりません。
営業所技術者(2024年12月13日までの呼び名は専任技術者)になれる主な資格:
- 1級・2級建設機械施工管理技士、1級・2級土木施工管理技士
- 1級・2級建築施工管理技士、1級・2級電気工事施工管理技士
- 技能検定合格者(1級は合格で可。2級は合格後に一定の実務経験が要ります。職種と業種の組み合わせが決まっています)
- 大学・高校の指定学科卒業者で一定の実務経験がある者
- 10年以上の実務経験がある者
長野県では、複数の業種で許可を取得する場合、一人の技術者が複数業種の営業所技術者を兼ねることも可能です。ただし、その場合は兼ねる業種すべての要件を満たす必要があります。
財産的基礎・金銭的信用の要件
建設業許可を取得するには、請負契約を履行するに足る財産的基礎があることを証明する必要があります。
一般建設業の場合(いずれかを満たす):
- 自己資本が500万円以上ある
- 500万円以上の資金調達能力がある(預金残高証明書等で証明)
- 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績がある
長野県内の新規申請では、法人の場合は決算書の純資産額、個人事業主の場合は自己資本と事業主借・事業主貸の合計額で判断されます。資金調達能力の証明には、金融機関が発行する預金残高証明書が有効です。証明書の基準日は申請日から1か月以内である必要があります。
建設会社・工務店の方へ
ホームページの制作費は0円。かかるのは1万円だけです
1万円(税込・1回だけ)に、12か月のサーバーと .com ドメインの取得・初年度の費用を含みます。
制作費0円で申し込む ›長野県内での申請先と地域別の手続きポイント
申請先の違いと管轄区域
長野県知事許可の申請書類は、令和6年4月から県庁の建設政策課に提出します(建設事務所では書類を受け取りません)。建設事務所に行くと、県庁の職員とオンラインで相談できます(一部の事務所を除く)。
申請に必要な書類と準備期間
建設業許可取得の手続きには、多くの書類準備が必要です。長野県での標準的な準備期間は2〜3か月、申請から許可までは知事許可で約30〜45日かかります。
主な必要書類:
- 建設業許可申請書(様式第1号)
- 役員等の一覧表、営業所技術者一覧表
- 経営業務管理責任者証明書と実務経験証明書
- 営業所技術者の資格証明書類または実務経験証明書
- 財務諸表(貸借対照表、損益計算書等)
- 営業所の写真、事務所の賃貸借契約書
- 社会保険加入を証明する書類
- 登記されていないことの証明書、身分証明書、納税証明書(令和8年4月からは「長野県税の納税情報の確認に関する同意書」を付ければ省略できます)
社会保険の加入は、2020年10月から全国共通で許可の要件です。健康保険、厚生年金保険、雇用保険への適切な加入がない場合、許可が下りません。一人親方から法人化して許可を取得する場合も、社会保険加入は必須です。
電子申請と窓口申請の違い
長野県では、建設業許可の申請を電子申請システムで行うことが可能です。電子申請の場合、一部書類は原本提出が不要になり、手続きが簡素化されます。ただし、初めて許可を取得する場合は、窓口での事前相談を利用することをお勧めします。
建設事務所では、県庁の職員とオンラインで相談できます。事前相談で書類の不備を指摘してもらうことで、申請後の補正や差し戻しを防ぎ、スムーズな許可取得が可能になります。
許可取得後の義務と事業展開のポイント
毎年の決算変更届と5年ごとの更新
建設業許可を取得した後も、継続的な届出義務があります。最も重要なのが「決算変更届(事業年度終了届)」で、毎事業年度終了後4か月以内に提出する必要があります。
主な届出義務:
- 決算変更届:毎年必ず提出(財務諸表、工事経歴書等)
- 建設業許可の更新:5年ごと(有効期間満了の30日前まで)
- 変更届:商号、役員、営業所技術者、営業所などの変更があった場合
長野県内の建設会社で多いのが、決算変更届の提出漏れです。提出を怠ると、更新時に過去の未提出分をすべて遡って提出する必要があり、更新手続きが大幅に遅れる原因になります。最悪の場合、有効期間内に更新が間に合わず、許可が失効するリスクもあります。
公共工事への参加と入札参加資格申請
建設業許可を取得すると、公共工事への入札参加が可能になります。ただし、別途「入札参加資格申請」が必要です。長野県が発注する県の公共工事に参加するには、長野県の入札参加資格審査を受ける必要があります。
入札参加資格の審査では、経営事項審査(経審)の受審が必須です。経審では、完成工事高、自己資本額、職員数、技術力などを総合的に評価し、点数化します。この点数が高いほど、大規模な公共工事への入札が可能になります。
都道府県によっては、入札参加資格の評価に災害時の協力や除雪などの地域貢献を加えているところがあります(長野県の項目と点数は、県の入札参加資格の要領で確かめてください)。災害時の協力体制、除雪作業への参加、地域イベントへの協力などが評価対象となり、地域密着型の建設会社にとって有利な仕組みになっています。
事業承継・M&Aと建設業許可の引継ぎ
長野県内でも、建設業における事業承継は喫緊の課題です。経営者の高齢化が進む中、後継者不足から廃業を選択する建設会社も少なくありません。しかし、許可は自動では引き継がれません。2020年10月の改正から、事業の譲渡・合併・分割は事前の認可、相続は死亡後30日以内の認可申請で引き継げます(建設業法第17条の2・第17条の3)。
事業承継のパターン:
- 親族内承継:代表者交代により経管を変更、営業所技術者の配置維持
- 従業員承継:株式譲渡や事業譲渡、経管・営業所技術者の要件充足が課題
- M&A:吸収合併で存続会社が許可を持つなら許可が残る。消滅会社の許可を引き継ぐときや新設合併は、合併の前に認可を受ける
事業承継におけるM&Aの価格に、一律の相場はありません。ただし、建設業の場合は、保有する建設業許可の業種数、経審の点数、技術者の数、取引先との関係性などにより、相場は大きく変動します。長野県内では、地域に根差した公共工事の実績がある建設会社は、特に評価が高くなる傾向があります。
事業承継を円滑に進めるには、早期の準備が不可欠です。後継者候補に経営経験を積ませる、営業所技術者の資格取得を支援する、財務体質を強化するなど、5〜10年の準備期間を見込む必要があります。
建設業許可取得後の労災対策と安全管理の重要性
長野県の労災発生状況と対策の必要性
建設業は労働災害が多い業種として知られています。長野県内の発生状況は、長野労働局が公表する労働災害の統計で確かめられます。現場では墜落・転落の防止が対策の中心になります。
よくある質問
Q1. 長野県で建設業許可を取得するまでの期間はどれくらいですか?
長野県の建設業許可は、申請書類を提出してから、知事許可の新規の申請で約45日(更新は約30日)が標準です。ただし、書類に不備がある場合は補正期間が加わるため、余裕をもって1.5〜2ヶ月程度を見込んでおくことをお勧めします。大臣許可の場合は3〜4ヶ月程度必要です。
Q2. 長野県の建設業許可申請はどこに提出すればよいですか?
知事許可の場合は、令和6年4月から県庁の建設政策課に提出します(建設事務所では書類を受け取りません)。複数の都道府県に営業所がある場合は国土交通大臣の許可となり、本店が長野県にあれば関東地方整備局へ申請します。
Q3. 長野県で営業所技術者の要件を満たすにはどうすればよいですか?
営業所技術者には、建設業法で定められた国家資格(1級・2級施工管理技士等)の保有者、または10年以上の実務経験者(指定学科卒業者は短縮あり)が該当します。常勤性の証明として健康保険の資格確認書や住民票が必要となり、営業所に常駐できることが条件です。
Q4. 長野県の建設業許可で必要な財産的基礎要件を教えてください
一般建設業許可の場合、自己資本が500万円以上あるか、500万円以上の資金調達能力を証明する必要があります。直前の決算書で純資産額が500万円以上、または金融機関発行の残高証明書(500万円以上)で証明します。特定建設業許可の場合は更に厳格な要件があります。
Q5. 長野県の建設業許可申請に必要な主な書類は何ですか?
主な必要書類は、建設業許可申請書、経営業務管理責任者証明書類、営業所技術者の資格証明書類、財務諸表(決算書)、納税証明書(令和8年4月からは県税の納税情報の確認に関する同意書で代えられます)、登記事項証明書、身分証明書などです。地域や業種によって追加書類が必要な場合があるため、事前に県庁の建設政策課に確認することをお勧めします。
出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。
業種ごとに見ると、長野県で当サイトに掲載している会社は次のとおりです(2026年10月16日に数えた)。1社がいくつもの業種の許可を持つことがあるため、業種の数を足しても会社の数にはなりません。
| 業種 | 長野県の掲載の会社 |
|---|---|
| とび・土工工事業 | 3,515社 |
| 土木工事業 | 2,844社 |
| 建築工事業 | 2,600社 |
| 舗装工事業 | 2,476社 |
| 石工事業 | 2,325社 |
| 水道施設工事業 | 2,311社 |
| 鋼構造物工事業 | 2,091社 |
| 大工工事業 | 2,069社 |
| しゆんせつ工事業 | 1,608社 |
| 管工事業 | 1,598社 |
| 内装仕上工事業 | 1,582社 |
| 屋根工事業 | 1,462社 |
| タイル・れんが・ブロツク工事業 | 1,329社 |
| 塗装工事業 | 1,309社 |
| 解体工事業 | 1,297社 |
| 電気工事業 | 915社 |
| 板金工事業 | 618社 |
| 防水工事業 | 605社 |
| 建具工事業 | 597社 |
| 造園工事業 | 567社 |
| 左官工事業 | 532社 |
| ガラス工事業 | 478社 |
| 熱絶縁工事業 | 457社 |
| 鉄筋工事業 | 431社 |
| 消防施設工事業 | 353社 |
| 電気通信工事業 | 219社 |
| 機械器具設置工事業 | 213社 |
| さく井工事業 | 36社 |
| 清掃施設工事業 | 2社 |
工事を頼む先や協力会社を探すときは、長野県の建設業許可業者を業種別に調べられる長野県の建設会社一覧もお使いください。
都道府県から建設業許可業者を探す
全国の建設業許可取得業者を都道府県・業種から検索できます。
自社の施工事例は、検索で見つけてもらうにはどう載せればいい? → 作成から更新まで頼めるWordPress作成代行センター
建設会社・工務店の方へ
ホームページの制作費は0円。かかるのは1万円だけです
1万円(税込・1回だけ)に、12か月のサーバーと .com ドメインの取得・初年度の費用を含みます。
制作費0円で申し込む ›