解体工事業で​100億円規模を​目指す道筋|​許可と​経営戦略の段階

企業検索はメインサイトから

建設業許可データベースのトップへ
重機で古い木造の家を解体する現場

建設業で事業拡大を目指すとき、避けて通れないのが「一般建設業許可と特定建設業許可の判断基準」です。下請企業から元請企業へのステップアップ、複数の工事種別への進出、経営規模の拡大——こうした節目で、どの許可を申請すべきか判断を誤ると、融資審査の落選、大型案件の受注喪失、法令違反のリスクに直面します。本記事では、解体工事業の許可で段階的に成長する想定の流れをもとに、下請金額による許可区分の選択基準、営業所技術者(2024年12月13日までの呼び名は専任技術者)・常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の配置ルール、複数許可取得のタイミング戦略を具体的に解説します。自社の経営段階に合わせた最適な許可申請戦略を立てるための、実務的なチェックリストとしてご活用ください。

目次

一般建設業と特定建設業——2つの許可制度の根本的な違い

許可区分を分ける下請金額の基準

建設業法に基づく一般建設業許可と特定建設業許可は、「下請金額」によって明確に区分されています。令和8年(2026年)現在、その基準は以下の通りです。

一般建設業許可は、特定建設業許可が必要な場合を除き、1件500万円以上の工事を請け負う企業が受ける許可です。下請として工事を受ける場合や、元請でも同一の工事で下請に出す総額が5,000万円未満(建築一式工事の場合は8,000万円未満)である場合は、一般建設業許可で対応できます。

特定建設業許可は、発注者から直接請け負った同一の工事で、下請に出す総額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる企業が取得すべき許可です。特定建設業許可では、より厳格な営業所技術者の要件、そして財産的基礎(資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上など)が課されます。

たとえば(想定の流れ)、創業当初は一般建設業許可で下請の工事をこなし、実績と信用が積み上がって元請として大きな解体工事を受け、下請に出す代金の合計が5,000万円以上になる段階で、特定建設業許可が要ります。下請として工事を受けるだけなら、金額が大きくても特定建設業許可は要りません(建設業法第3条第1項第2号・施行令第2条)。

経営リスクと許可選択の関係性

許可区分の選択は、単なる「法令対応」ではなく、企業の経営戦略そのものです。下請に出す総額が5,000万円未満であれば一般建設業で事足りるのに、無理に特定建設業許可を取得すれば、財産的基礎を更新のたびに満たし続ける負担や、下請代金の支払期日の制限などの義務が増えます。

逆に、一般建設業許可のまま下請に出す総額が5,000万円以上になる下請契約を結ぶことは建設業法違反となり、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)や、営業停止などの行政処分につながります。

解体工事業でも、大きな建物の解体を元請で受けると、下請に出す総額が5,000万円を超えることがあります。したがって、事業拡大の早期段階から「いつ特定建設業許可へ移行するか」を経営計画に組み込むことが、持続的な成長を実現するための鍵となるのです。

建設業経営の段階的成長戦略——許可申請のタイミングと要件

作業着の男性とスーツの男性が画面の円グラフで打ち合わせ
作業着の男性とスーツの男性が画面の円グラフで打ち合わせ(イメージ)

ステップ1:創業期(一般建設業許可の取得と維持)

解体工事業で起業する場合、まず一般建設業許可の取得から始まります。このとき必ず確認すべきが、以下の4つの要件です。

  1. 常勤役員等(経営業務の管理責任者等):常勤役員等に、建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験などを持つ者
  2. 営業所技術者:解体工事に関する一定の資格(施工管理技士、解体工事施工技士、とび技能士など)または10年以上の実務経験者
  3. 財産的基礎:自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力
  4. 誠実性:請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと(建設業法第7条第3号)

この段階での許可は「5年間の有効期限」を持ち、5年ごとの更新申請が必要です。

ステップ2:成長期(複数許可取得と特定建設業への準備)

事業が軌道に乗り、解体工事だけでなく足場工事や塗装工事などの関連業種への進出を検討する段階が成長期です。ここで重要になるのが「複数許可の要件」です。

同一企業が複数の建設業許可(例えば「解体工事業」と、足場の工事に必要な「とび・土工工事業」)を取得する場合、以下の点が重要です:

  • 各業種ごとに営業所技術者を配置する必要があります(資格や実務経験が複数業種の要件を満たせば、同じ営業所で1名が複数業種を兼ねることもできます)
  • 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)は共通で良いため、経営層の人事配置効率が高まります
  • 特定建設業許可が必要かどうかは業種ごとではなく、1件の元請工事で下請に出す総額で判定されます

例えば、ある物件で解体工事と足場工事を一体で元請として請け負い、解体の下請に3,000万円、足場の下請に2,500万円を出す場合、業種ごとに分けるのではなく合計の5,500万円で判定するため、特定建設業許可が必要になります。

この段階で複数許可を整備することで、発注者からの信頼が厚くなり、大型物件の一括受注機会が増えるのです。

ステップ3:拡大期(特定建設業許可への移行)

元請として請け負う工事で、下請に出す総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上になる案件を受注するようになったら、特定建設業許可への移行が必須です。このとき、以下の基準をクリアする必要があります。

特定建設業許可の要件(一般建設業との主な相違点):

要件項目一般建設業特定建設業
財産(資本金・自己資本)自己資本500万円以上など資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上
流動比率・欠損要件なし流動比率75%以上・欠損の額が資本金の20%以下
常勤役員等(経営業務の管理責任者等)5年経営経験等同左(変更なし)
営業所技術者資格または10年実務1級の施工管理技士・技術士など、または指導監督的な実務経験
営業所技術者の常勤営業所に常勤営業所に常勤

特に注意が必要なのが「営業所技術者の要件の厳格化」です。一般建設業で「実務経験10年」や2級の資格・技能士で認められていた技術者が、特定建設業ではそのままでは認められないケースが多いのです。

解体工事業の場合、特定建設業許可を取得するには、以下のいずれかの条件を満たす営業所技術者が必要です:

  • 1級土木施工管理技士・1級建築施工管理技士(合格した年度によっては、解体工事の実務経験1年以上または登録講習の受講が別に必要)
  • 技術士(建設部門など)
  • 一般建設業の技術者要件を満たし、元請として請負代金4,500万円以上の解体工事で2年以上の指導監督的な実務経験がある者

財務基準も大きく変わります。資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上などの財産的基礎は、更新のたびに直前の決算で確認されるため、毎年の決算書が重要な経営指標となります。

建設会社・工務店の方へ

ホームページの制作費は0円。かかるのは1万円だけです

1万円(税込・1回だけ)に、12か月のサーバーと .com ドメインの取得・初年度の費用を含みます。

制作費0円で申し込む ›

複数許可取得と経営管理体制の最適化

複数許可の同時取得で得られる経営効率

解体工事業で売上を大きく伸ばすときは、許可を段階的に増やして受けられる工事の幅を広げることが、成長の足がかりになります。具体的には、以下のような進出パターンが一般的です。

フェーズ1(初期段階): 解体工事業のみ(一般建設業許可)

フェーズ2(成長期): 解体工事業+とび・土工工事業(足場)+塗装工事業(全て一般建設業許可、複数許可体制)

フェーズ3(拡大期): 解体工事業・とび・土工工事業は特定建設業許可、塗装工事業は一般建設業許可(混在体制)

このステップアップで、受けられる工事の幅が広がります。特に大規模な商業施設や公共工事の解体では、「すべての関連工事を一社で対応できる総合企業」として認識されるようになり、指名競争入札への参加機会が増加するのです。

営業所技術者と常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の配置戦略

複数許可を取得する際、最大の課題が「人的配置」です。許可ごとに営業所技術者が必要となるため、経営幹部の育成が急務となります。

実務的な配置の工夫:

  • 共通の常勤役員等(経営業務の管理責任者等):同一人物が複数許可の常勤役員等(経営業務の管理責任者等)を務めることは可能です。解体工事業で20年の経営経験がある役員1名が、すべての許可区分の常勤役員等(経営業務の管理責任者等)を務める形です。
  • 業種ごとの営業所技術者:解体工事の技術者として施工管理技士を1名、足場工事(とび・土工工事業)の技術者として、とび技能士を1名、という具合に配置します。1名が複数業種の要件を満たす場合は、同じ営業所で兼ねることもできます。
  • 営業所技術者の育成タイミング:複数許可取得の2~3年前から、若手社員を対象に資格取得支援プログラムを実施し、計画的に人材を育成することが重要です。

よくある失敗と対策——許可申請の実務ポイント

下請金額の判定をめぐる誤解

気をつけたいのが「下請金額の計算誤り」です。以下の点に注意が必要です。

誤解1: 同じ工事の下請代金は、下請1社ずつで判定する

→ 正解: 同じ工事で複数の下請に出す代金は、合計して判定します。異なる工事は、工事ごとに判定します。

誤解2: 工事全体の契約金額から自社施工部分を引いた額で判定する

→ 正解: 判定に使うのは、元請として結ぶ下請契約の代金の合計です。

誤解3: 材料費は下請金額に含めない

→ 正解: 下請が自分で用意する材料の代金は下請代金に入ります。元請が支給する材料の価格は入りません。

想定の例として、元請の解体工事業者が「下請に出す総額は4,800万円だから一般建設業許可で対応可」と判断したところ、追加工事の下請契約を含めると5,100万円になっており、特定建設業許可が必要な下請契約だったと指摘されるケースがあります。

営業所技術者の常勤要件をめぐるリスク

特定建設業許可を取得した企業で多いトラブルが「営業所技術者の非常勤化」です。複数プロジェクトが同時進行すると、現場派遣が多くなり、営業所での専任業務がおろそかになりがちです。

しかし、建設業法では営業所技術者の「常勤性」が厳格に要求されます。休日などを除き毎日、所定の時間、営業所でその職務に就いている(常勤)ことが前提です。出張や現場視察は認められますが、「常に営業所に配置されている状態」を維持する必要があります。

許可のリスク管理としては、複数の適格技術者を育成し、ローテーション体制を敷くことが重要です。

よくある質問

Q1. 建設業許可を取得する際、解体工事業から始めるメリットは何ですか?

解体工事業は初期投資が比較的低く参入しやすい一方、許可の要件(経営業務の管理・営業所技術者・財産的基礎)は他の業種と同じです。初期投資を抑えて始め、利益を再投資して段階的に事業を広げやすい点がメリットです。

Q2. 建設業許可を複数業種で取得する場合の優先順位をどう決めるべき?

既存事業との親和性と市場需要を考慮してください。解体工事業で実績と資金力を確保した後、需要が高く粗利益率の良い業種を選択すると効率的です。5年ごとの許可更新まで時間をかけて段階的に取得するのが現実的です。

Q3. 技術者資格がない場合、建設業許可取得をどう進めるべき?

常勤役員等(経営業務の管理責任者等)と営業所技術者の要件を満たす必要があります。すぐに許可が難しい場合は、資格保有者の採用やスタッフの資格取得サポートを計画的に進めることが重要です。建設業経理士などの資格も経営判断の信用性向上に役立ちます。

Q4. 年間売上5000万円から100億円規模への成長戦略は?

建設業許可の拡大による新規案件獲得、既存顧客の深掘り営業、協力会社ネットワーク構築が重要です。同時に経営管理体制の強化、財務管理システムの導入、人材育成計画を整備し、スケーラブルな経営基盤を構築することが不可欠です。

Q5. 解体工事業許可取得時に準備すべき書類と要件は?

常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の経歴書、営業所技術者の資格証明書、誠実性を証明する書類、資産要件の預金通帳などが必要です。申請前に行政書士に相談し、地域の建設業担当部局の要件確認も重要です。準備期間は2〜3ヶ月が目安です。

まとめ

クレーンが立つ鉄骨造の建物の建方の現場
クレーンが立つ鉄骨造の建物の建方の現場(イメージ)

建設業で持続的な成長を実現するには、「下請金額による許可区分の選択基準」「複数許可取得のタイミング」「営業所技術者・常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の人材育成計画」の3点を、事業計画の初期段階から組み込むことが不可欠です。最初は一般建設業許可で地盤を固め、実績と信用が積み上がるにつれて段階的に許可を広げていく進め方が、現実的な道筋の一つです(想定)。自社の現在地と3年後・5年後のあるべき姿を明確にした上で、必要な許可申請戦略を立案することから始めてください。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

あわせて読みたい

工事を頼む先や協力会社を探すときは、全国の解体工事業の許可業者を都道府県別に調べられる解体工事業の許可業者一覧もお使いください。

自社の施工事例は、検索で見つけてもらうにはどう載せればいい? → 作成から更新まで頼めるWordPress作成代行センター

建設会社・工務店の方へ

ホームページの制作費は0円。かかるのは1万円だけです

1万円(税込・1回だけ)に、12か月のサーバーと .com ドメインの取得・初年度の費用を含みます。

制作費0円で申し込む ›
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

目次