建設会社が見るVIVANTのロケ地|境水道大橋と日御碕灯台の工事と許可業種の調べ方

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青空の下、岬に立つ白い出雲日御碕灯台と遊歩道

※この記事は、ドラマ『VIVANT』第2シーズンの第18話(2026年9月13日放送)までの内容に触れています。

橋や港、古い建物の改修に関わる建設会社の方で、日曜の夜に『VIVANT』を楽しみにしている方へ。第2シーズンは9月13日の第18話で前半を終え、アジア大会の中継のため2週続けて休んだあと(マイナビニュース、2026年9月14日)、10月4日(日)21時の第19話から後半が始まりました(シネマカフェ、2026年9月26日)。後半の放送とあわせて、画面に映った橋や灯台を、建設の仕事の目で読み解いてみます。

ドラマの考察の記事ではありません。後半では、ロケ地になった建造物を「どんな工事で造られ、いまどう保たれているか」「どの業種の許可を持つ会社が関わる仕事か」という視点で整理し、最後に、その県で同じ業種の会社を調べる方法を紹介します。建造物の数字は、国・県・所有者の公開資料で確かめたものだけを書いています。

目次

前半戦のいちばんの話題は、同時通訳機の「声」

第2シーズンは、別班の仲間5人が一夜のうちにさらわれるところから始まりました。前半の最終回となった第18話では、乃木がテントと手を組み、救出に向かいます。

その第18話で最も話題になったのが、劇中の同時通訳機の日本語の声です。小山力也さん、甲斐田裕子さん、高木渉さん、中村悠一さん、榎木淳弥さん、鬼頭明里さんの6人の声優が、予告なしに声を担当していたと報じられました(ORICON NEWS 2026年9月14日)。アニメや洋画の吹き替えで耳になじんだ声が次々に聞こえ、SNS では「豪華すぎる」という反応が集まったと伝えられています。

なぜ『VIVANT』は見たくなるのか

理由はいくつも挙げられますが、ここでは5つに絞ります。

  1. 人物が濃い:主役から脇役まで、誰が味方で誰が敵か最後まで分からない人物がそろっています。
  2. 特殊任務と機械の見せ方:通訳機や通信機器など、道具がそのまま物語を動かします。
  3. 世界の情勢と風景:海外の街や砂漠の場面が続き、「ここはどこだろう」と画面の細部を見たくなります。
  4. 作り手の力の入れ方:2クールの長さと各地でのロケが、映像の厚みになっています。
  5. 緊張の合間の笑い:張りつめた場面の間に、ふっと力が抜ける場面が入ります。

3つめの「ここはどこだろう」は、じつは日本の建造物につながっています。プロデューサーの飯田和孝さんは、第2シーズンの初回の放送後に「今後もその土地でしか撮れない映像をお届けしますので、そのあたりも体感していただければうれしいです」とコメントしています(映画ナタリー、2026年8月1日)。監督の福澤克雄さんも、以前のインタビューで「今でもメインの舞台は自分で足を運び探すようにしています」と話していました(ロケなび!、2024年7月30日)。

画面に映る橋や灯台は、たまたま映ったものではなく、選ばれて映っているということです。私たちが次の日曜を待ち遠しく感じるのは、日々の現場や経営から離れた世界観の中で、見慣れた日本の風景が別の国の顔をして現れる、その驚きがあるからかもしれません。

ロケ地の建造物を、建設の目で読む

ドラマのロケ地は、すべてが公表されているわけではありません。鳥取県は、2026年7月22日の発表で「第2シーズンの鳥取県内ロケ地は現時点では非公表です。」としています。ここでは、島根県の公式観光サイトが回と場面を公表している2つの建造物と、その近くの境港を取り上げます。

境水道大橋(第14話)|調査6年・工事3年のトラス橋

島根県の公式観光サイト「しまね観光ナビ」の特設ページは、第14話の「バンコクの橋の上をパトカーが連なって走行するシーン」のロケ地を、松江市の境水道大橋としています。境水道をはさんで島根県松江市美保関町と鳥取県境港市を結ぶ、国道431号の橋です。

青空の下、海をまたぐ境水道大橋のトラスの全景
青空の下、海をまたぐ境水道大橋のトラスの全景(イメージ)
項目内容
開通1972年(昭和47年)7月・日本道路公団が建設
形式鋼3径間の上下路式連続トラス橋
長さ全長709m(鳥取県)。トラスの主橋部は橋長433.9m、中央の支間は240m(日立造船の技術論文)
建設費約18億円
管理2002年7月に鳥取県・島根県へ移管

鳥取県の技術解説は、この橋について「施工期間は約3年だが、着工前の調査・検討に約6年もの歳月がかけられている。」と書いています。両岸の高さが大きく違うため、橋の中央へ向かうほど道路がトラスの上から中、下へと移っていく、珍しい形になりました。2000年の鳥取県西部地震でも被害は少なかったとされています。

開通から40年たった2012年10月から2014年12月にかけては、鳥取県の発注で耐震補強工事が行われました。施工したのは日立・瀧上特定建設工事共同企業体で、部材に鋼板を当てる補強や、地震の揺れを抑える部材(座屈拘束ブレース・粘性ダンパー)の取り付けを行い、補強に使った鋼材は約820トンにのぼります。工事の足場は、そのまま後の塗り替え塗装工事へ引き継がれたと記録されています。

建設業の許可で見ると:鋼の橋を架けたり補強したりする工事は、一般に鋼構造物工事業の許可を持つ会社が担います。足場を組む仕事はとび・土工工事業、橋の塗り替えは塗装工事業の許可の工事です。1本の橋を保つだけでも、複数の業種の会社が段取りを合わせて動いています。

出雲日御碕燈台(第12話)|石とレンガの二重の筒

同じ特設ページは、第12話の「キプロスの灯台のある海岸で乃木とFが話し込む場面」のロケ地を、出雲市の出雲日御碕燈台としています。

灯台の内側を上る黒い鉄のらせん階段と白い壁
灯台の内側を上る黒い鉄のらせん階段と白い壁(イメージ)

所有者である海上保安庁によると、この灯台は地上から頂部まで約43.65mあり、石造りの灯台として日本一の規模です。初めて灯りをともしたのは1903年(明治36年)4月1日で、2022年2月9日には国の重要文化財に指定されました。

国土交通省のインフラツーリズムのサイトは、構造を「この灯台は石造の外壁とレンガ造の内壁を梁で繋いだ珍しい構造で造られております。」と紹介しています。外側は石、内側はレンガという二重の筒で、設計は逓信省の技師・石橋絢彦です。国がこの灯台を「インフラを観光として見る」取り組みの中で紹介していること自体、建造物を建設の目で見る面白さを示しているといえます。

建設業の許可で見ると:石を積む工事は石工事業、レンガを積む工事はタイル・れんが・ブロック工事業の許可の工事です。明治の職人が積んだ石とレンガを、いまも文化財として保っていくには、こうした業種の技術が欠かせません。

境港|水深14mのコンテナ岸壁

第14話では、境水道大橋のほかに、境港市内の臨港道路も新庄が撃たれる場面に使われたと、境港観光協会の公式 X を紹介した報道(MANTANWEB 2026年8月19日)が伝えています。その境港は、山陰の物流を支える港です。

港に積み上がったコンテナと奥に並ぶクレーン
港に積み上がったコンテナと奥に並ぶクレーン(イメージ)
項目内容
コンテナ岸壁水深14m・延長280m。5万トン級の船に対応し、2004年6月に使い始めた
ガントリークレーン2号機を2023年7月11日に使い始めた(船の大型化と取扱量の増加に対応)
コンテナの取扱量22,304TEU(2023年・実入り)
港全体の取扱量359万6,757トン(2023年)

建設業の許可で見ると:港の岸壁や防波堤を造る工事は、一般に土木一式工事や、船が通れる深さを保つしゅんせつ工事業の許可を持つ会社が担います。コンテナを積み下ろすクレーンの据え付けは、機械器具設置工事業の許可の工事です。

当サイトでできること|ロケ地の県の建設会社を調べる

建設業許可DBでは、国土交通省の公開データをもとに、全国の建設業許可業者を県や業種ごとに調べられます。2026年10月1日に当サイトの県のページで数えると、有効な許可を持つ業者は鳥取県で2,116社、島根県で2,626社です。

公安が人物の裏を取るように、取引先の許可を確かめるときは、許可番号から許可をした行政庁や一般・特定の区分、許可や更新をした年まで読み取れます。読み方は「建設業許可番号の読み方ガイド」で、会社名からの検索は「企業検索」でどうぞ。

後半は10月4日(日)から始まっています。放送では物語と一緒に画面の奥の橋や建物にも目を向けてみてください。取引先や協力会社を探すときは、上の県と業種の一覧から、会社ごとの許可の業種と有効期限まで確かめられます。

参考資料

本記事は株式会社TBSテレビおよび番組の制作者とは関係がありません。

出典:国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-10-02)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

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この記事を書いた人

建設業界の申請実務・業界動向・サービス比較を専門とするリサーチャー兼ライター。行政書士選びのポイント・申請代行サービスの費用比較・都道府県別の審査傾向など、実際に情報収集して検証した内容を記事化。建設業の許可・経審・入札に関する公的資料を基に、現場で役立つ実践的な情報を正確に届けることを方針としている。

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