塗装工事で最大600万円の助成金獲得!業務改善助成金の申請要件と手続きを解説

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大きなコンクリートの壁を塗装する作業員

塗装工事業は人手不足が続き、職人の賃金を上げながら仕事の効率も上げることが経営の課題になっています。厚生労働省の業務改善助成金は、事業場で最も低い時間給(事業場内最低賃金)を引き上げ、あわせて生産性を上げる設備投資などを行った中小企業に、その費用の一部を助成する制度です。令和8年度は9月1日に受付が始まり、上限は最大600万円です。業種を問わない制度なので、塗装工事業も条件を満たせば使えます。この記事では、令和8年度の案内に書かれている要件・助成率・期限と、塗装工事業が準備で迷いやすい点をまとめます。

目次

業務改善助成金とは何か|賃金の引き上げと設備投資をセットで助成

作業場で木工の機械を調整する手元
作業場で木工の機械を調整する手元(イメージ)

制度の基本:2つの計画を立てて申請する

業務改善助成金は、次の2つの計画を立てて申請し、交付決定の後に計画どおり実施して報告すると、設備投資等にかかった費用の一部が支給される仕組みです(厚生労働省「令和8年度 業務改善助成金のご案内」)。

  • 事業場内最低賃金の引き上げ計画:事業場で最も低い時間給を50円以上引き上げる(引き上げ額のコースは案内で確かめる)
  • 設備投資等の計画:生産性の向上や労働能率の増進につながる設備投資等(機械設備の導入やコンサルティングなど)

どちらか片方だけでは対象になりません。たとえば「新しい機械を買う」だけ、「賃金を上げる」だけでは使えない点に注意が必要です。

塗装工事業で考えやすい設備投資の例

対象になるのは、仕事の効率や生産性を上げる設備投資等です。塗装工事業であれば、作業の手間を減らす機械や、工程と写真の管理を楽にする仕組みなどが考えられます。ただし、何が対象経費として認められるかは計画の中身で判断されるため、見積もりを取る前に管轄の労働局へ確かめるのが確実です。

申請要件と対象企業の条件|令和8年度の案内のとおり

給与明細書を手に取って確かめる手元
給与明細書を手に取って確かめる手元(イメージ)

対象になる事業者

令和8年度の案内では、次の要件を満たす事業者が対象です。

  • 中小企業・小規模事業者であること(大企業と密接な関係がある、いわゆる「みなし大企業」でないこと)
  • 事業場内最低賃金が、令和8年度の地域別最低賃金未満であること
  • 解雇や賃金の引き下げなど、交付しない理由に当たる事情がないこと

申請は、労働者がいる事業所ごとに行います。本社の事務所と資材置き場の作業所のように場所が分かれていれば、別々に申請します。引き上げる対象は、雇い入れから6か月を経過した労働者の事業場内最低賃金です。

上限額と助成率

上限は最大600万円で、引き上げる労働者の数と引き上げ額のコースによって上限額が変わります。助成率は、引き上げ前の事業場内最低賃金によって次のように分かれます。

  • 事業場内最低賃金が1,050円未満:かかった費用の5分の4
  • 事業場内最低賃金が1,050円以上:かかった費用の4分の3

つまり、設備投資の費用の全額が出るわけではなく、一部は自社の負担になります。資金繰りの計画には、自己負担分と、支給までの立て替えの期間を入れておきましょう。

申請の期限と手続き|受付は年内の早い日まで

現場の台に置かれた塗装の刷毛と塗料の缶
現場の台に置かれた塗装の刷毛と塗料の缶(イメージ)

申請期間・賃金を上げる期間・事業の完了

  • 申請期間:令和8年9月1日から、申請事業所の都道府県で適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または同年11月30日のいずれか早い日まで
  • 賃金を引き上げる期間:令和8年9月1日から、申請事業所に適用される地域別最低賃金の発効日の前日まで
  • 事業の完了:交付決定を受けた年度の1月31日まで

地域別最低賃金の発効日は都道府県ごとに違うため、自社の事業所がある都道府県の発効日を先に確かめてください。期限は思ったより早く来ることがあります。

手続きの流れ

  1. 事業場内最低賃金の引き上げ計画と、設備投資等の計画を立てる
  2. 交付申請書を管轄の労働局へ出す
  3. 交付決定を受けてから、計画どおりに賃金の引き上げと設備投資を行う
  4. 事業の結果を報告する
  5. 審査の後に助成金が支給される

設備の発注や賃金の引き上げの時期は、交付決定との前後で扱いが変わることがあるため、労働局の申請マニュアルで確かめてから進めてください。様式と申請マニュアルは厚生労働省の業務改善助成金のページにあります。

塗装工事業が準備で迷いやすい点

協力業者(外注先)の職人は対象にならない

業務改善助成金で賃金を引き上げるのは、自社が雇っている労働者です。外注先の職人や一人親方の手間賃は、事業場内最低賃金の対象ではありません。自社で雇っている職人・見習い・事務員のうち、時間給がいちばん低い人の賃金がどこにあるかを、まず賃金台帳で確かめましょう。

「残業を減らす」「有休を増やす」だけでは使えない

働き方の改善は大切ですが、この助成金の要件は事業場内最低賃金の引き上げと設備投資等の2つです。労働時間を減らす取り組みだけでは要件を満たしません。働き方を変える取り組みを支援する制度はほかにもあるため、目的に合わせて労働局で相談すると選びやすくなります。

賃金の引き上げは続けられる額にする

引き上げた賃金は、助成金を受けた後も払い続けることになります。コースを選ぶ前に、引き上げ後の人件費が受注の単価と利益で賄えるかを試算しておくと安心です。

よくある質問

Q1. 塗装工事業でも対象になりますか?

業種の限定はありません。中小企業・小規模事業者で、事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満であるなど、案内の要件を満たせば対象です。

Q2. 600万円は誰でも受け取れますか?

600万円は上限です。引き上げる労働者の数とコースで上限額が変わり、実際の支給額は、かかった設備投資等の費用に助成率(4/5 か 3/4)を掛けた額と上限額の小さいほうになります。

Q3. いつまでに申請すればよいですか?

令和8年9月1日から、事業所のある都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日、または11月30日のいずれか早い日までです。

Q4. 外注している職人の賃金を上げても対象になりますか?

対象になりません。引き上げるのは自社で雇っている労働者の事業場内最低賃金です。

Q5. どこに相談すればよいですか?

管轄の労働局の雇用環境・均等部(室)または賃金課(室)です。申請の前に、対象経費と引き上げのコースを確かめておくと手戻りが減ります。

まとめ

業務改善助成金は、事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性を上げる設備投資等を行った中小企業に、費用の一部(4/5 か 3/4・上限は最大600万円)を助成する制度です。塗装工事業も対象になりますが、外注先の職人は対象外で、残業を減らすだけでは要件を満たしません。令和8年度の申請期限は、地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日の早いほうです。まずは賃金台帳で自社の事業場内最低賃金を確かめ、引き上げ後の人件費を試算してから、管轄の労働局に相談しましょう。

あわせて読みたい記事

工事の発注先や協力業者を探すときは、建設業許可業者データベースで許可業種と所在地から確認できます。許可の有無と業種は、見積依頼の前に必ず確かめておきたい項目です。

出典:厚生労働省「業務改善助成金」・厚生労働省「令和8年度 業務改善助成金のご案内」(確認日 2026-10-04)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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