「現場の人手が足りなくて工期に間に合わない」「若い日本人が集まらない」——こうした課題の解決策として、外国人労働者の活用を検討する建設会社が増えています。厚生労働省の「外国人雇用状況届出統計」によると、建設業で働く外国人労働者数は過去5年間で約2倍に増加しており、業界の重要な労働力として定着しつつあります。本記事では最新統計と採用のポイントを解説します。
建設業の外国人労働者数の推移:厚労省統計が示す急増傾向

厚生労働省が毎年10月末時点のデータをもとに公表する「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、建設業で働く外国人労働者数は増加の一途をたどっています。
- 全産業の外国人労働者数:2025年10月末時点で2,571,037人(届出が義務になった2007年以降で最多・前年比11.7%増)
- 建設業の外国人労働者:2024年10月末時点で177,902人(外国人労働者全体の7.7%・前年比22.7%増)。伸び率は全産業の平均を大きく上回る
- 在留資格別(建設業・2024年):技能実習が約6割、特定技能を含む専門的・技術的分野が約2割。特定技能が大きく伸びている
- 国籍別(建設業・2024年):ベトナム(約7万人)・インドネシア・フィリピン・中国の順
📊 参照データ:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ」
👉 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/gaikokujin-koyou/06.html
技能実習から特定技能へ:制度変更で経営者が知るべきこと

技能実習制度は「育成就労制度」に置き換わります。法律は2024年6月に成立し、2027年4月1日から施行されることが決まりました。育成就労は、原則3年で特定技能1号の水準まで育てることを目的にした制度で、特定技能へつながる道が前提になります。経営者としては、まず現行の特定技能制度を正しく理解しておくことが急務です。
- 特定技能1号:最大5年・家族帯同不可。技能試験または技能実習2号修了者が対象
- 特定技能2号(建設分野):在留期間の更新に上限がなく、家族帯同も可能。建設分野は制度が始まった2019年から2号の対象で、2022年4月に建設分野で初めて2号の許可が出た
- 受け入れ要件:建設業許可の保有・建設キャリアアップシステムへの登録・JACへの加入・国土交通省による受入計画の認定
- 2027年4月からの変更点:育成就労制度が始まり、同じ受け入れ先で一定期間働いた後は本人の希望による転籍が認められる
📊 参照データ:国土交通省「建設分野における特定技能外国人の受入れについて」
👉 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00003.html
採用前に確認すべきリスクと注意点

外国人労働者の採用にはメリットが多い反面、法令違反リスクも存在します。経営者が事前に把握しておくべき主な注意点は以下の通りです。
- 不法就労の確認義務:採用前に在留カードの「就労制限の有無」を必ず確認する。不法就労者を雇用した場合、経営者も不法就労助長罪に問われる(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。2027年4月から5年以下・500万円以下に引き上げ予定)
- 建設業許可の保有確認:特定技能外国人を受け入れるには建設業許可が必須。無許可では受け入れ不可
- JACへの加入:建設分野の特定技能では「一般社団法人建設技能人材機構(JAC)」への加入が義務付けられている
- 賃金の適正支払い:日本人と同等以上の賃金支払いが義務。最低賃金以下は厳禁
| 比較項目 | 技能実習 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|---|
| 在留期間 | 最大5年 | 最大5年 | 更新可(上限なし) |
| 家族帯同 | 不可 | 不可 | 可 |
| 転職 | 原則不可 | 同業種内可 | 同業種内可 |
| 建設業許可 | 必要 (2020年 1月から) | 必須 | 必須 |
| 建設キャリアアップシステム | 会社と本人の登録が必要 | 会社と本人の登録が必要 | 会社と本人の登録が必要 |
| JAC加入 | 不要 | 必須 | 必須 |
特定技能の外国人を受け入れるまでの流れ
建設分野の特定技能は、ほかの分野より受け入れの手順が多いのが特徴です。国土交通省が受け入れ企業ごとに計画を審査するためで、準備に数か月かかることもあります。大まかな順番は次のとおりです。
- 建設業許可を確かめる:許可が無い会社は受け入れられません。有効期限が近いときは先に更新を済ませます
- 建設キャリアアップシステムに事業者として登録する:受け入れた外国人本人も技能者として登録します
- JACに加入する:直接の賛助会員になるか、JACの正会員である建設業者団体に加入します。受け入れる人数に応じた負担金がかかります
- 建設特定技能受入計画を作り、国土交通省の認定を受ける:報酬の額、同じ仕事をする日本人と同等以上であること、月給制で安定して支払うことなどを審査されます
- 在留資格の申請をする:計画の認定を受けてから、出入国在留管理庁へ申請します
- 受け入れた後の講習と巡回:受け入れ後、国の委託を受けた機関による講習と、職場への巡回訪問があります
受入計画では、特定技能1号の外国人の数が、常勤の職員の総数を超えないことも求められます。少人数の会社がいきなり多くの外国人を受け入れることはできないため、何人をいつ迎えるかを先に決めておくと手戻りが減ります。
育成就労制度(2027年4月から)で経営者が準備すること
2027年4月1日からは、技能実習に代わって育成就労制度が始まります。施行日の後は、技能実習の新しい計画は原則として認められなくなります(すでに受け入れている実習生には経過措置があります)。建設会社にとって大きい変化は次の3つです。
| 項目 | 技能実習(2027年3月まで) | 育成就労(2027年4月から) |
|---|---|---|
| 目的 | 技能を母国へ移すこと | 人材の育成と確保 |
| 期間の目安 | 最大5年 | 原則3年で特定技能1号の水準へ |
| 本人の希望による転籍 | 原則できない | 同じ受け入れ先で一定期間働き、日本語などの要件を満たせば可能 |
転籍が認められるということは、給料や職場の環境が悪い会社からは人が移っていくということです。賃金を日本人と同じ水準にそろえる、資格の取得を会社が支える、建設キャリアアップシステムのレベルに合わせて手当を上げるなど、「ここで働き続けたい」と思える仕組みを今のうちに作っておくことが、いちばんの備えになります。
まとめ:人手不足対策として外国人雇用を正しく活用する
- 建設業の外国人労働者数は過去5年で約2倍に増加。特定技能制度が急拡大中
- 特定技能2号(建設分野)は制度の始まりから対象で、2022年に初めて許可が出た。長期・安定的な労働力として活用できる
- 採用時は在留資格確認・建設業許可保有・JAC加入・適正賃金の4点が必須
よくある質問
Q: 建設業で外国人を特定技能で雇う場合、建設業許可は必要ですか?
はい、必須です。建設分野の特定技能外国人を受け入れるには、建設業許可の保有が条件となっています。また、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入も義務付けられています。無許可業者は受け入れ不可です。
Q: 技能実習生と特定技能の違いは何ですか?
技能実習は「技能移転」を目的とした制度で転職が原則不可、在留期間は最大5年。特定技能は「即戦力として就労」を目的とした制度で、1号は最大5年・家族帯同不可、2号は更新可・家族帯同可です。建設分野は制度が始まった2019年から2号の対象で、2022年4月に初めて2号の許可が出ました。
Q: 育成就労制度はいつから始まりますか?
2027年4月1日から施行されます。法律は2024年6月に成立し、施行日は2025年9月の閣議決定で決まりました。施行日の後は技能実習の新しい計画は原則として認められず、すでに受け入れている実習生には経過措置があります。
Q: 建設分野の技能実習生を受け入れるにも建設業許可は必要ですか?
必要です。建設関係の職種の技能実習では、2020年1月から、受け入れる会社が建設業許可を持ち、建設キャリアアップシステムに登録していること、実習生本人も登録することが基準になっています。
Q: 不法就労の外国人を知らずに雇った場合も罰せられますか?
在留カードを確認しなかったなど、過失があれば罰を免れません。不法就労助長罪は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、2027年4月から5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(両方のこともある)に引き上げられる予定です。採用のときに在留カードの表と裏、就労制限の有無、在留期間を必ず確かめ、写しを保管してください。
あわせて読みたい
- 電気工事士の人材確保が急務|若年層の資格取得を促進するための現場の工夫と企業施策
- 建設業の倒産件数が急増中|帝国データバンクのデータで見る経営リスクと生存戦略
- 防水工事の職人が集まらない建設会社へ|採用と育成で効く5つの打ち手
都道府県から建設業許可業者を探す
全国の建設業許可取得業者を都道府県・業種から検索できます。
自社の施工事例は、検索で見つけてもらうにはどう載せればいい? → 作成から更新まで頼めるWordPress作成代行センター
