建設業許可の更新期限を忘れてしまい、気づいた時には有効期間が過ぎていた――建設会社や工務店で、こうした事態は意外と起こります。有効期間が満了すると許可は効力を失い、そのまま許可の要る工事を請け負うと無許可営業として罰則の対象になります。本記事では、更新の期限の決まり、期限が迫っているときと過ぎてしまったときの対応、失効を防ぐ社内の管理の方法を、建設業法に沿って整理します。
更新の期限と、過ぎたときに起きること
有効期間は5年・更新の申請は満了の30日前まで
建設業許可の有効期間は5年です(建設業法第3条第3項)。続けて営業するには、有効期間が満了する日の30日前までに更新の申請を出す必要があります。
期限内に更新の申請を出していれば、有効期間が満了した後に審査の結果が出る場合でも、結果が出るまでは前の許可が有効です(第3条第4項)。一方、満了日までに更新の申請を出さなかった場合、許可は満了日で効力を失い、後から更新することはできません。再び許可を受けるには、新規の申請が必要です。
無許可営業の罰則
許可が効力を失った後に、許可の要る工事(1件の請負代金が500万円以上、建築一式工事は1,500万円以上。ただし延べ面積150平方メートル未満の木造住宅の工事を除く)を請け負うと、無許可営業になります。罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で(建設業法第47条)、法人にも1億円以下の罰金が科されることがあります(第53条)。
さらに、建設業法の違反で罰金刑を受けると、その後5年間は許可を受けられない欠格要件に当たります(第8条)。新規の申請で許可を取り直すこともできなくなるため、影響はとても大きくなります。
失効と営業停止の違い
混同しやすいのが「失効」と「営業停止」です。失効は、更新の申請をしなかったために有効期間の満了で許可がなくなることです。営業停止は、建設業法の違反などに対して、許可行政庁が処分として営業を止めるものです。更新を忘れたこと自体で営業停止の処分を受けるわけではありませんが、許可がない状態で許可の要る工事を請け負えば、罰則の対象になります。
期限が迫っているとき・過ぎたときの対応

ステップ1:有効期間の満了日を確かめる
まず、許可通知書で有効期間の満了日を確かめます。国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」でも、許可番号や有効期間を調べられます。許可を複数の業種で受けている場合は、業種ごとの満了日も確かめましょう。
ステップ2:満了日の前なら、すぐに更新の申請を出す
満了日の30日前を過ぎていても、満了日の前であれば、すぐに許可行政庁に相談し、更新の申請を急いでください。扱いは許可行政庁によって違うため、電話などで先に確かめると確実です。
更新の申請では、許可の要件を引き続き満たしていることが確かめられます。主な点は次のとおりです。
- 毎年の決算変更届を出していること(出していないと受け付けてもらえないことがある)
- 常勤役員等と営業所技術者がそろっていること
- 適切な社会保険に加入していること
- 欠格要件に当たらないこと
なお、経営事項審査(経審)は公共工事を元請で受けるための別の手続きで、許可の更新には要りません。
ステップ3:満了日を過ぎていたら、許可の要る工事を請け負わない
満了日を過ぎて失効していたら、新しく許可を受けるまでは、許可の要る金額の工事を請け負ってはいけません。1件500万円未満などの軽微な工事は、許可がなくても請け負えます。
失効の前に結んだ請負契約の工事は、失効の後も最後まで施工できます(第29条の3)。この場合、失効から2週間以内に、その工事の注文者へ許可が効力を失ったことを知らせる必要があります。
ステップ4:新規の申請の準備を始める
新規の申請では、更新とは違い、許可の要件を一から書類で示します。常勤役員等や営業所技術者の経験を証明する書類、財産的基礎を示す書類などをそろえる必要があり、時間がかかります。許可行政庁の手引を確かめ、必要なら行政書士に相談しながら早めに進めましょう。
更新の申請を計画的に進める方法
準備はいつから始めるか
更新の申請の受付がいつから始まるかは、許可行政庁によって違います(満了の数か月前から受け付けるところが多い)。決算変更届が出ているか、常勤役員等や営業所技術者に変わりがないかなどを確かめる時間も見込み、満了日の半年ほど前から準備を始めると安心です。
スケジュールの例(有効期間の満了日が2027年8月31日の場合)
| 時期 | すること |
|---|---|
| 2027年2月〜3月 | 満了日の確認、決算変更届の提出の状況と、役員・技術者の変更の届出漏れを確かめる |
| 2027年4月〜6月 | 許可行政庁の受付の開始時期を確かめ、更新の申請書類をそろえる |
| 受付の開始〜2027年7月 | 更新の申請を出す(満了の30日前の8月1日までに必ず) |
業種ごとに満了日がずれている場合
解体工事業の許可と建築工事業など、業種ごとに別々の時期に許可を受けた会社は、業種ごとに満了日がずれていることがあります。管理が複雑になり、更新漏れの原因になりやすい点です。
- A(解体工事業):2027年3月31日に満了
- B(建築工事業):2027年8月31日に満了
- C(内装仕上工事業):2028年2月28日に満了
このような場合は、更新や業種の追加の申請のときに、有効期間をそろえる「許可の一本化」ができることがあります。手続きの条件は許可行政庁の手引で確かめてください。一本化するまでは、業種ごとの満了日を一覧にして管理しましょう。
許可の失効を防ぐための社内の管理

担当を決めて引き継ぐ
更新を忘れる主な原因の一つが、「担当が替わったら誰も知らなかった」という事態です。事務の担当の退職や異動は、どの会社でも起こります。
- 許可の管理の担当を決める:今の担当の名前を社内に知らせる
- 引き継ぎの手順書を作る:満了日、毎年の決算変更届、書類の置き場所、相談先などを書く
- 引き継ぎのチェックシート:前の担当と新しい担当が一緒に確かめる
カレンダーと通知で管理する
- 事務所の年間のカレンダーに、満了日と「満了の30日前」を書く
- 経営者の予定表にも入れる
- スマートフォンなどで、満了の6か月前・3か月前・2か月前に通知を設定する
- 顧問の税理士にも伝え、決算変更届の時期と合わせて確かめる
行政書士に頼む
手続きの手間が大きい場合は、行政書士に更新の時期の管理や書類の作成を頼む方法もあります。業種が多い会社や、業種の追加を何度も行う会社では、継続して頼むことで漏れを防ぎやすくなります。
よくある質問
Q1. 更新の期限を過ぎてしまいました。いつまでなら間に合いますか?
有効期間の満了日の前であれば、すぐに許可行政庁に相談して更新の申請を急いでください。満了日を過ぎて失効した場合は、更新はできず、新規の申請が必要です。
Q2. 失効の前に受けた工事は続けられますか?
失効の前に結んだ請負契約の工事は、最後まで施工できます(建設業法第29条の3)。失効から2週間以内に、注文者へ許可が効力を失ったことを知らせてください。失効の後に、許可の要る金額の工事を新しく請け負うことはできません。
Q3. 更新の申請に必要な書類は何ですか?
更新の申請書、役員や営業所技術者などの一覧、誓約書、社会保険の加入の状況を示す書類などです。経営事項審査の結果は要りません。様式や添付書類は許可行政庁によって違うため、手引で確かめてください。
Q4. 更新の審査にはどのくらいかかりますか?
審査の期間は許可行政庁によって違います。満了日の30日前までに申請していれば、審査の途中で満了日を迎えても前の許可が有効なので、期限を守って申請することが何より大切です。
Q5. 失効中に許可の要る工事を請け負うと、どうなりますか?
無許可営業として、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります(建設業法第47条)。罰金刑を受けると5年間は許可を受けられなくなるため、失効に気づいたら、許可の要る工事を請け負わないようにしてください。
まとめ

建設業許可の更新を忘れることは、会社の存続にかかわる重大な事態です。本記事のポイントは次の3つです。
第一に、更新の申請は有効期間の満了の30日前までです。期限内に申請すれば審査の途中でも前の許可が有効ですが、満了日を過ぎると許可は失効し、新規の申請が必要になります。
第二に、失効したら許可の要る工事を請け負わないことです。無許可営業は刑事罰の対象で、罰金刑を受けると5年間許可を受けられません。失効の前に結んだ契約の工事は、注文者に知らせたうえで続けられます。
第三に、防ぐには社内の管理の仕組みが大切です。担当を決めて引き継ぎ、満了日をカレンダーと通知で管理し、業種ごとの満了日は一覧にするか一本化しましょう。
まずは今月中に、自社の許可の満了日を確かめ、管理のカレンダーを作ることから始めましょう。
自社や取引先の許可の業種・許可番号・有効期限は、会社名や許可番号から調べられる建設業許可業者の検索でも確かめられます。
出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-10-06)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。
都道府県から建設業許可業者を探す
全国の建設業許可取得業者を都道府県・業種から検索できます。
自社の施工事例は、検索で見つけてもらうにはどう載せればいい? → 作成から更新まで頼めるWordPress作成代行センター
