建設業法上の許可区分「一般建設業」と「特定建設業」—— この違いを知らないまま元請として大型工事を受注すると、建設業法違反で営業停止になるリスクがあります。本記事では、営業所技術者(旧 専任技術者)・財産的基礎・下請保護義務まで含めた4つの違いを、全国1,778,200件の許可データ(2026年10月5日時点)とともに解説します。
1. 結論:一般と特定の違いは「下請に出す金額」で決まる
一般建設業許可と特定建設業許可の本質的な違いは、「元請として受けた1件の工事で、下請に出す金額の合計」の上限です。下請が2社以上あるときは、その工事の下請代金をすべて足して判定します。下請として工事を受ける側は、どちらの許可でも金額の上限はありません。
| 区分 | 1件の工事の下請代金の合計 | 建築一式工事の場合 |
|---|---|---|
| 一般建設業許可 | 5,000万円未満 | 8,000万円未満 |
| 特定建設業許可 | 5,000万円以上も可 | 8,000万円以上も可 |
この金額は2025年2月1日に引き上げられたものです(それまでは4,500万円・建築一式は7,000万円)。
つまり、「自社施工がメイン」「小〜中規模の下請しか出さない」会社は一般で十分。「元請として大型工事を受け、巨額の下請契約を結ぶ」会社は特定が必須です。
2. 一般建設業許可とは
一般建設業許可は、建設業を営むうえでの標準的な許可です。500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上・延べ面積150㎡未満の木造住宅は金額にかかわらず不要)の工事を請け負う場合に取得します。
一般が向いている会社
- 自社施工が主で、下請発注は限定的な会社
- 元請として工事を受けることが少ない会社(下請専門)
- 1件の工事の下請代金の合計が5,000万円(建築一式は8,000万円)未満で収まる会社
ポイント
下請として工事を受ける場合、契約金額に上限はありません。1億円の下請工事を受ける一般建設業者も実在します。「一般=小規模」というイメージは誤解です。
一般・特定のどちらも、許可の有効期限は5年です。更新の申請は期限の30日前までに出すのが原則です。期限の数え方と更新の段取りは建設業許可の有効期限(5年)を徹底解説でまとめています。
3. 特定建設業許可とは
特定建設業許可は、元請として大型の下請契約を結ぶ場合に必要な許可です。一般より要件が厳しい理由は、下請業者を保護するため。元請が経営的に弱いと、下請への支払いが滞るリスクが高まるため、財産要件と人材要件が引き上げられています。
特定が必要になる場面
- 公共工事や大規模民間工事の元請を継続的に受注する
- 1件の工事で、下請代金の合計が5,000万円(建築一式8,000万円)以上になる可能性がある
- ゼネコンとして複数の下請会社を統括する

4. 一般 vs 特定 ─ 4つの違い
制度上の違いは大きく4点です。
| 比較軸 | 一般建設業 | 特定建設業 |
|---|---|---|
| ① 下請代金(1件の工事の合計) | 5,000万円未満 (建築一式は8,000万円未満) |
上限なし |
| ② 営業所ごとの営業所技術者(旧 専任技術者) | 実務経験10年以上 または2級資格者など |
1級資格者など または一般の要件に加え、元請として4,500万円以上の工事で指導監督的な実務経験2年以上 |
| ③ 財産的基礎 | 自己資本500万円以上 または500万円以上の資金調達能力 |
欠損が資本金の20%以下、流動比率75%以上、 資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上 |
| ④ 下請への保護義務 | 標準的な義務 | 下請代金の支払期日(50日以内)など追加義務 |
②の営業所技術者は、特定の場合は1級資格者など(または指導監督的な実務経験2年以上)が必要です。③の財産的基礎は一般の8倍水準が求められます。

5. 数字で見る実態(許可1,778,200件・484,821社のデータ)
当データベースに掲載している全国の会社が持つ、期限の切れていない建設業許可1,778,200件(2026年10月5日時点の集計・国の名簿との最終照合 2026年10月4日/会社数484,821社)を分析すると、一般と特定の比率は次の通りです。
| 区分 | 件数 | 比率 |
|---|---|---|
| 一般建設業 | 1,400,099件 | 78.74% |
| 特定建設業 | 378,101件 | 21.26% |
| 合計 | 1,778,200件 | 100.00% |
つまり建設業許可全体の約8割は「一般」です。多くの会社は一般建設業で事業が成立しており、「特定を取らなければ一人前ではない」というのは誤った先入観です。
特定建設業の比率が高い業種TOP5
業種ごとに特定の比率は大きく異なります。下請に出す工事規模が大きくなりがちな業種ほど、特定の比率が高くなります(許可が1,000件以上ある業種で比べています)。
| 順位 | 業種 | 特定件数 | 全体件数 | 特定比率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 鉄筋工事業 | 8,450 | 26,516 | 31.87% |
| 2 | 解体工事業 | 22,520 | 72,653 | 31.00% |
| 3 | ガラス工事業 | 8,372 | 28,413 | 29.47% |
| 4 | 熱絶縁工事業 | 7,615 | 27,550 | 27.64% |
| 5 | 塗装工事業 | 20,933 | 76,765 | 27.27% |
鉄筋・解体といった「重機や資材を大量に扱う業種」、塗装・ガラスといった「大型工事の終盤を担う業種」で特定の比率が高い傾向が見えます。
1社あたりの平均許可数
1社あたり 平均 3.73業種
期限の切れていない許可を持つ476,109社が、合計1,778,200件の許可を保有 → 1社あたり平均3.73業種(掲載中の484,821社のうち、8,712社は期限内の許可が0件)。建設業許可の業種は全部で29あり、29業種すべての許可を持つ会社は2社、28業種は4社、27業種は23社です(出典:当サイトの建設業許可データベースで2026年10月5日に数えた数)。
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一般・特定の比率は業種や地域によって異なります。実際の業者を都道府県別に確認できます。

6. 自社が取るべきはどっち?判定フロー
3つの質問で簡易判定できます。
下請代金の数え方(消費税や複数の下請の合計)や、許可が足りないまま請けたときのリスクは、一般建設業か特定建設業か|下請代金5,000万円の判断基準を実務で解説で詳しくまとめています。
次に読む:区分を変える前後の実務は「令和6年の建設業法改正で変わった点」「一般建設業から特定建設業に格上げするための財産的基礎の確認手順」「一般建設業と特定建設業の賠償責任保険の違い」で続けて確かめられます。
7. よくある誤解 Q&A
8. まとめ
- 違いを分ける唯一の境界は「1件の工事の下請代金の合計が5,000万円(建築一式8,000万円)以上か未満か」
- 全国1,778,200件(2026年10月5日時点)のうち一般78.7%/特定21.3%。約8割の許可が一般
- 特定の比率が高いのは鉄筋・解体・ガラス・熱絶縁・塗装の業種
- 判定はQ1〜Q3の3ステップで簡易チェック可能
- 業種ごとに一般/特定を使い分けることもできる
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関連サービス
出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-10-05)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。
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