建設業許可取得後の経営事項審査(経審)で点数を上げる実践的な方法

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契約書の上に並ぶCONTRACTの文字の木の駒

建設業許可を取得した後、さらに大きな工事案件を獲得するには「経営事項審査(経審)」での高い点数が不可欠です。しかし、経営事項審査の仕組みや加点対象が複雑で、どのように点数を上げればよいか分からない経営者も多いのではないでしょうか。本記事では、千葉県の建設会社・工務店が実践的に実行できる経審スコアアップの具体的な方法を解説します。えるぼし認定による加点制度から、軽微工事の適切な管理まで、経営基盤を強化するための実務知識をお届けします。

目次

経営事項審査(経審)とは何か—建設業許可取得企業が知るべき基礎知識

経審が建設会社の信用度を決める仕組み

経営事項審査(経審)は、建設業許可を持つ企業が公共工事を受注する際に必要となる審査制度です。建設業法に基づき、企業の経営状況や技術力、社会性などを数値化し、総合評定値(P点)として算出されます。この点数が高いほど、大型工事の入札参加資格が得られやすくなり、営業競争力が大きく向上するのです。

令和8年(2026年)の現在、全国の建設業許可業者の数は、国土交通省の「建設業許可業者数調査の結果について」で毎年公表されています。県ごとの受審数は国の資料にありませんが、千葉県の会社も含め、1社ごとの経審の結果は国土交通省の「経営事項審査結果の公表」で商号から確かめられます。

経営事項審査では、以下の5つの評価項目で点数が算出されます:

  • 完成工事高(X1) — 業種ごとの年間の完成工事高
  • 自己資本額と利益額(X2) — 自己資本の額と利払前税引前償却前利益
  • 経営状況(Y) — 財務の数字(経営状況分析の8つの指標)
  • 技術力(Z) — 技術職員の数と資格・元請の完成工事高
  • 社会性等(W) — 社会保険の加入・若手の育成・えるぼし認定などの働き方の取り組みほか

総合評定値(P点)の計算式と実務での活用

総合評定値は「P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W」の計算式で導き出されます。重みが最も大きいのは完成工事高(X1)と技術力(Z)の25%で、えるぼし認定などの働き方の取り組みは社会性等(W・15%)の中で加点されます。

つまり、建設業許可を取得した企業が経審スコアを上げたいのであれば、単なる売上増加だけでなく、職場環境の改善や働き手の確保といった「経営の質」を高める取り組みが非常に重要な時代になっているということです。

「えるぼし認定」で経審の点数を上げる現実的な戦略

バインダーに綴じた書類をめくる手元
バインダーに綴じた書類をめくる手元(イメージ)

えるぼし認定による加点のしくみ

「えるぼし認定」は、厚生労働省が推奨する女性活躍推進企業の認定制度です。えるぼし認定を取得すると、経営事項審査の社会性等(W点)のワーク・ライフ・バランスの項目で加点されます。

えるぼし認定は3段階あり、5つの評価項目のうち基準を満たす数で段階が決まります(厚生労働省・都道府県労働局の案内):

認定レベル必要な基準
えるぼし1つ星5項目中1〜2項目を満たす
えるぼし2つ星5項目中3〜4項目を満たす
えるぼし3つ星5項目すべてを満たす

5項目とは、次のとおりです:

  • 採用における男女差別のない採用実績
  • 継続就業(平均継続勤務年数の男女の差など)
  • 労働時間の削減(残業時間の削減)
  • 管理職に占める女性割合
  • 多様なキャリアコース(女性の非正社員から正社員への転換など)

建設業界では女性技術者・事務職の確保が重要課題となっており、えるぼし認定を取得している企業は、労働環境の改善が進んでいる優良企業として評価されます。

千葉県の建設会社がえるぼし認定を取得する実務ステップ

えるぼし認定取得の具体的なプロセスは以下の通りです:

  1. 現状把握 — 過去3年間の採用実績、継続勤務年数、労働時間を集計
  2. 改善計画の策定 — クリアしやすい項目から改善目標を設定
  3. 改善実施 — 就業規則の見直し、残業削減施策の導入
  4. 認定申請 — 厚生労働省の公式フォーム(都道府県労働局経由)に提出
  5. 認定取得 — 審査後、えるぼし認定証を受け取り、経審で加点請求

特に建設業界では、「労働時間の削減」が最も実施しやすい改善項目です。各月の時間外と休日の労働の平均を45時間未満にすると、5項目のうち「労働時間等の働き方」を満たせます(認定にはほかの条件もあるため、労働局の案内で確かめてください)。経営事項審査で加点され、入札競争力が向上する直接的なメリットが得られるのです。

建設業許可企業が見落としがちな「軽微な工事」の線引きと経審の完成工事高

軽微な工事とは何か—建設業許可の必要性の分岐点

建設業許可がなくても請け負える「軽微な建設工事」は、建設業法施行令 第1条の2で決まっています。許可の要否はこの線で分かれますが、経営事項審査の完成工事高(X1)には、軽微な工事の売上も入ります。小さな工事だから経審の実績にならない、ということはありません。

軽微な建設工事の線引きは次のとおりです(請負代金は消費税を含む額):

  • 建築一式工事 — 1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事
  • 建築一式工事以外の工事(土木一式・内装・管・電気・屋根・塗装など) — 1件の請負代金が500万円未満

たとえば、空き家再生・リフォーム事業を展開している工務店が、小規模な修繕工事(200万円程度)を複数受注している場合、許可がなくても請け負える軽微な工事ですが、許可を受けた業種の工事であれば、その売上は完成工事高に入ります。

空き家再生事業における許可要件と実務的な切り分け

千葉県内でも、空き家再生・リフォーム事業の需要が高まっています。総務省の統計によれば、令和5年(2023年)時点で全国の空き家は約900万戸に達しています(総務省 住宅・土地統計調査 2023年)。

空き家再生工事において、建設業許可の必要性は工事の種類と1件の請負代金で判断します:

工事内容工事金額(税込)許可の必要性
壁紙・床材張替え(内装仕上工事)300万円不要(軽微な工事)
配管・電気の更新(管工事・電気工事)800万円必要(500万円以上)
全面改修(建築一式工事)1,500万円以上必要(延べ面積150平方メートル未満の木造住宅の工事は不要)
外壁・屋根工事(塗装工事・屋根工事など)500万円以上必要

経審の点数を上げるために、小さな工事をまとめて大きな1件に見せる必要はありません。業種ごとの完成工事高を正しく集計し、軽微な工事も含めて申請することが、X1 の点数の土台になります。

経営事項審査の Y・X2・Z・W を上げる具体的な取り組み

表の書類をペンと指でたどる2人の手元
表の書類をペンと指でたどる2人の手元(イメージ)

Y(経営状況)と X2(自己資本額と利益額)を上げる

Y は、経営状況分析の8つの指標(純支払利息比率・負債回転期間・総資本売上総利益率・売上高経常利益率・自己資本対固定資産比率・自己資本比率・営業キャッシュフロー・利益剰余金)から出す財務の点で、総合評定値の20%を占めます。会社の規模は X1(完成工事高)と X2(自己資本額と利益額)で評価されます。

1. 利益率を上げる

原価の管理と請負金額の見直しで、利益率を上げましょう。売上高経常利益率などの指標が良くなり、X2 の利益額にも表れます。

2. 借入の利息と負債を減らす

借入の利息を減らすと純支払利息比率が、負債を減らすと負債回転期間が良くなります。

3. 自己資本を積み増す

利益を内部に残して自己資本を厚くすると、自己資本比率などの Y の指標が良くなり、自己資本額は X2 にも入ります。

Z(技術力)を上げる

Z は、技術職員の数(資格の種類で点が違う)と、元請として請け負った完成工事高で決まります。

  • 1級の施工管理技士・1級建築士など、上位の資格を持つ技術職員を増やす(監理技術者の資格者証と講習の修了があると、さらに点が上がる)
  • 若手の資格の取得を会社で支援する
  • 元請の工事の実績を積み、業種ごとに正しく集計する

W(社会性等)を上げる

W は、取り組めば点になる項目が多いのが特徴です。主な項目は次のとおりです。

  • 健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入(未加入は減点)
  • 建設業退職金共済、退職一時金や企業年金の制度、法定外の労働災害補償
  • 若年の技術者の育成と確保、知識と技術の向上の取り組み(継続教育など)
  • ワーク・ライフ・バランス(えるぼし・くるみん・ユースエールの認定)
  • 建設キャリアアップシステムの活用
  • 防災協定の締結(防災活動への貢献)
  • ISO 9001・ISO 14001・エコアクション21 の認証
  • 監査の受審、公認会計士などの数(建設業の経理の状況)、建設機械の保有

建設業協会への加入そのものは、経審の加点の項目ではありません。ただし、協会を通じて自治体と防災協定を結んでいる場合は、W の防災活動への貢献の項目で評価されることがあります。項目と点数は、国土交通省の経審の資料で確かめてください。

経営事項審査を受ける時期と申請の流れ

スーツの手元が電卓で金額を計算する
スーツの手元が電卓で金額を計算する(イメージ)

結果の有効期間から逆算する

経審の結果の有効期間は、審査基準日(通常は決算日)から1年7か月です。公共工事を続けて受けるには、前の年の結果の有効期間が切れる前に新しい結果が届くよう、毎年決算の後に受ける必要があります。

3月決算の会社の例です。

  1. 5月ごろ — 決算の確定、税務申告
  2. 決算の後4か月以内 — 許可行政庁に決算変更届を出す(建設業法第11条第2項)
  3. 決算変更届の後 — 登録経営状況分析機関に経営状況分析を申請し、結果を受け取る
  4. その後 — 許可行政庁に経営規模等評価・総合評定値の請求を申請する

千葉県での受付の方法や、審査にかかる期間は、千葉県の経審の手引で確かめてください。

よくある質問

Q1. 経審の点数はどう計算され、どの項目が重要ですか?

総合評定値(P点)は「P = 0.25X1 + 0.15X2 + 0.2Y + 0.25Z + 0.15W」で計算されます。重みが大きいのは X1(完成工事高)と Z(技術力)ですが、W は取り組めば確実に点になる項目が多いので、すぐに着手しやすい項目です。

Q2. 自己資本比率を上げるには具体的に何をすべきですか?

自己資本比率向上には、利益の内部留保と負債削減が重要です。毎年の利益を配当せず積み立てる、高金利の借入を低金利に借換える、不要資産を売却して負債返済するなどが有効です。3年単位で計画的に改善することで、経審の評点向上につながります。

Q3. 技術職員を増やすことで経審の点は上がりますか?

はい、Z(技術力)の点が上がります。建築士や施工管理技士などの資格者が多いほど加点され、特に1級の資格者は高く評価されます。ただし実際に雇用していることが前提で、虚偽の申請は罰則や許可の取消しの対象になります。

Q4. 完成工事高が少ないと経審で不利になりますか?

X1 は総合評定値の25%を占めるため、完成工事高が少ないと X1 の点は低くなります。ただし、Y・Z・W の点を上げることで、総合評定値を補うことはできます。業種ごとの完成工事高を正しく集計し、ほかの項目も計画的に上げましょう。

Q5. 経審を受ける前年の決算対策として何をすればよいですか?

利益の計上漏れを確認し、売掛金の回収を進めて資産を適切に計上します。過剰在庫の処分や不要資産の売却で効率性を改善し、高金利借入の返済で財務体質を強化します。ただし脱税や粉飾は厳禁で、正当な経営改善のみ実施してください。

工事を頼む先や協力会社を探すときは、千葉県の建設業許可業者を業種別に調べられる千葉県の建設会社一覧もお使いください。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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