「経営事項審査(経審)の点数を少しでも上げたい」と考える建設会社の経営者にとって、見落としやすい項目の一つが、女性の活躍の推進に取り組む会社が受けられる国の認定「えるぼし」です。えるぼしは、経審の W点(社会性等)の中の「ワーク・ライフ・バランスに関する取組」で加点されます。この記事では、えるぼしの段階ごとの経審の点数、認定の基準、申請までの手順を、公表されている決まりに沿って整理します。
えるぼし認定とは|女性活躍推進法にもとづく国の認定
えるぼしは、女性活躍推進法にもとづき、一般事業主行動計画を作って届け出た会社のうち、女性の活躍の推進に関する状況が優良な会社が、都道府県労働局へ申請して厚生労働大臣の認定を受ける制度です。認定には段階があり、上から「プラチナえるぼし」「3段階目」「2段階目」「1段階目」です。
段階は、次の5つの評価項目のうち、いくつの基準を満たしているかで決まります。
- ①採用
- ②継続就業
- ③労働時間等の働き方
- ④管理職比率
- ⑤多様なキャリアコース
| 段階 | 満たす基準の数 |
|---|---|
| 3段階目 | 5つすべて |
| 2段階目 | 3つまたは4つ |
| 1段階目 | 1つまたは2つ |
各項目の具体的な基準(数値)は業種や雇用の形で変わるため、申請の前に都道府県労働局の案内で確かめてください。プラチナえるぼしは、3段階目より高い水準を満たした会社が受ける別の認定です。実績は「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表する必要があり、1段階目と2段階目では、満たさない基準についても取組を行い、2年以上続けて実績が改善していることが求められます。
経審での位置づけ|W点の「ワーク・ライフ・バランスに関する取組」

経審の総合評定値(P点)は、X1(完成工事高)・X2(自己資本額と利益)・Y(経営状況)・Z(技術力)・W(社会性等)の組み合わせで計算します。えるぼしはX ではなく Wの項目です。2023年(令和5年)1月の経審の改正で、W点に「ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況」が加わり、えるぼし・くるみん・ユースエールの認定が評価されるようになりました。
えるぼしの点数(W点の素点)は次のとおりです。くるみんやユースエールなど複数の認定を持っていても、この項目で評価されるのは最も高い点の1つです。
| えるぼしの段階 | 経審の加点(W点の素点) |
|---|---|
| プラチナえるぼし | 5点 |
| 3段階目 | 4点 |
| 2段階目 | 3点 |
| 1段階目 | 2点 |
ほかに、プラチナくるみん5点・くるみん3点・トライくるみん3点・ユースエール4点です。持っている認定のうち最も高い1つが評価され、最大5点です。
W点の素点は、決まった式で換算されてから P点に入ります。そのため「総合評定値が何点上がるか」は会社によって同じではありません。まずは自社の今の素点と、どの段階を目指せるかを確かめるのが近道です。
取得までの手順

1. 自社の今の数値を集める
5つの評価項目に合わせて、男女別の採用の数、平均の勤続年数、月の時間外労働、管理職に占める女性の割合、職種の転換や再雇用の実績などを、直近の事業年度の数で集めます。
2. 一般事業主行動計画を作って届け出る
行動計画を作り、社内に知らせて外にも公表し、都道府県労働局へ届け出ます。行動計画の届出だけでは経審の加点にはなりません。えるぼし認定を受けるための前提の手続きです。
3. 基準を満たした項目の数で段階を決め、申請する
満たしている基準の数で、申請できる段階が決まります。申請は都道府県労働局へ行い、手数料はかかりません。かかる期間は、数値の集計と書類の準備の進み方で会社ごとに変わります。
4. 経審の申請で認定を示す
経審の申請のときに、認定を受けていることを示す書類を出します。審査基準日の時点で認定を受けていることが前提になるため、決算の時期と合わせて計画を立ててください。
よく混同される「労務費の基準」との違い
2025年12月に全面施行された改正建設業法では、中央建設業審議会が作る労務費の基準(標準労務費)をもとに、見積りや契約で技能者の労務費を確保することが求められています。これは技能者の賃金の原資を確保するための決まりで、男女の賃金差やえるぼしの基準とは別のものです。
取引先や下請の会社が建設業許可を持っているかは、全国の建設業許可業者を業種や地域から調べられる建設業許可データベースの企業検索で確かめられます。
くるみん・ユースエールとの関係
経審の「ワーク・ライフ・バランスに関する取組」の項目では、えるぼしのほかに、子育てを支える会社の認定(くるみん)や、若い人の採用と育成に積極的な会社の認定(ユースエール)も評価の対象になっています。どの認定も、働く人の数や制度の使われ方などの実績をもとに審査されます。
どれから取り組むかは、自社の今の数値で基準に近いものから選ぶと進めやすくなります。くわしい基準と点数は、厚生労働省と国土交通省の案内で確かめてください。認定には有効の期間や、毎年の報告が求められるものもあるので、取った後の手間も合わせて考えておきます。
よくある質問

Q1. えるぼしを取ると経審で何点になりますか?
W点の「ワーク・ライフ・バランスに関する取組」の素点で、プラチナえるぼし 5点・3段階目 4点・2段階目 3点・1段階目 2点です。認定を受けていない(行動計画の届出だけの)場合は、この項目の加点はありません。総合評定値への影響は、換算の式があるため会社によって変わります。
Q2. 認定の基準はいくつ満たせばよいですか?
5つの評価項目のうち、1つまたは2つで1段階目、3つまたは4つで2段階目、5つすべてで3段階目です。
Q3. 従業員の少ない会社でも申請できますか?
会社の規模にかかわらず申請できます。ただし、評価項目の基準は男女の比率や実績の数で見るため、女性の従業員が少ない会社では満たせる項目が限られることがあります。まずは行動計画の届出から始める方法もあります。
Q4. 申請に費用はかかりますか?
都道府県労働局への申請に手数料はかかりません。社内の数値の集計や制度の整備にかかる手間と期間は、会社の今の状況によって変わります。
まとめ
- えるぼしは経審の W点「ワーク・ライフ・バランスに関する取組」で評価される(X ではない)
- 点数はプラチナ 5点・3段階目 4点・2段階目 3点・1段階目 2点(行動計画の届出だけでは加点なし)
- 段階は5つの評価項目のうち満たした基準の数で決まる
- 最初の一歩は、自社の数値を集めて一般事業主行動計画を届け出ること
出典:厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」・香川労働局「えるぼし認定」の案内・青森県「経営事項審査の改正(令和5年1月1日)」・国土交通省「経営事項審査の改正(令和8年7月1日施行)」(確認日 2026-10-06)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。
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