電子帳簿保存法の​建設会社向け対応チェック|​義務化2年後に​見直す点と​確認リスト

企業検索はメインサイトから

建設業許可データベースのトップへ
ノートパソコンに USB メモリを差し込む手元


電子帳簿保存法(電帳法)の電子取引データ保存義務化から2年以上が経過しました。「うちはすでに対応済み」と思っている建設会社でも、税務調査が本格化する中で「やったつもり未対応」のケースが顕在化しています。また、令和7年度の税制改正で、一定の要件を満たすシステムで電子取引データを保存すると重加算税の10%の加重の対象から外れる見直しが決まりました(2027年〔令和9年〕1月1日以後に法定申告期限が来る国税から・財務省「令和7年度税制改正の大綱」)。本記事では、建設会社の経理担当者・経営者が今確認すべき最新の対応状況を整理します。

目次

義務化から2年:電帳法対応は「準備期」から「維持・点検期」へ

電子帳簿保存法の現在地

電子取引データの保存義務化は2024年1月1日から完全施行されており、それまでの宥恕措置は2023年12月31日で終了しました。2024年1月からは、保存の要件に従って保存できなかった相当の理由があり、税務職員のダウンロードの求めや出力した書面の提示に応じられる場合に限った、新しい猶予措置があります(国税庁)。相当の理由が無いまま電子取引データを保存の要件どおりに保存していない事業者は、義務違反の状態です。

電帳法は大きく3つの分野で構成されています。

  • ①電子帳簿等保存:会計ソフト等で作成した帳簿・書類を電子データで保存する制度
  • ②スキャナ保存:紙の書類をスキャンしてPDF等で保存する制度(一定の要件を満たす必要あり)
  • ③電子取引データ保存:メール添付の請求書・PDFでの領収書等をデータのまま保存する制度(全事業者に義務化)

建設業では、電子発注・電子請求が普及しており、③の電子取引データ保存は特に影響が大きい分野です。

令和7年度の税制改正で何が変わったか(2027年1月以後に法定申告期限が来る国税から)

クレジットカードを持ちノートパソコンに向かう手元
クレジットカードを持ちノートパソコンに向かう手元(イメージ)

重加算税の10%加重の対象から外れる保存の方法

電子取引データを隠したり偽ったりした場合、重加算税は10%重くなります(加重措置)。令和7年度の税制改正で、訂正・削除の履歴が確かめられ、帳簿との関係も確かめられるシステム(特定電子計算機処理システム)で保存している場合は、この加重の対象から外れることになりました(財務省「令和7年度税制改正の大綱」の電子取引の保存制度の見直し)。

適用は、2027年(令和9年)1月1日以後に法定申告期限が来る国税からです。

建設会社への影響は以下の通りです。

  • 使っている会計ソフトなどが、この要件に合うシステムかどうかで扱いが変わります
  • フォルダに保存するだけの方法は、この見直しとは関係なく、これまでどおりの保存の要件(検索要件など)を満たす必要があります。なお、基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務職員のダウンロードの求めに応じられる場合などは検索要件が要りません。保存の要件に従って保存できなかった相当の理由があり、ダウンロードの求めや出力した書面の提示に応じられる場合の猶予措置もあります
  • 自社の会計ソフトがこの要件に合うかどうかは、ソフトベンダーまたは税理士に確認してください

建設会社・工務店の方へ

ホームページの制作費は0円。かかるのは1万円だけです

1万円(税込・1回だけ)に、12か月のサーバーと .com ドメインの取得・初年度の費用を含みます。

制作費0円で申し込む ›

建設会社によくある「やったつもり未対応」3パターン

パターン1:「フォルダ保存しているからOK」——検索要件が整っていない

電子取引データを単にPCのフォルダや共有サーバーに保存するだけでは要件を満たしません。電帳法では、電子取引データを「日付・金額・取引先で検索できる状態」で保存することが求められています(検索要件)。

ファイル名をルール化せず保存している場合、または検索システムを整備していない場合は「やったつもり未対応」に該当する可能性があります。ファイル名に「日付_金額_取引先名」を含める命名規則の導入か、会計ソフト上での保存管理への移行を検討してください。

パターン2:「スキャンして保存しているからOK」——タイムスタンプや解像度が未設定

紙の書類をスキャンして保存する「スキャナ保存」は、一定の要件を満たす必要があります。特に注意が必要なのは、タイムスタンプの付与(または一定の訂正削除防止措置)と、規定の解像度(200dpi以上が目安)です。

「スキャンしてPCに保存しているから大丈夫」と思っている担当者が多いですが、タイムスタンプや訂正削除防止措置を取っていない場合は要件を満たしていません。スキャン保存を使っている会社は、スキャン手順・保存要件を今一度確認してください。

パターン3:「会計ソフトで管理しているからOK」——設定が不完全で税務調査に対応できない

会計ソフトを使っていても、電子取引データの取り込み設定が不完全な場合があります。例えば、メールで受け取ったPDF請求書を会計ソフトに取り込まず担当者のPCに保存したままになっている、Excelで作成した支払証明書をデータとして適切に管理していないなどのケースです。税務調査では「全ての電子取引データが適切に保存されているか」が確認されます。例外的な取引や、特定担当者だけが受け取っているデータがないかを確認してください。

2026年版 対応確認チェックリスト(監査対応フレーム)

電子取引データ保存(義務)

  • ☑ メール・クラウドで受け取る請求書・領収書等の電子取引データを全件保存しているか
    取引先・担当者・受取チャネル(メール本文・添付ファイル・Web購買システム等)を網羅的にリストアップし、取りこぼしがないか確認します。
  • ☑ 日付・金額・取引先名の3要素で検索できる状態になっているか
    検索要件への対応状況を確認します。ファイル名命名規則または会計ソフトの検索機能のどちらかで対応してください。
  • ☑ 訂正・削除を防止する措置が取れているか
    タイムスタンプ付与、またはクラウドストレージ等による訂正削除履歴保持の設定状況を確認します。

スキャナ保存(任意だが利用時は要件適合が必要)

  • ☑ 紙書類をスキャンして保存している場合、解像度200dpi以上を確保しているか
  • ☑ スキャン保存書類にタイムスタンプが付与されているか(または同等の訂正削除防止措置があるか)

令和7年度の改正への対応

  • ☑ 自社の会計ソフトなどが、重加算税の加重の対象から外れる要件に合うか確認したか
    訂正・削除の履歴と帳簿との関係が確かめられるかを、ソフトベンダーまたは税理士に確かめます(2027年1月以後に法定申告期限が来る国税から)。

内部体制・教育

  • ☑ 電帳法対応の担当者・手順書を整備しているか
    担当者が変わっても対応できる手順書の存在を確認します。
  • ☑ バックアップ体制が整っているか(データ消失リスクへの対応)
    電子取引データのバックアップ保存先・頻度・確認方法を定期的に確認します。

取引先や下請の会社が建設業許可を持っているかは、全国の建設業許可業者を業種や地域から調べられる建設業許可データベースの企業検索で確かめられます。

よくある質問

ノートパソコンを打つ手元と書類とペン
ノートパソコンを打つ手元と書類とペン(イメージ)

Q1. 宥恕措置はもう終わったのですか?

はい。宥恕措置は2023年12月31日で終了しました。2024年1月からは、相当の理由があり、ダウンロードの求めや出力した書面の提示に応じられる場合に限って、新しい猶予措置があります(国税庁)。

Q2. クラウドストレージ(Googleドライブ等)にPDFを保存するだけでよいですか?

保存先はクラウドストレージでも構いませんが、「保存するだけ」では要件を満たしません。日付・金額・取引先の3要素での検索ができる状態(検索要件)と、訂正・削除の防止措置(タイムスタンプ等)が必要です。ファイル名に命名規則を設けるか、会計ソフトでの一元管理に切り替えることを検討してください。

Q3. 建設会社で特に注意すべき電子取引のパターンはありますか?

建設会社特有の注意点として、①元請・下請間の電子発注書・注文請書、②資材業者からのPDF請求書、③工事代金の電子領収書、④外注費の支払証明書などが挙げられます。これらの書類がメール添付やWebシステム経由で受け取られている場合、全件が適切に保存・管理されているかを確認してください。

Q4. 令和7年度の改正は、どんな会社に関係しますか?

電子取引データを保存しているすべての事業者に関係します。訂正・削除の履歴と帳簿との関係が確かめられるシステムで保存していれば、隠したり偽ったりした場合の重加算税の10%の加重の対象から外れます。適用は2027年(令和9年)1月1日以後に法定申告期限が来る国税からです。使っているソフトが要件に合うかは、ソフトベンダーまたは税理士に確認してください。

Q5. 電帳法違反が税務調査で発覚した場合のペナルティはどうなりますか?

電子取引データを適正に保存していない場合、青色申告の承認取消し(法人・個人事業主)や重加算税の対象となる可能性があります。電子取引データを隠したり偽ったりしていた場合は、重加算税が10%重くなります。

まとめ

電子帳簿保存法は義務化から2年が経過し、対応は「準備フェーズ」から「維持・点検フェーズ」に移っています。令和7年度の税制改正で重加算税の加重の扱いも見直されたため、自社の保存体制・会計システムが最新の要件に対応しているかの確認が必要です。

建設会社でよく見られる「やったつもり未対応」3パターン(検索要件の不備・スキャン要件の不備・設定不完全)を今一度点検し、本記事のチェックリストを活用して対応状況を確認してください。不明な点は税理士・会計士等の専門家に相談することをお勧めします。

出典:財務省「令和7年度税制改正の大綱」(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度の見直し・令和9年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税から)

出典:電子帳簿保存法(e-Gov 法令検索)(確認日 2026-09-28)

あわせて読みたい

自社の施工事例は、検索で見つけてもらうにはどう載せればいい? → 作成から更新まで頼めるWordPress作成代行センター

建設会社・工務店の方へ

ホームページの制作費は0円。かかるのは1万円だけです

1万円(税込・1回だけ)に、12か月のサーバーと .com ドメインの取得・初年度の費用を含みます。

制作費0円で申し込む ›
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

中小建設企業の経営改善・財務強化・事業承継を専門とするビジネスアドバイザー。建設業特有の下請管理・支払サイト問題・財務諸表の見方を中心に、経営基盤の強化につながる実務情報を発信。建設業の経審(経営事項審査)と公共工事受注の仕組み、労働環境改善・働き方改革対応の最前線情報にも精通。M&A・事業承継・廃業検討中の建設会社向け情報も担当。

目次