令和6年改正も​施行済み——経営業務管理責任者の​要件を​2026年版に総整理

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書類にスタンプを押す手元とノートパソコン

【施行状況】令和6年改正建設業法(法律第49号)の主要規定は2025年12月に施行完了しました。経営業務管理責任者の要件(ルートA・B・C)の骨格に変更はありませんが、常勤の確認に使う書類の変更(健康保険証の新規発行の停止)が実務に影響しています。詳細は本記事の「令和6年改正後の実務変化点」セクションをご確認ください。

目次

令和6年改正建設業法の施行が完了した今、経管体制を総点検する

令和6年改正建設業法の主要規定が2025年12月に施行完了した。経営業務の管理責任者に関する要件——ルートA・B・C——の骨格は令和2年と変わらないが、常勤の確認に使う書類の変更は見落とせない。自社の経管体制を2026年版の視点で総点検する。

経営業務管理責任者とは何か——2020年改正で何が変わったか

ノートパソコンのそばでマウスに置いた手
ノートパソコンのそばでマウスに置いた手(イメージ)

建設業許可を取得・維持するには、「経営業務の管理責任者(経管)」の要件を満たす役員等を常勤で配置する必要がある。2020年(令和2年)10月施行の改正建設業法で、それまでの硬直的な要件が大きく柔軟化された。

2020年以前の問題点

2020年改正以前は、許可を取ろうとする業種で5年以上、ほかの業種で6年以上(2017年6月までは7年以上)の経営業務の管理責任者としての経験、または補佐の経験などが求められていた。このため、以下のようなケースで許可取得が難しいことがあった。

  • 土木と建築の両方で許可を取りたいが、どちらかの業種経験が5年に満たない
  • 創業者が引退し、後継者がまだ経験年数を満たしていない
  • M&Aで事業承継したが、新経営陣に建設業経験がない

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2020年改正で導入された3つのルート(ルートA・B・C)

令和2年改正では、経管の要件が「組織としての経営管理体制」を問うものに転換され、以下の3ルートが設けられた。

ルートA:役員等としての経験(5年以上)

建設業に関し、役員等(取締役・業務執行社員・執行役等)として5年以上の経験を有する者が在籍している場合。業種の縛りがなくなり、建設業全般での役員経験があれば認められる。

確認書類の例備考
法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)役員就任期間の確認
建設業許可通知書・決算変更届過去の建設業者であった証明
常勤確認書類(社会保険等)健康保険証廃止後は代替書類が必要(後述)

ルートB:役員等に準ずる地位としての経験(管理5年以上・補佐6年以上)

役員等ではないが、建設業に関し、経営業務を執行する権限の委任を受けた準ずる地位(執行役員など)として経営業務を管理した経験が5年以上ある者、または準ずる地位として経営業務の管理責任者を補佐した経験が6年以上ある者(建設業法施行規則第7条第1号イ)。

ルートC:常勤役員等と、直接補佐する者を置く形

常勤役員等が、建設業の役員等の経験2年以上を含めて5年以上の役員等(または財務管理・労務管理・業務運営を担当する役員等に次ぐ地位)の経験を持ち、その常勤役員等を直接補佐する者として、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験がそれぞれ5年以上ある者を置く方法(同号ロ)。財務・労務・業務運営の5年は、補佐する者の要件である。

ポイント:補佐する者は1人が複数の分野を兼ねることもできる。ただし、この形でも常勤役員等本人に建設業の役員等の経験2年以上が要るため、建設業の経験がほとんど無い後継者だけでは満たせない。

2020年→2024年→2026年:要件変遷まとめ表

ヘルメット姿で腕を組む作業着の年配の男性
ヘルメット姿で腕を組む作業着の年配の男性(イメージ)

令和6年改正を含む要件変遷を時系列で整理する。

時期改正内容実務への影響
2020年10月(令和2年改正施行)経管要件の柔軟化。ルートA・B・C導入。業種縛りの撤廃許可取得のハードルが大幅に低下。後継者問題・M&A対応が容易に
2024年12月健康保険証の新規発行の停止(マイナ保険証へ移行)発行済みの保険証の経過措置(最長 2025年12月1日まで)が終わり、常勤の確認に保険証は使えない。代替書類の準備が必要
2025年12月(令和6年改正・全規定施行完了)許可要件の整備・処遇確保の努力義務化等が施行令和6年改正のすべての主要規定が効力を持った状態になった

令和6年改正後の実務変化点——2026年の申請で注意すべきこと

変化点1:常勤確認書類の変更(健康保険証廃止)

2024年12月2日に健康保険証の新規発行が止まり、発行済みの保険証の経過措置(最長 2025年12月1日まで)も終わったため、経管の常勤確認書類として健康保険証を使う方法は利用できなくなった。2026年現在の申請では以下の代替書類を準備する。

  • 資格情報のお知らせ・健康保険被保険者標準報酬決定通知書など(申請先の手引きで確かめる)
  • 健康保険資格確認書(各健康保険組合・協会けんぽが発行)
  • 社会保険料の領収書・納入告知書(会社の社会保険加入証明を兼ねる場合)

都道府県によって認める書類の細目が異なるため、申請先の手引き(最新版)を必ず確認すること。

変化点2:経験の中身を説明できるようにしておく

経営業務の管理責任者の要件(ルートA・B・C)は令和2年改正のままで、令和6年改正で審査の基準が変わったわけではない。そのうえで、経験の期間を示す書類だけでなく、どの立場でどんな業務を担ったかを説明できるよう、職務の記録を整えておくと申請の手戻りを減らせる。

変化点3:関連記事との併読を推奨

令和6年改正建設業法の全体像については、当サイトの以下の記事も参照されたい。

→ 令和6年改正建設業法 施行済み 東京都の建設業許可、あなたの会社は対応できていますか?

→ 管工事業への対応詳細:2025年施行の建設業法改正で管工事業は何が変わったか――令和6年改正の要点と2026年版対応確認チェックリスト

経管要件のよくある誤解と実務対応Q&A

図面を広げて話すヘルメット姿の作業着の二人
図面を広げて話すヘルメット姿の作業着の二人(イメージ)

Q:「経営業務管理責任者は廃止された」という話を聞いたが本当か?

A:正確には「廃止」ではなく「制度の柔軟化」。2020年改正で「経管を置く」という形式的な要件から「組織として経営管理体制を整えている」ことを証明する要件に転換された。今も、要件を満たす常勤役員等を1人特定して届け出る(ルートCでは直接補佐する者もあわせて届け出る)。

Q:後継者に建設業経験がほとんどない場合、どうすればよいか?

A:補佐する者を置く形(ルートC)でも、常勤役員等本人に建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の経験が要る。建設業の経験がほとんど無い後継者だけでは満たせないため、要件を満たす役員を置いたまま、後継者が役員の経験を積む形を考える。

Q:M&Aで会社を引き継いだが、前の経営陣の経験は引き継げるか?

A:引き継げない。経管の要件は「現在その会社に常勤している役員等の経験」に基づくため、前経営陣の経験を新経営陣が引き継ぐことはできない。M&A後は、要件を満たす役員を新しく迎えるか、残してもらう形を考える(ルートCでも常勤役員等に建設業の役員等の経験が要る)。

まとめ:2026年版の経管体制チェックリスト

令和2年改正・令和6年改正を踏まえ、自社の経管体制が現行基準に対応しているか以下のポイントで確認する。

  • ルートA・B・Cのいずれかに該当する役員等・補佐者が常勤しているか
  • 常勤確認書類として健康保険証を使っていた場合、健康保険の資格を示す書類(資格情報のお知らせ等)に切り替えているか
  • 申請先都道府県の最新の手引き(2024年12月以降更新版)を確認しているか
  • 審査で職務内容を具体的に説明できる書類・体制が整っているか
  • 後継者が要件を満たしていない場合、要件を満たす役員を置いたまま後継者が経験を積む計画があるか

建設業許可の経管要件は、会社の規模・体制・将来計画によって最適なルートが異なる。自社の状況を専門の行政書士に相談し、令和6年改正後の基準に対応した体制を整えることを推奨する。

自社や取引先の許可の業種・許可番号・有効期限は、会社名や許可番号から調べられる建設業許可業者の検索でも確かめられます。

協力会社や取引先を探すとき、相手の許可の業種を確かめるときは、業種と都道府県から調べられる全国の建設業許可業者の一覧もお使いください。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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