MENU

企業検索はメインサイトから

建設業許可データベースのトップへ

建設業の経営業務管理責任者の要件が変わった——2020年改正後の対応策

広角建設現場(経営業務管理責任者要件イメージ)

※ 2026年5月現在、本記事で解説している経営業務管理責任者の要件(ルートA・B・C)に変更はありません。

「建設業許可を取りたいが、自社に経営業務管理責任者の要件を満たす役員がいない」——2020年10月以前には、このハードルで許可取得を断念するケースが多くありました。しかし令和2年(2020年)10月の建設業法改正で、経営業務管理責任者(以下「経管」)の要件が大幅に見直され、3つのルートが整備されました。改正後の要件と実務上の対応策を解説します。

目次

改正前の要件——何が問題だったか

改正前の経管要件は主に以下のとおりでした。

  • 申請業種(または関連業種)の建設工事について、5年以上の経営業務管理責任者としての経験
  • または申請業種の工事について、6年以上の経営業務管理責任者に準じる地位(役員の直下等)での経験

この要件の最大の問題は「業種の縛り」でした。たとえば大工工事業の許可を取りたい場合、大工工事業または関連業種での経営経験が必要でした。電気工事業の経験しかない経営者が大工工事業を取ろうとしても、要件を満たせないケースが生じていました。

また、人手不足が深刻な建設業界において、経管要件を満たす人材確保自体が困難になっていたことも改正の背景にあります。

改正後の3つのルート

会議シーン(経営業務管理責任者・社内体制確認イメージ)

2020年10月改正後、経管の要件は以下の3ルートに整理されました。

ルート要件の概要主な対象者
ルートA建設業(業種問わず)の役員等として5年以上の経験他業種の建設業許可会社で役員経験がある人
ルートB建設業以外の業種で5年以上の法人役員経験+建設業での2年以上の役員経験異業種から建設業に参入した経営者
ルートC(補佐要件)常勤役員等(経験年数不問または短縮)+財務・労務・業務運営のいずれかで5年以上の経験を持つ補佐者を設置経営経験が短い代表者・後継者

ルート別の実務ポイント

建物(経管ルート・実務ポイント確認イメージ)

ルートA:業種の縛りが撤廃されたことの意味

改正前は「申請する業種での経験」が必要でしたが、改正後は建設業であればどの業種の経営経験でも5年あればよくなりました。たとえば内装工事業の許可会社で5年間役員だった人が、管工事業や電気工事業を申請する会社の経管になることが可能です。

ただし「建設業の役員等」の範囲は、常勤の取締役・執行役・業務執行社員・個人事業主・支配人に限られます。現場監督や一般社員の経験は対象外です。

ルートB:異業種経験者の参入が容易に

製造業・不動産業・サービス業等の非建設業で5年以上の役員経験を持ち、さらに建設業で2年以上の役員経験があれば要件を満たします。M&Aで建設会社を買収した異業種出身の経営者が、要件を満たすケースが増えています。

ルートC:補佐者の設置で後継者問題を解決する

最も大きな変更点の一つがルートC(補佐要件)の新設です。代表者本人の建設業経営経験が浅くても、次の3区分のいずれかについて5年以上の経験を持つ補佐者を常勤で設置することで許可を維持できます。

補佐者の担当区分具体的な経験内容
財務管理建設工事を施工するための資金調達・原価管理・支払管理等の財務経験
労務管理建設工事現場での労働者の採用・配置・指導等の労務経験
業務運営建設工事の受注・施工管理・品質管理等の業務運営経験

たとえば創業2〜3年の後継者が代表になった場合でも、建設業の業務運営に5年以上携わってきた経験豊富な社員・取締役を補佐者として設置すれば、経管要件を満たせる場合があります。補佐者は常勤かつ直接補佐する立場が求められます。

改正後もよくある誤解と落とし穴

建設現場(経管要件・誤解落とし穴確認イメージ)

誤解1:現場経験があれば経管になれる

現場監督・職長・一般社員としての建設工事経験は、経管要件にはなりません。あくまで役員等(取締役・個人事業主・支配人等)としての建設業経営経験が必要です。

誤解2:非常勤役員でも経管になれる

経管は常勤であることが求められます。他社と兼務している場合や週3日勤務の役員は、原則として経管として認められません。

誤解3:代表者が経管の要件を満たせば安心

代表者が退任・死亡した場合、後任が経管要件を満たさなければ許可要件を欠くことになります。後継者の経管要件を今から計画的に積み上げることが、事業継続リスク管理の一環として重要です。

自社の経管要件を確認する3ステップ

  1. 現在の経管届出者の確認:許可申請書の写し(または行政庁に開示請求)で「経営業務管理責任者」に誰が届け出られているかを確認する。
  2. 後継者・後任候補の経験年数を棚卸しする:建設業での役員経験年数・非建設業での役員経験年数を確認し、ルートA・B・Cのどれに該当するかを判定する。
  3. 不足年数があれば今から計画する:ルートCの補佐者設置が最も迅速な対応策になる場合がある。補佐者候補を社内で今すぐ特定する。

→ 事業承継・M&Aにおける許可の扱いと合わせて確認したい場合は「許可番号を引き継げる?事業承継・M&Aで建設業許可はどうなるか」も参照してください。

まとめ

  • 2020年10月改正で経管要件の「業種の縛り」が撤廃され、建設業であれば業種を問わず5年以上の役員経験でルートAを満たせるようになった。申請業種での経験しか認められなかった改正前と比べて大幅に要件が緩和された。
  • ルートCの補佐者設置により、建設業経験が浅い後継者でも許可要件を満たせる可能性が生まれた。後継者の経管要件不足は補佐者の設置で対応できる場合がある。
  • 経管は常勤の役員等に限られるため、非常勤役員・現場経験者は対象外。後継者を計画的に役員就任させ、経験年数を積み上げることが安定した許可維持の前提になる。

今すぐできる次のアクション

  1. 現在の経管届出者が退任した場合の後任候補を今日中に一人特定する。ルートA・B・Cのどれに該当するか、何年の経験があるかを確認してください。
  2. 後継者・次期代表の役員就任を計画している場合は、就任後から5年のカウントが始まることを念頭に今期中に就任を検討する。後継者が常勤役員になっていなければ経管要件の年数が積み上がりません。

よくある質問(FAQ)

経営業務管理責任者がいなくなった場合はどうする?

経管が不在になった場合、速やかに要件を満たす後任者を選定し変更届を提出する必要があります。2020年の改正で経管要件が緩和されたため、以前より後任者を見つけやすくなっています。変更届の提出期限は変更から30日以内です。

経管不在でも許可を維持できる代替手段はある?

2020年改正後は「経営業務の管理を適正に行うための体制」(取締役会・常勤役員等の組合せ)で対応できる場合があります。ただし都道府県によって審査基準が異なるため、申請窓口への事前相談が不可欠です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次