令和6年(2024年)6月14日に公布された建設業法改正(令和6年法律第49号)は、「①処遇改善」「②資材価格高騰による労務費のしわ寄せ防止」「③働き方改革・生産性向上」の3本柱で構成され、2025年12月12日に全面施行されました。令和6年12月13日には「資材高騰に伴う請負代金変更方法の契約書必須記載化」が施行済みとなり、京都府内の建設会社・工務店は、これらの施行済み内容への対応状況を改めて確認しなければなりません。建設業許可を把握したうえで、法改正の実態に即した対応が今求められています。なお、一般建設業と特定建設業の区分基準(下請代金の合計5,000万円・建築一式工事8,000万円)は、令和6年の建設業法改正とは別に、建設業法施行令の改正で2025年2月1日に引き上げられています。この記事では、令和6年改正の実際の施行状況を正確に整理し、京都府の建設業者が2026年に確認すべき変更点と対応チェックリストを提供します。
令和6年建設業法改正の3本柱と京都府への影響
①資材価格高騰による労務費のしわ寄せ防止——令和6年12月13日施行済み
令和6年改正で最も早く実務に影響が出た変更が、資材価格高騰に伴う請負代金等の「変更方法」を契約書の法定記載事項に追加する改正(建設業法第19条改正)です。令和6年12月13日に施行されており、それ以降に締結または更新した工事請負契約書には、資材価格変動時の代金変更方法を必ず記載しなければなりません。
従来は資材価格が急騰した場合でも、費用負担が受注者(下請業者)に偏り、労務費が実質的に削減されるケースが多くありました。今回の改正はこの問題を解消するためのものです。京都府で工事を受注している建設業者は、令和6年12月以降の契約書が新要件に対応しているかを確認し、未対応であれば国土交通省が公表する最新版「建設工事標準請負契約約款」を参考に自社の契約書を見直してください。
京都市内や宇治市など都市部で継続的に工事を受注している事業者、または多数の下請業者と継続的に取引している元請業者は、全ての契約書が改正後の要件を満たしているかを一括確認することを推奨します。改正に対応した契約書を使用していない場合、建設業法違反となる可能性があります。
②処遇改善——中央建設業審議会による労務費基準の勧告制度が創設されました
今回の改正で新設された「中央建設業審議会による労務費基準の勧告制度」は、建設技能者の労務費に適正な相場水準を設け、その水準を大きく下回る不当な低価格発注を抑止することを目的としています。この仕組みにもとづく「労務費に関する基準」は令和7年12月2日に勧告され、同12日の改正建設業法の全面施行により、基準を著しく下回る労務費等による見積りや契約が禁止されました。
違反のおそれがある場合は、許可行政庁による指導・監督の対象になります。京都府内の元請業者は、現在の下請発注単価がこの基準と照らして問題ないかを確認・点検しておくことが重要です。また、建設業者に対して技能者への適正な処遇確保が努力義務化されており、国が取組状況を調査・公表する仕組みも整備されています。
京都府内の建設業者においても、CCUSへの早期登録と就業履歴の蓄積が、施行後の対応準備として有効です。
③働き方改革と現場の生産性の向上(時間外労働の上限規制は労働基準法で令和6年4月から適用)
令和6年4月からは、建設業に対しても働き方改革関連法による時間外労働の上限規制(月45時間、年360時間。特別条項活用時は年720時間以内・月100時間未満等)が適用されました。施行から2年以上が経過し、国土交通省は実態調査結果を公表しており、現場での対応状況にバラつきがあることが明らかになっています。
京都府の建設業者において、36協定の締結・届出が適切に行われているか、また実際の時間外労働が上限を超えていないかを確認することが求められます。特に許可更新や新規申請の審査において、法令遵守状況が確認される傾向が強まっています。36協定未締結や上限超過は、労働基準法の罰則(6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)の対象になるため、早急な対応が必要です。
京都府での建設業許可申請手続きの変更点(2026年版)
業種ごとに見ると、京都府で当サイトに掲載している会社は次のとおりです(2026年10月16日に数えた)。1社がいくつもの業種の許可を持つことがあるため、業種の数を足しても会社の数にはなりません。
| 業種 | 京都府の掲載の会社 |
|---|---|
| 建築工事業 | 4,556社 |
| とび・土工工事業 | 3,637社 |
| 土木工事業 | 3,050社 |
| 鋼構造物工事業 | 2,060社 |
| 舗装工事業 | 2,039社 |
| 管工事業 | 1,948社 |
| 大工工事業 | 1,870社 |
| 水道施設工事業 | 1,808社 |
| 石工事業 | 1,798社 |
| 内装仕上工事業 | 1,767社 |
| 解体工事業 | 1,750社 |
| 塗装工事業 | 1,574社 |
| しゆんせつ工事業 | 1,487社 |
| 電気工事業 | 1,485社 |
| 屋根工事業 | 1,131社 |
| タイル・れんが・ブロツク工事業 | 1,048社 |
| 防水工事業 | 715社 |
| 建具工事業 | 675社 |
| 左官工事業 | 674社 |
| 板金工事業 | 661社 |
| 造園工事業 | 617社 |
| ガラス工事業 | 526社 |
| 鉄筋工事業 | 525社 |
| 機械器具設置工事業 | 512社 |
| 熱絶縁工事業 | 493社 |
| 電気通信工事業 | 352社 |
| 消防施設工事業 | 329社 |
| さく井工事業 | 35社 |
| 清掃施設工事業 | 9社 |
申請書類と添付資料の確認ポイント
令和6年改正を受けた建設業許可申請において、2026年現在に確認が必要な変更点は以下の通りです。なお、一般建設業と特定建設業の区分基準(下請契約金額)は令和6年の建設業法改正では変わっていませんが、別に建設業法施行令の改正で2025年2月1日に引き上げられました。特定建設業許可が必要な下請契約金額の基準は、現在、建築一式工事で8,000万円以上、その他の工事で5,000万円以上です(改正前は7,000万円・4,500万円)。
- 許可申請書(様式第一号):最新の様式は許可行政庁の手引きで確かめる
- 専任技術者(2024年12月から営業所技術者)証明書(様式第八号):実務経験の証明方法にCCUS履歴の活用が選択可能に
様式は、必ず最新の様式を京都府のホームページからダウンロードして使用してください。電子申請システムを利用する場合も、システムが最新版に更新されているかを確認しましょう。
CCUS登録と技術者要件の現状(2026年版)
執筆時点で、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録は、建設業許可の法定要件ではなく推奨事項の位置づけです。ただし、実務上は多くの元請業者・発注者がCCUS登録を現場入場の前提条件としているため、未登録では受注機会を失うリスクが高まっています。
許可申請においては、CCUSの就業履歴を実務経験の証明資料として活用できるケースが増えており、従来必要だった10年分の工事契約書や注文書を揃える手間が軽減される事例が出ています。京都府内の建設業者でCCUSへの登録を済ませていない場合は、早急に事業者登録と技術者の個人登録を完了させることを推奨します。
更新申請の準備には令和6年改正後の書類種類増加に伴い、従来より多くの時間が必要になっています。京都府では許可の有効期間満了日の3か月前から更新申請が可能ですが、実質的には4〜5か月前からの準備開始が推奨されます。
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建設キャリアアップシステム等活用促進コースの活用方法
建設業法改正と並行して、厚生労働省は人材確保等支援助成金の「建設キャリアアップシステム等活用促進コース」を設けています。この助成金は、CCUSを導入し、技術者の処遇改善や能力評価を適切に実施する建設業者を対象としています。
京都府内の建設業者がこの助成金を活用するメリットは以下の通りです。
- 賃上げへの助成:能力評価のレベル判定でレベルが上がった技能者の賃金を5%以上上げると、1人16万円(1事業年度160万円まで)。雇用するすべての技能者のCCUS登録(詳細型)も要件
助成金の申請には、事前にCCUSへの事業者登録を完了し、雇用する技術者の個人登録を進めることが前提となります。京都労働局または最寄りのハローワークで詳細な申請要件を確認し、計画的に準備を進めましょう。
CCUSの就業履歴は実務経験の証明に使えることがあります
CCUSでは、技能者の就業履歴や保有資格に基づいて4段階のレベル判定(レベル1〜4)が行われます。レベル判定は技能者の処遇のためのもので、許可申請で実務経験の証明に使えるのはCCUSの就業履歴です(使える範囲は京都府の手引きで確かめてください)。
従来は10年分の工事契約書や注文書を揃える必要があった実務経験の証明が、CCUSの就業履歴データで代替できることがあります。特に複数の現場を経験してきた技術者の場合、過去の書類が散逸しているリスクもありますが、CCUSに日々就業履歴を登録していれば、そのような心配は不要です。
また、レベル判定は社内の技術者評価制度や昇給・昇格の基準としても活用でき、従業員のモチベーション向上や定着率改善にも寄与します。令和6年改正の処遇改善の柱と連動して、CCUSを積極的に活用する姿勢が今後の建設業経営において重要になっています。
京都府の建設業者が今すぐ確認すべき2026年版対応チェックリスト
令和6年改正への対応確認(最優先)
令和6年12月13日施行の改正に対応できているかを最優先で確認しましょう。
☑ 令和6年12月13日以降に締結・更新した請負契約書に「資材価格変動時の代金変更方法」が記載されているか
☑ 使用している契約書が国土交通省の最新版「建設工事標準請負契約約款」に準拠しているか
☑ 36協定は有効期限内で、かつ適切に労働基準監督署へ届出されているか
☑ 実際の時間外労働が36協定の上限(原則:月45時間、年360時間)を超えていないか
許可区分と財産的要件の再確認
まずは自社が取得している建設業許可が、現在の事業規模や下請契約の実態に合っているかを確認しましょう。
☑ 一般建設業・特定建設業の区分は適切か
1件の元請工事で下請に出す代金の合計が基準(建築一式8,000万円以上・その他5,000万円以上)に届いていないか、今後の事業計画で特定建設業が必要になる見込みはないかを検討します。
☑ 財産的基礎要件を満たしているか
一般建設業では純資産500万円以上、特定建設業では資本金2,000万円以上・純資産4,000万円以上などの要件があります。最新の決算書をもとに確認してください。
☑ 社会保険の加入状況に漏れはないか
全従業員が適用要件を満たす社会保険に加入しているか、保険料の滞納がないかを確認します。
技術者要件とCCUS登録状況の点検
☑ 営業所技術者(2024年12月13日までの呼び名は専任技術者)の資格・実務経験は要件を満たしているか
現在届出している営業所技術者の要件を再確認します。
☑ CCUSへの事業者登録は完了しているか(推奨事項)
未登録の場合は、早急に登録手続きを開始しましょう。登録には一定の審査期間が必要です。
☑ 技術者のCCUS個人登録とカード取得は済んでいるか(推奨事項)
営業所技術者や主要な現場責任者については、個人登録と技能者IDカードの取得を優先的に進めます。
更新申請スケジュールと助成金活用の検討
☑ 許可の有効期間満了日を正確に把握しているか
許可通知書で有効期間を確認し、4〜5か月前からの準備スケジュールを立てます。
☑ 人材確保等支援助成金の申請要件を満たしているか
CCUSの活用、賃金制度の整備、雇用管理改善などの要件を確認します。
☑ 申請書類の準備に必要な情報は揃っているか
決算書、納税証明書、社会保険関係書類、技術者の資格証明書など、必要書類のリストアップと収集を開始します。
よくある質問
Q1. 令和6年建設業法改正で一般と特定の区分基準(下請金額)は変わりましたか?
令和6年の建設業法改正では変わっていませんが、建設業法施行令の改正で2025年2月1日に引き上げられ、現在は「建築一式工事で8,000万円以上、その他工事で5,000万円以上」です(改正前は7,000万円・4,500万円)。令和6年改正の主な変更点は、①処遇改善(労務費基準の勧告制度)②資材価格高騰時の請負代金変更方法の契約書義務化③働き方改革対応の3本柱であり、一般・特定の区分基準の変更は含まれていません。
Q2. 令和6年12月施行の「請負代金変更方法の義務化」は具体的にどう対応すればよいですか?
国土交通省が公表している建設工事標準請負契約約款(令和6年改正対応版)を参照して、自社の契約書に「資材価格等の変動に応じた代金変更の方法・条件」を明記することが必要です。単に「協議する」という文言だけでは不十分とされるケースがあるため、変更の具体的な方法・基準・手順まで記載することが推奨されます。不明な点は京都府 建設交通部 指導検査課(申請は主たる営業所を所管する各土木事務所)への事前相談が有効です。
Q3. 2026年現在、CCUSへの登録は許可申請の法定要件ですか?
法令上の必須要件ではなく、推奨事項の位置づけです。ただし、多くの現場でCCUS登録が入場要件となっているため、未登録は受注機会の損失につながります。許可申請においては、CCUSの就業履歴を実務経験証明として活用できるケースが増えており、早期登録を強く推奨します。
Q4. 京都府で一般から特定建設業へ切り替える際の手続き期間は?
般・特新規の審査にかかる日数は京都府の手引きで確かめ、余裕を持って準備しましょう。申請前に京都府 建設交通部 指導検査課(申請は主たる営業所を所管する各土木事務所)への事前相談が効果的です。
Q5. 建設業への時間外労働上限規制に違反した場合の影響は?
労働基準法の罰則(6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)が適用される可能性があります。建設業許可の欠格要件になる罰金刑は、建設業法施行令第3条の2 に挙げられた法令の違反に限られるため、扱いは許可行政庁に確かめてください。36協定の締結・届出と実際の労働時間管理を今すぐ確認してください。
まとめ

令和6年(2024年)に公布された建設業法改正は、「①資材価格高騰による労務費のしわ寄せ防止(令和6年12月13日施行済み)」「②処遇改善・労務費基準の勧告制度創設(令和7年12月12日に全面施行)」「③働き方改革と現場の生産性の向上(工期の適正化・ICT の活用)」の3本柱で構成されています。時間外労働の上限規制は、建設業法とは別の労働基準法で、令和6年4月から建設業にも適用されています。一般建設業と特定建設業の区分基準(下請代金の合計5,000万円・建築一式工事8,000万円)は、令和6年改正とは別に2025年2月1日の建設業法施行令の改正で引き上げられています。京都府内の建設業者は、まず令和6年12月以降の請負契約書が新要件に対応しているかを確認し、36協定の遵守状況を点検することが最優先です。あわせてCCUSへの早期登録と技術者の処遇改善への取り組みが、今後の許可申請・事業継続と成長の鍵を握ります。本記事の対応チェックリストを活用して、自社の現状を正確に把握するところから始めましょう。
出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・建設業法施行令(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。
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