解体工事業の許可を営む建設会社・工務店・リフォーム会社の皆様の中には、「建設業許可は必要だけれど、実際のところ何から始めたらいいのか」「無許可で工事を受注してしまった場合、どうなるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実は、令和7年(2025年)時点で、建設業許可(解体工事業)と産廃収集運搬業の許可の関係を正確に理解していない企業が原因で、営業停止処分や許可取り消しになるケースが絶えません。本記事では、静岡県をはじめ全国の解体工事業者が失敗しないために知るべき、許可取得の要件・手続き、無許可工事の現実的なリスク、そして空き家対策補助金を活用する際の注意点を詳しく解説します。
解体工事業における「許可」の実態~なぜ無許可工事が起こるのか
建設業許可(解体工事業)の位置付けと誤解
解体工事業を営むためには、建設業許可(解体工事業)の取得が法律で義務付けられています。建設業法第3条により、解体工事を請け負う場合は都道府県知事(または建設業許可等を受けた企業の場合は国土交通大臣)から許可を受ける必要があります。
しかし、多くの中小規模の工務店やリフォーム会社では、「小規模な案件だから大丈夫」「親会社の許可があれば下請けは問題ない」といった誤認が存在します。これらは致命的な誤解です。建設業法では、金額の大小や元請け・下請けの関係を問わず、解体工事を請け負うすべての企業に許可取得を要求しています。
静岡県内でも、過去数年間に無許可で解体工事を受注した企業が営業停止処分を受けた事例が複数報告されています。許可取得がおろそかになりやすい理由として、解体工事は「壊す作業」であり、新築や大規模リフォームほど許可の重要性が認識されにくいという業界特性が挙げられます。
産廃収集運搬業の許可との関係性
建設業許可(解体工事業)だけでは不十分というのが、多くの経営者が見落とす点です。解体工事で発生した廃棄物(がれきなど)を自社で運搬・処理する場合、産廃収集運搬業の許可が別途必要になります。
令和6年(2024年)の滋賀県での事例では、建設業許可は保有していたにもかかわらず産廃許可がなかったため、許可取り消しになった建築リフォーム会社がありました。この企業は、解体工事自体は適法に行っていたものの、発生した廃棄物処理に関する法令遵守を欠いていたため、結果として経営に大きなダメージを受けました。
つまり、解体工事業の許可戦略には以下の二本立てが必須です:
- 建設業許可(解体工事業) ~ 工事の請負・実施に必要
- 産廃収集運搬業の許可 ~ 廃棄物の自社運搬・処理に必要
無許可工事が招く現実的なリスク~罰則と経営への影響

!Monochrome view of urban excavation amidst foggy high-rises in İstanbul.
*Photo by Mahmoud Atashi on Pexels*
行政処分と刑事責任の違い
無許可で解体工事を請け負った場合、行政処分(営業停止)と刑事責任(罰金・懲役)の両方が科される可能性があります。
行政処分:営業停止処分
建設業法第17条の規定により、許可を受けずに建設業を営んだ場合、該当する許可を与えた都道府県知事(または国土交通大臣)から営業停止処分を受けます。この処分は、対象となる業種に限定されることもあれば、全業種を対象とされることもあります。令和6年~令和7年(2024~2025年)の事例では、3ヶ月~1年の営業停止が一般的です。
営業停止中は、該当する業種の新規工事受注ができません。既存の取引先との関係が悪化し、競争力を失うリスクは計り知れません。
刑事責任:罰金・懲役
同法第27条では、無許可営業について「3年以下の懲役または3,000万円以下の罰金」と定められています。この規定は、悪質な無許可営業に対して適用される傾向が強まっています。
取引先企業への信用失墜と連鎖的な影響
無許可工事が発覚すると、以下の連鎖的なダメージが生じます:
- 発注元企業への報告義務違反 ~ 元請けが無許可業者に下請させた場合、元請けも責任を問われる可能性がある
- 補助金返納請求 ~ 空き家対策補助金など、公的補助金を受けた案件では、無許可が発覚すると返納が求められることがある
- 損害賠償請求 ~ 発注者が工事の適法性を信頼して契約したにもかかわらず無許可だった場合、損害賠償請求されるリスク
- 金融機関との信用悪化 ~ 行政処分が公表されると、融資や資金調達が困難になる
特に、令和7年(2025年)以降は、建設業の適法性を厳格に審査する発注者が増加しています。公共工事や大規模民間プロジェクトでは、事前に許可の有無を確認する企業がほぼ100%に近い状況です。
解体工事業の許可取得~要件と申請手続きの実務
建設業許可(解体工事業)の主要要件
建設業許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
1. 経営業務の管理責任者の設置
解体工事業に関する経営経験が5年以上ある者を、申請法人または申請個人の事業所に配置する必要があります。経営経験とは、解体工事業の請負人として、または解体工事業の法人の取締役などとして、経営管理業務に従事した期間を指します。
2. 専任の技術者の配置
解体工事業に関する技術資格を持つ専任技術者を、建設業許可を取得した企業の営業所ごとに配置しなければなりません。解体工事業の許可で認められる資格には、以下のものがあります:
- 一級建築士
- 二級建築士(建築学科)
- 解体工事施工技士(1級または2級)
- 土木施工管理技士(1級または2級)
- その他指定された資格
3. 財産的基礎
許可を受けようとする企業が、以下のいずれかの条件を満たす必要があります:
- 自己資本額が500万円以上であること
- 500万円以上の銀行融資の約定書があること
- その他、財産的基礎があることを証明できる書類
4. 誠実性
申請法人の役員や個人事業主が、建設業法違反や詐欺罪などで処罰された履歴がないことが条件です。
許可申請手続きの集約化~令和5年4月以降の変更点
令和5年4月1日から、建設業許可申請の手続きが大幅に変更されました。これを「許可申請手続きの集約化」と呼びます。
従来は、建設業許可と経営事項審査(経審)の申請書類が別々でしたが、集約化後は申請書類が統一され、より効率的に申請できるようになりました。ただし、以下の点に注意が必要です:
- 要件確認が厳格化 ~ 書類の不備で許可申請が受理されない事例が増加
- 産廃許可との連携確認 ~ 静岡県をはじめ各都道府県の許可窓口では、解体工事業申請時に産廃許可の有無を確認するようになった
- 申請から許可取得まで30日前後かかる ~ 従来より若干期間が延びた傾向
特に解体工事業の場合、申請書類に「産廃処理計画書」の添付が求められるケースが増えています。これは、廃棄物処理法との整合性を強化するための措置です。
空き家対策補助金の活用時における許可要件

!A partial demolition of a damaged building with heavy machinery in Malatya, Türkiye.
*Photo by Furkan Işık on Pexels*
補助金受給前の許可確認の重要性
静岡県内の市町村では、空き家解体に対する補助金制度が充実しています。これらの補助金は、建設業許可(解体工事業)を受けている企業による工事であることが条件となっていることがほとんどです。
補助金申請時に無許可業者を下請けに入れた場合、以下のリスクが生じます:
- 補助金返納請求 ~ 発覚時点で交付された補助金全額返納を求められる
- ペナルティ加算 ~ 返納時に遅延金や違約金が加算される場合がある
- 将来の補助金申請不可 ~ 当該市町村の補助金制度から一定期間除外される可能性
令和6年(2024年)から令和7年(2025年)にかけて、各市町村の補助金担当部署では、申請企業の許可状況確認を厳格化しています。理由は、公的資金の適正使用を担保するためです。
許可・産廃許可の「セット確認」が標準化
補助金申請時には、以下の両方が確認されるようになりました:
- 建設業許可(解体工事業)の有無と有効期限
- 産廃収集運搬業の許可の有無と有効期限(廃棄物を自社運搬する場合)
特に産廃許可については、許可の有効期限が5年間のため、申請直前に失効していないかの確認が重要です。
解体工事業の許可取得へ向けた実践的なステップ
ステップ1:現状診断(許可の有無・要件充足状況の確認)
まず自社が以下の状況のどれに当てはまるかを確認してください:
- 既に建設業許可(解体工事業)を保有している場合 ~ 有効期限と産廃許可の状況を確認
- 建設業許可は保有していないが、解体工事を受注している場合 ~ 至急許可申請の準備を開始
- これまで許可が不要と考えていた場合 ~ 過去の無許可工事について法務担当者に相談
ステップ2:要件充足の準備
以下の要件について、自社が満たしているかを確認します:
- 経営業務の管理責任者(解体工事業で5年以上の経営経験者)の確保
- 専任技術者(解体工事施工技士など)の確保
- 自己資本500万円以上、または融資の約定書準備
- 誠実性(過去の処罰履歴なし)
要件を満たさない場合は、該当する資格取得や人材確保に着手します。
ステップ3:産廃許可の同時取得検討
解体工事で発生した廃棄物を自社で運搬する計画がある場合は、産廃収集運搬業の許可申請も併行して行うことをお勧めします。許可申請窓口は都道府県(または政令市)の環境部局になります。
ステップ4:申請書類の作成と提出
令和7年(2025年)現在の申請書類は、オンライン申請に対応しています。ただし、要件確認が厳格であるため、専門家(行政書士など)に相談しながら作成することをお勧めします。
よくある質問

!Excavator clearing urban demolition site rubble with a worker on site.
*Photo by Emirhan Emiroğlu on Pexels*
Q1. 解体工事業の許可を取得するには、どのような資格や経験が必要ですか?
解体工事業の許可取得には、経営管理責任者と現場技術者の配置が必須です。経営管理責任者は5年以上の経営経験、現場技術者は解体工事に関する1年以上の実務経験が必要です。また、登録された講習の受講修了も要件となります。許可申請時に実績書類や経歴書を提出する必要があります。
Q2. 無許可で解体工事を行った場合、具体的にどのようなペナルティを受けますか?
無許可工事は建設業法違反として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられます。さらに経営者や現場責任者も個人責任を問われる可能性があります。行政指導による工事中止命令や、発注者との信頼損失、許可取得時の不利益も発生します。
Q3. 建設業許可と解体工事業許可は別ですか?兼業できますか?
はい、別の許可です。建設業許可で解体工事を行うには「解体工事業」の種目追加が必要です。建設業許可と解体工事業許可は同時取得・兼業が可能ですが、それぞれ許可要件を満たし、別途申請手続きが必要になります。
Q4. 許可申請に要する期間と費用はどのくらいですか?
申請から許可までは通常2~3週間程度です。費用は新規申請で約5万円の手数料が必要です。ただし講習受講費用(約5万円)や登録実務者講習費用が別途かかります。複雑な案件は行政書士への依頼で別途報酬が発生する場合があります。
Q5. 解体工事業許可の更新はいつ行い、どのような手続きが必要ですか?
許可の有効期限は5年で、更新申請は期限満了の3ヶ月前から可能です。更新時は経営管理責任者と現場技術者の配置状況確認、決算書類提出、法令遵守状況の報告が必要です。更新手数料も発生します。期限切れ前の早期申請をお勧めします。
まとめ
建設業許可(解体工事業)の取得は、単なる法令遵守の問題にとどまりません。無許可工事は営業停止や罰金といった直接的なリスクだけでなく、取引先との信用喪失や補助金返納などの連鎖的なダメージをもたらします。特に令和7年(2025年)以降は、解体工事業の許可と産廃収集運搬業の許可がセットで厳格に確認される傾向が強まっています。
重要なポイントは以下の3つです:
- 無許可工事は経営を左右する重大リスク ~ 金額や規模の大小を問わず、解体工事を請け負う全企業に許可取得が義務付けられている
- 産廃許可との紐付けが必須 ~ 建設業許可だけでなく、廃棄物処理に関する許可も同時に準備する必要がある
- 補助金活用時の許可確認は厳格化 ~ 空き家対策補助金など公的資

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