【2026年度】業務改善助成金で最大600万円!建設会社の申請要件と手続きを徹底解説

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事務所の机で電卓を打ちながら書類を確かめる手元

建設会社・工務店の経営者の皆様は、毎年上がる最低賃金と人手不足に直面していないでしょうか。そのときに使える国の制度が「業務改善助成金」です。2026年度(令和8年度)は9月1日に申請の受付が始まり、事業場で最も低い時給を50円以上引き上げて設備投資などを行う中小企業に、最大600万円が助成されます。本記事では、厚生労働省の令和8年度の案内(2026年4月)をもとに、対象の要件、コースと上限額、申請の流れ、注意点をわかりやすく解説します。

目次

業務改善助成金とは何か

青空の下で盛り土を掘る黄色いショベルカー
青空の下で盛り土を掘る黄色いショベルカー(イメージ)

賃上げと設備投資をセットで支援する制度

業務改善助成金は、事業場内最低賃金(その事業場で最も低い時間給)を50円以上引き上げ、あわせて生産性の向上に役立つ設備投資などを行った中小企業・小規模事業者に、その費用の一部を助成する制度です。厚生労働省が実施し、申請先は事業所を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。

ポイントは「賃上げ」が条件になっていることです。設備投資だけでは対象になりません。逆に、最低賃金の改定にあわせてどのみち賃上げをする会社にとっては、その賃上げを設備投資の助成に変えられる制度と言えます。

2026年度の主な変更点

令和7年度からの変更として、案内には次の点が示されています。

  • 助成対象経費の特例になっていた自動車(特殊用途自動車を除く)が、助成対象外になった
  • 引き上げる対象労働者は、雇用保険の被保険者が対象になった(週の所定労働時間20時間以上)
  • 物価高騰等要件の利益率の見方が「最近3か月のうち任意の1か月」から「最近6か月間の平均」になった

対象となる事業者の要件

白い机で電卓を打つ手元とペン
白い机で電卓を打つ手元とペン(イメージ)

3つの基本要件

  • 中小企業・小規模事業者であること(建設業は資本金3億円以下、または常時雇用する従業員300人以下。大企業と密接な関係にある「みなし大企業」は除く)
  • 事業場内最低賃金が、令和8年度の地域別最低賃金を下回っていること(最低賃金の改定で賃上げが必要になる事業場が対象)
  • 解雇や賃金の引き下げなど、不交付になる事由がないこと

申請は会社単位ではなく、工場や事務所など労働者がいる事業所ごとに行います。同じ事業所の申請は年度内1回までです。建設業許可の有無は要件ではありません。

「引き上げる労働者」の数え方

助成の上限額は、引き上げる労働者の人数で決まります。数えられるのは、事業場内最低賃金で働いている労働者と、その人の賃上げで賃金額を追い抜かれる労働者のうち、申請コースと同額以上の引き上げをする人です。雇入れから6か月を過ぎた、雇用保険に加入している労働者が対象です。

コースと助成上限額・助成率

3つのコース(50円・70円・90円)

引き上げ額によって50円・70円・90円の3コースがあります。上限額は、コース・引き上げる人数・事業場の規模で決まります。

引き上げる労働者数50円コース70円コース90円コース
1人30万円(40万円)40万円(50万円)90万円(100万円)
2〜3人40万円(70万円)50万円(100万円)150万円(240万円)
4〜5人70万円130万円270万円
6〜7人90万円180万円360万円
8人以上110万円230万円450万円
10人以上(特例事業者だけ)130万円300万円600万円

( )内は事業場の規模が30人未満の事業者の上限額です。「10人以上」の区分は、後述の特例事業者が10人以上の賃金を引き上げる場合だけ使えます。最大600万円は、特例事業者が90円コースで10人以上を引き上げる場合の額です。

助成率

  • 引き上げ前の事業場内最低賃金が1,050円未満:5分の4
  • 引き上げ前の事業場内最低賃金が1,050円以上:4分の3

助成される額は「設備投資などの費用×助成率」と「助成上限額」を比べて安いほうです。例えば、事業場内最低賃金が1,040円(助成率5分の4)の会社が8人を1,130円まで引き上げ(90円コース・上限450万円)、600万円の設備投資をした場合、600万円×5分の4=480万円と上限450万円を比べて、450万円が支給されます。

特例事業者とは

次のどちらかに当てはまると特例事業者になり、10人以上の上限額の区分が使えます。

  • 賃金要件:申請する事業場の事業場内最低賃金が1,050円未満
  • 物価高騰等要件:原材料費の高騰など外的な要因で、申請前6か月間の平均の利益率が前年度と比べて3%ポイント以上下がっている

物価高騰等要件に当てはまる場合は、通常は対象外のパソコン・スマートフォン・タブレットなどの端末と周辺機器の新規導入も助成対象になります。

助成の対象になる経費

対象は「生産性向上に資する設備投資等」です。案内に挙がっている例は次のとおりです。

  • 機器・設備の導入:POSレジシステムの導入による在庫管理の短縮、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
  • 経営コンサルティング:国家資格者による業務フローの見直し
  • その他:顧客管理情報のシステム化

建設業なら、施工管理や原価管理のソフトの導入、積算や図面のシステム化、作業を省力化する機械の導入などが、この考え方に沿います。何が対象になるかは労働局の判断になるため、計画の段階で相談してください。交付決定の前に発注・購入した設備は対象になりません。通常の自動車(特殊用途自動車を除く)と、一般事業者のパソコン類は対象外です。

申請期間と流れ

申請期間・賃上げの期限・事業完了

項目期限
申請期間令和8年9月1日〜 申請事業所の都道府県で適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または同年11月30日のいずれか早い日
賃金引き上げの期間令和8年9月1日〜 地域別最低賃金の発効日の前日
事業完了期限交付決定の年度の1月31日

地域別最低賃金は例年10月以降に都道府県ごとに改定されます。発効日の当日に引き上げても対象外で、前日までに引き上げを終えておく必要があります。引き上げは1回で行い、引き上げ後の額を就業規則などに定めます。予算の範囲内で交付されるため、申請期間内でも募集が終わることがあります。

申請から受領までの5ステップ

  1. 交付申請:交付申請書と事業実施計画書などを、事業所を管轄する都道府県労働局に提出する(電子申請も使えます)
  2. 交付決定:労働局が審査し、通知する
  3. 事業の実施:計画どおりに賃金の引き上げ、設備の導入、代金の支払いを行う
  4. 事業実績報告:事業実績報告書と助成金支給申請書を労働局に提出する
  5. 交付額の確定と支払い:報告が適正と認められれば、助成金が振り込まれる

用意する主な書類

  • 交付申請書・事業実施計画書(厚生労働省の様式・申請書作成ツールあり)
  • 賃金の引き上げ計画が分かる書類(賃金台帳、就業規則など)
  • 設備投資などの見積書
  • 物価高騰等要件で申請する場合は、利益率の申出書と決算の書類

建設会社が使うときのポイント

最低賃金の改定日から逆算する

賃上げの期限は地域別最低賃金の発効日の前日です。自社の都道府県の発効日を先に確かめ、そこから逆算して申請と設備の発注(交付決定の後)を組みます。9月の受付開始と同時に申請できるよう、8月中に計画と見積もりをそろえておくのが現実的です。

現場の省力化と事務の効率化を1つの計画に

建設業の場合、賃上げの原資を生むのは現場の省力化と事務の効率化です。施工管理ソフトによる工程・写真・原価の一元管理、積算のシステム化、資材の運搬や清掃を省力化する機械などを、賃上げの計画と一緒に「生産性向上に資する設備投資等」として組み立てます。

ほかの制度との組み合わせ

日本政策金融公庫には、事業場内最低賃金の引き上げに取り組む事業者向けの「働き方改革推進支援資金」(設備資金・運転資金の融資)があります。人材確保や職場環境の整備は、人材確保等支援助成金など別の制度も対象になることがあります。詳しくは労働局や社会保険労務士に相談してください。

申請後の注意点

虚偽の申請と不正受給

賃上げの実態がない申請、実績と異なる報告、架空の経費の計上は不正受給になり、返還だけでなく事業者名の公表や刑事告発に至ることもあります。賃金台帳・出勤簿・領収書は必ず実態と一致させ、不安があれば社会保険労務士など専門家の確認を受けてください。

領収書と支払いの証拠

助成額は見積額ではなく実際の支払額をもとに確定します。設備の納品書・領収書・振込の記録は整理して保管し、事業完了期限(交付決定の年度の1月31日)までに支払いまで終えておきます。

よくある質問

Q1. 業務改善助成金の対象となる建設会社の要件は?

中小企業・小規模事業者であること(建設業は資本金3億円以下または従業員300人以下)、事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金を下回っていること、解雇や賃下げなどの不交付事由がないことです。建設業許可の有無は問われません。詳しくは管轄の労働局に確認してください。

Q2. 賃上げをしないで設備投資だけを助成してもらえますか?

できません。事業場内最低賃金を50円以上引き上げることが助成の条件です。引き上げは地域別最低賃金の発効日の前日までに1回で行い、就業規則などに定める必要があります。

Q3. 600万円の助成を受けるための条件は?

特例事業者(事業場内最低賃金が1,050円未満、または物価高騰等で利益率が3%ポイント以上低下)が、90円コースで10人以上の労働者の賃金を引き上げ、助成率をかけた設備投資などの費用が600万円以上になる場合です。例えば助成率4分の3なら800万円以上の投資が要ります。

Q4. 申請から受給までどのくらいかかりますか?

申請は9月1日から地域別最低賃金の発効日の前日(遅くとも11月30日)までで、交付決定の後に事業を行い、事業完了期限は交付決定の年度の1月31日です。その後の実績報告と審査を経て支給されるため、申請から受領までは数か月かかります。

Q5. パソコンやトラックは対象になりますか?

パソコン・スマートフォン・タブレットなどの端末は、物価高騰等要件に当てはまる特例事業者の新規導入だけが対象です。自動車は令和8年度から、特殊用途自動車を除いて対象外になりました。リフト付き特殊車両のような特殊用途自動車は対象になり得ます。

まとめ

業務改善助成金は、最低賃金の改定にあわせた賃上げを、設備投資の助成に変えられる制度です。2026年度は9月1日に受付が始まり、申請期限は地域別最低賃金の発効日の前日(遅くとも11月30日)、賃上げも発効日の前日までに終える必要があります。上限額はコースと人数で決まり、最大600万円は特例事業者が90円コースで10人以上を引き上げる場合です。まずは自社の都道府県の最低賃金の発効日と、事業場内最低賃金がいくらかを確かめるところから始めてください。

出典:厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」(令和8年4月)・厚生労働省「業務改善助成金」ページ(2026年9月24日更新)。問い合わせは業務改善助成金コールセンター 0120-366-440(平日9時〜17時)。確認日:2026-09-24

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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