建設業許可取り消しの欠格事由とは?破産・法令違反で許可を失わないために

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木の机で書類に署名する人の手元

建設業許可の取消しは、建設業法第29条に決まった場合に行われます。代表的なのは、会社や役員等が「欠格要件」に当たったとき、会社が破産したとき、営業停止の処分に違反したときなどです。取消しの理由によっては、その後5年間、許可を受け直せません。本記事では、建設業法・破産法などの条文をもとに、取消しにつながる欠格要件の中身と5年の数え方、会社や役員が破産したときの扱い、指示・営業停止・取消しという監督処分の流れ、許可を守るための日ごろの点検を、建設会社の経営者向けに整理します。

目次

建設業許可が取り消される欠格要件の基礎知識

欠格要件は建設業法第8条に定められている

許可を受けられない者の条件(欠格要件)は、建設業法第8条に定められています。許可を受けた後に、会社・役員等・令3条の使用人(支配人や、支店・営業所の代表者)が次のいずれかに当たると、許可をした国土交通大臣や都道府県知事は、許可を取り消さなければなりません(第29条第1項第2号)。

許可の後に当たると取消しになる主な欠格要件(第8条第1号・第7号〜第14号):

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(第1号)
  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、5年を経過しない者(第7号):2025年6月より前の懲役・禁錮にあたります。罪の種類は問いません
  • 決められた法令・罪で罰金刑に処せられ、5年を経過しない者(第8号):建設業法、政令で定める建設・労働関係の法令(建築基準法・労働基準法など)、暴力団対策法の違反や、刑法の傷害・暴行・脅迫・背任などの罪が対象です
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(第9号)、暴力団員等が事業活動を支配する者(第14号)
  • 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者(第10号)
  • 法人で、役員等または令3条の使用人に上のいずれかに当たる人がいるもの(第12号)

5年の数え始めは、罪を犯した日や判決の日ではなく、刑の執行を終わった日(または執行を受けることがなくなった日)です。また、罰金刑なら何でも欠格になるわけではありません。第8号に挙がっていない法令の罰金刑は欠格要件に当たりません。なお、詐欺罪や業務上横領罪には罰金刑がなく、刑が科されれば拘禁刑として第7号の対象になります。許可の更新のときに対象者をどう確かめるかは、建設業許可の更新で欠格要件を確かめる手順で詳しく解説しています。

許可の後に欠格要件に当たったときの手続き

欠格要件に当たっても、許可がその場で自動的に消えるわけではありません。許可をした行政庁が取消しの処分をします。建設業者の側にも、次の義務があります。

建設業者がすること:

  1. 欠格要件に当たったとき、または経営の体制や営業所技術者などの許可の基準を満たさなくなったときは、2週間以内に書面で届け出る(第11条第5項)
  2. 役員等が変わったときは、30日以内に変更の届出をする(第11条第1項)
  3. 取消しの処分を受けたら、取消しの前に結んだ請負契約の工事に限って施工を続けられる。処分の後2週間以内に、その旨を注文者へ通知する(第29条の3)

通知を受けた注文者は、通知を受けた日などから30日以内に限り、請負契約を解除できます(第29条の3第5項)。取消しは工事の途中の現場や取引先にも影響するため、早めの確認が欠かせません。

破産と建設業許可の関係

白黒で写した建物の正面
白黒で写した建物の正面(イメージ)Photo by John Lee on Pexels

会社が破産したとき

法人が破産手続開始の決定によって解散したときは、破産管財人が30日以内に許可行政庁へ届け出ます(建設業法第12条第3号)。この届出の対象になると、許可は取り消されます(第29条第1項第5号)。

区切りになるのは、破産の「申立て」ではなく「破産手続開始の決定」です。この決定をするのは地方裁判所です(破産法第5条)。家庭裁判所ではありません。

役員や個人事業主が破産したとき

個人事業主や法人の役員等が破産手続開始の決定を受け、まだ復権していないときは、欠格要件(第8条第1号)に当たります。役員等がこれに当たると、会社の許可も取消しの対象になります(第8条第12号・第29条第1項第2号)。

復権する主な場合(破産法第255条・第256条):

  • 免責許可の決定が確定したとき
  • 破産債権者の同意による破産手続廃止の決定が確定したとき
  • 再生計画認可の決定が確定したとき
  • 債務の全部について責任を免れ、申立てにより復権の決定が確定したとき
  • 破産手続開始の決定から、詐欺破産罪で有罪とならずに10年を経過したとき

復権すれば第1号には当たりません。建設業法に「破産から5年」のような待つ期間はありません。ただし、許可を受け直すには、経営業務の管理の体制・営業所技術者・財産的基礎など、許可の基準(第7条)をあらためて満たす必要があります。

法令違反による監督処分:指示・営業停止・取消し

監督処分の3つの段階

建設業法の監督処分には、指示(第28条第1項)、1年以内の営業停止(第28条第3項)、許可の取消し(第29条)があります。処分は公告され、指示と営業停止は建設業者監督処分簿に載り、誰でも閲覧できます(第29条の5)。

指示や営業停止の主な理由(第28条第1項):

  • 工事を適切に施工せず、公衆に危害を及ぼしたとき(及ぼすおそれが大きいとき)
  • 請負契約に関し不誠実な行為をしたとき
  • 業務に関し他の法令に違反し、建設業者として不適当と認められるとき
  • 一括下請負の禁止(第22条)に違反したとき
  • 許可のない業者や、営業停止中の業者と下請契約を結んだとき

営業所ごとの帳簿の備付けと保存(第40条の3)や、特定建設業者の施工体制台帳(第24条の8)など、建設業法の義務を守らないことも指示の対象になり得ます。指示に従わなければ、営業停止を命じられることがあります(第28条第3項)。

許可が取り消される場合(第29条第1項)

  • 許可の基準を満たさなくなったとき:経営業務の管理の体制や、営業所技術者を欠いたとき
  • 欠格要件に当たったとき:上で説明した第8条第1号・第7号〜第14号
  • 許可を受けてから1年以内に営業を始めないとき、引き続き1年以上休業したとき
  • 廃業・破産などの届出の対象になったとき
  • 不正の手段で許可や更新を受けたとき
  • 第28条の理由で情状が特に重いとき、営業停止の処分に違反したとき

このうち、不正の手段による許可、情状が特に重い違反、営業停止の違反(第29条第1項第7号・第8号)で取り消されると、取消しの日から5年間は許可を受けられません(第8条第2号)。役員等にも、5年間、同じ建設業の営業を新たに始めることの禁止が命じられます(第29条の4第2項)。

指名停止は建設業法の処分とは別のもの

指名停止は、国や自治体などの発注者が、自らの工事の入札から一定期間外す措置です。建設業法の監督処分ではなく、期間や基準は発注者ごとの要領で決まります。指名停止を受けても許可はそのまま残りますが、同じ事実をもとに、許可行政庁が別に監督処分をすることがあります。

外国人を雇うときの法令違反

外国人に、在留資格で認められていない仕事をさせると、事業主は不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法第73条の2)に問われることがあります。たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の人に、現場の単純な作業をさせる場合です。

この罪の罰金刑は、欠格要件の第8号には挙がっていません。ただし、役員等が拘禁刑に処せられれば第7号に当たり、業務に関する法令違反として指示や営業停止の対象にもなり得ます(第28条第1項第3号)。採用の前に在留カードで在留資格と期限を確かめ、担当する仕事と照らし合わせておきましょう。

許可の取消しを防ぐための実務的対策

鬼瓦と丸瓦が並ぶ寺の屋根
鬼瓦と丸瓦が並ぶ寺の屋根(イメージ)Photo by Nishant Kumar on Pexels

役員等が変わるたびに欠格要件を確かめる

点検の項目:

  • 役員等・令3条の使用人に、破産して復権していない人がいないか
  • 同じ人たちに、拘禁刑以上の刑、または第8号の罰金刑の執行を終わってから5年を経過していない人がいないか
  • 暴力団員等との関わりがないか
  • 役員等の変更の届出(30日以内)や、欠格要件・基準を欠いたときの届出(2週間以内)を出しているか
  • 経営業務の管理の体制や営業所技術者の後任を、退職や異動に備えて考えているか
  • 営業停止の期間中に、停止された範囲の新しい営業をしていないか

前科の有無は会社から警察に照会できないため、新しく役員等に就く人には、就任の前に本人の申告と誓約の書面で確かめるのが基本です。

許可の要件と経営の状態を定期的に見る

健康保険・厚生年金・雇用保険の加入は、2020年10月から許可の要件です。資金繰りの悪化は、財産的基礎の要件や破産のリスクにつながります。決算の後に出す事業年度終了の届出(毎事業年度の終了後4か月以内・第11条第2項)の機会に、許可の要件と経営の状態をまとめて点検すると漏れが防げます。

監督処分の手続きが始まったときの対応

処分の前後の流れ:

  1. 意見を述べる機会を生かす:許可の取消しの前には聴聞、営業停止などの前には弁明の機会があります(行政手続法第13条)。事実関係と改善の内容を具体的に伝えます
  2. 処分の内容を確かめる:通知書で理由・範囲・期間を確認します
  3. 営業停止の範囲を守る:停止された範囲の新しい契約は結びません。違反すると許可の取消しになります(第29条第1項第8号)。停止の前に結んだ契約の工事は施工でき、2週間以内に注文者へ通知します(第29条の3)
  4. 不服があるときは期限内に:審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法第18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法第14条)です
  5. 原因を改める:違反の原因を直し、社内の手順と担当を見直します

手続きの通知が届いた段階で、行政書士や弁護士に早めに相談すると、取れる手段を落とさずに済みます。

よくある質問

Q1. 建設業許可が取り消される主な理由は何ですか?

建設業法第29条第1項に決まっています。欠格要件に当たったとき、経営業務の管理の体制や営業所技術者などの許可の基準を満たさなくなったとき、1年以内に営業を始めない・1年以上休業したとき、廃業や破産などの届出の対象になったとき、不正の手段で許可を受けたとき、情状が特に重い違反や営業停止の違反があったときです。

Q2. 破産した場合、必ず建設業許可は取り消しになりますか?

会社が破産手続開始の決定で解散したときは、破産管財人の届出の対象になり、許可は取り消されます(第12条第3号・第29条第1項第5号)。役員等が破産して復権していないときも、欠格要件に当たるため取消しの対象です。一方で「破産から5年」という決まりはなく、復権すれば欠格要件には当たりません。

Q3. 労働基準法違反で許可は取り消されますか?

罰金刑で欠格要件になる労働基準法の違反は、強制労働の禁止(第5条)と中間搾取の排除(第6条)だけです(建設業法施行令第3条の2)。ほかの労働基準法違反の罰金刑は欠格要件ではありません。ただし、拘禁刑に処せられた場合は第8条第7号に当たり、業務に関する法令違反として指示や営業停止の対象になることもあります。

Q4. 営業停止期間中に営業した場合どうなりますか?

許可は取り消されます(第29条第1項第8号)。取消しの日から5年間は許可を受けられず(第8条第2号)、役員等にも5年間の営業の禁止が命じられます(第29条の4第2項)。処分は公告されるため、取引先や金融機関にも知られます。

Q5. 許可の取消しを防ぐためにすべき対策は何ですか?

役員等が変わるたびに欠格要件を確かめ、変更の届出を期限内に出すこと、営業所技術者などの退職に備えて後任を考えておくこと、帳簿や施工体制台帳など建設業法の義務を日ごろから守ることが基本です。処分の手続きの通知が届いたら、早めに行政書士や弁護士に相談しましょう。

まとめ

グラフの資料にペンを当てて予算を確かめる手元
グラフの資料にペンを当てて予算を確かめる手元(イメージ)

建設業許可の取消しは、建設業法第29条に決まった場合に行われます。本記事では、次の3点をお伝えしました。第1に、欠格要件は第8条に定められ、対象は会社・役員等・令3条の使用人であること、罰金刑で欠格になるのは決められた法令・罪に限られ、5年は刑の執行を終わった日などから数えること。第2に、会社の破産は届出を通じて取消しになり、役員の破産は復権するまで欠格要件になるが、「破産から5年」という決まりはないこと。第3に、監督処分は指示・営業停止・取消しの順に重くなり、発注者の指名停止とは別のものであること。まずは役員等の顔ぶれと届出の状況を、今日の時点で確かめることから始めましょう。

自社や取引先の許可の業種・許可番号・有効期限は、会社名や許可番号から調べられる建設業許可業者の検索でも確かめられます。

出典:建設業法(e-Gov 法令検索)・国土交通省「建設業の許可とは」(確認日 2026-09-28)

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この記事を書いた人

建設業許可(一般・特定)の新規取得・更新・業種追加から変更届・廃業届まで幅広い申請実務に精通した許可申請の専門家。国土交通省の法改正情報を継続的に追跡し、都道府県ごとの審査基準の違いや落とし穴を解説。経営事項審査(経審)・入札参加資格・財産的基礎要件の確認方法など、中小建設会社が直面する許可維持の課題に対応した情報を提供している。

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