防水工事の資材調達で、価格と納期が読みにくい状態が続いています。2026年は中東の紛争が長引き、石油から作る原料(ナフサ)の不足が建設資材の品薄と値上がりにつながったと報じられました(西日本新聞 2026年5月23日)。防水材の多くは石油由来の原料を使うため、防水工事業も無関係ではありません。本記事では、資材の値動きが防水工事業の経営にどう響くのかと、見積もり・契約・仕入れ・資金繰りで今から準備できることを、出どころの確かな情報だけで整理します。
中東情勢が防水工事の資材調達に与える影響
資材費が動きやすくなっている背景
アスファルト防水・ウレタンなどの塗膜防水・塩ビなどのシート防水・シーリング材は、どれも石油由来の原料を多く使います。中東の情勢で原油やナフサの供給が不安定になると、原料の値段と物流の両方を通じて、防水材の価格と納期に影響が出やすくなります。
2026年5月には、九州の建設現場で資材の品薄と値上がりが深まり、工事が遅れる現場も出てきたと報じられています(西日本新聞 2026年5月23日)。どの資材がいつ・どれだけ上がるかは製品とメーカーで違うため、自社がよく使う材料について、仕入先から値上げと納期の知らせを早めにもらえる関係を作っておくことが大切です。
納期の遅れが工程に与える影響
防水工事は、躯体や下地の工程が終わってから入り、仕上げや設備の工程の前に終える必要があるため、資材が1つ遅れるだけで後ろの工程全体がずれます。材料の納期が読みにくいときは、発注の時期を前倒しし、元請けと工程の余裕を早めに話し合っておくことが、手戻りと追加の費用を防ぐ近道です。
建設業の倒産が続く中での防水工事業の経営リスク
倒産の動き
東京商工リサーチによると、2026年8月の建設業の倒産は182件で、前年同月より4.0%増えました(2026年9月8日発表)。資材の値上がりを請負代金に反映できないまま工事を進めると、利益が削られ、資金繰りが苦しくなります。防水工事は小さな会社が多い業種でもあり、値上がりへの備えは経営の守りに直結します。
資金繰りで気をつけたい点
下請けの立場では、工事が終わってから代金が入るまでに時間がかかる一方、資材の代金は先に払うことが多くなります。資材が値上がりした時期にこの差が重なると、手元の現金が一気に減ります。月ごとの入金と出金の予定を表にして、資材の支払いが集中する月を先に見つけ、金融機関への相談を早めに始めることが大切です。
防水工事事業継続のための実践的対策
資材調達の見直し
早めの発注と仕入先の分散
契約済みの工事の工程から必要な時期を逆算し、早めに発注することで、納期の遅れの影響を小さくできます。ただし在庫を持ちすぎると資金が寝てしまうため、確定した工事の分を中心にするのが安全です。
また、1社の製品だけに頼らず、設計や仕様で認められる範囲で、同じ性能の製品を複数のメーカーから選べるようにしておくと、供給が止まったときの逃げ道になります。材料を替えるときは、メーカーの仕様と保証の条件、発注者の承認を必ず確かめてください。
原価をこまめに見直す
見積もりの資材単価を固定のままにせず、仕入れの値段が変わったら原価の表を更新し、受注済みの工事の利益がどれだけ動いたかを把握できるようにしておきましょう。
価格転嫁の交渉と契約書
建設業法では、請負契約の書面に書く事項として、資材の価格などが変わったときの請負代金の変更の方法が定められています(建設業法 第19条)。見積もりと契約の段階で、次のような点を発注者と話し合い、書面に残しておくと、後の行き違いを防げます。
- 見積もりの基準にした資材の単価と、その時点
- 資材の価格が大きく変わったときに、請負代金を見直す方法
- 資材の納期が遅れたときの工期と費用の扱い
大型の案件ほど、着工前にこうした取り決めを話し合っておく意味が大きくなります。
後継者と事業の続け方
資材の値上がりへの備えと同時に、経営者の世代交代も早めに考えておく必要があります。社内の後継者に引き継ぐ、同業の会社と一緒になる(M&A)、仕事と職人を別の会社へ引き継ぐ(事業譲渡)など、選べる道は会社の状況で変わります。地域の事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的な窓口で、早めに相談しておくと選択肢が広がります。
保証と保険の備え
防水工事は引き渡しの後に保証を求められることが多く、雨漏りが起きたときの補修の費用が経営の負担になることがあります。保証の期間と範囲を契約書ではっきりさせ、請負業者向けの賠償責任保険などで備えておくと安心です。
業界全体で取り組むべき施策

業界団体・仕入先との情報共有
防水工事の業界団体や材料メーカー、商社は、資材の値上げや供給の見通しを知らせることがあります。こうした知らせを早く受け取れるようにしておくと、見積もりと発注の判断を先回りしやすくなります。
同業の会社との勉強会や情報交換も、代わりの材料の使い方や交渉の工夫を知る機会になります。
材料の使い方を見直す
同じ性能を保ちながら材料のむだを減らす施工の工夫や、新しい製品の導入も、中長期の備えになります。ただし、工法や材料を変えるときは、メーカーの仕様と保証の条件、設計者と発注者の承認を確かめてからにしてください。
よくある質問
Q1. 中東情勢は防水資材にどう影響しますか?
防水材の多くは石油由来の原料を使うため、原油やナフサの供給が不安定になると、価格と納期に影響が出やすくなります。2026年5月には、中東の紛争の長期化でナフサが不足し、九州の建設現場で資材の品薄と値上がりが深まったと報じられました(西日本新聞)。
Q2. 今すぐできる対策は何ですか?
契約済みの工事の資材を早めに発注すること、仕入先から値上げと納期の知らせを早くもらうこと、設計や仕様で認められる範囲で代わりの製品を確かめておくことです。
Q3. 代わりの材料を使うときの注意点は?
防水性・耐久性・施工性が同じかを確かめ、メーカーの仕様と保証の条件、設計者と発注者の承認を得てから使います。保証が切れる使い方をしないことが大切です。
Q4. 資材が値上がりしたとき、見積もりや契約はどうすればよいですか?
まず契約書に、資材の価格が変わったときの請負代金の変更の方法が書かれているかを確かめます(建設業法 第19条)。値上がりの根拠を示して発注者と話し合い、合意した内容は変更契約などの書面に残しましょう。
Q5. 工期が延びるリスクにはどう備えますか?
資材の納期に余裕を見た工程を組み、遅れそうなときは早めに元請けや発注者へ知らせて、工期と費用の扱いを話し合っておくことです。
まとめ

中東情勢による原料の不足と値上がりは、防水材の価格と納期を読みにくくしています。建設業の倒産も前年より増えている中で、資材の値動きを請負代金に反映できる契約と、早めの発注、資金繰りの見通しが、防水工事業の守りになります。
あわせて、後継者と事業の続け方を早めに考え、業界団体や仕入先からの情報を受け取れる関係を作っておくことも大切です。
外の環境の変化に早く気づき、社内で情報を共有して手を打つことが、事業を続ける力になります。まずは、よく使う資材の仕入れの値段と納期、受注済みの工事の契約書にある請負代金の変更の方法を確かめることから始めましょう。
工事を頼む先や協力会社を探すときは、全国の防水工事業の許可業者を都道府県別に調べられる防水工事業の許可業者一覧もお使いください。
出典:建設業法(e-Gov 法令検索)(確認日 2026-10-04)
この記事は一般的な情報をまとめたものです。法令や制度は変わることがあるため、最新の内容は公表元で確認し、個別の判断は窓口の役所や専門家(行政書士・社会保険労務士・税理士など)に相談してください。
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