住宅省エネ2026キャンペーンは4つの事業でできています。制度ごとの金額は公式サイトを見ればわかりますが、現場で迷うのは「この工事はどの事業で申請すればいいのか」「2つ重ねられるのか」です。ここを間違えると、取れたはずの補助が減るか、申請そのものが通らないことになります。本記事では、併用の可否だけを公式サイトの記載にそって整理します。
- いくら
- 併用の可否で受け取れる額が変わります(4事業の予算は下の表のとおり)
- いつまで
- 予算が尽きた時点で終了(交付申請は遅くとも 2026年12月31日・予約は遅くとも 2026年11月16日。ただしみらいエコ住宅2026事業の新築〔長期優良住宅・ZEH水準住宅の第2期〕は、注文住宅の交付申請が 2026年9月30日まで/2026年9月29日確認)
- 誰が使えるか
- 4事業の対象となる新築・リフォームの工事発注者等。ただし同じ工事に2つの補助は受けられません
- 誰が申請するか
- 登録した住宅省エネ支援事業者。工事発注者が自ら行うことはできません。リフォームの交付申請は、2026年7月31日から、みらいエコ・窓リノベ・給湯省エネの3事業をまとめて出せる「ワンストップ対応」が始まっています(賃貸集合給湯省エネは対象外)
- 何が要るか
- 事業者の登録/どの工事をどの事業で申請するかを、契約の前に決めておくこと
- 出典と確認日
- 住宅省エネ2026キャンペーンについて【リフォーム】/同【新築】/2026-09-20 確認
4事業の予算(2026年度)
どの事業が先に締め切られるかは予算の大きさで見当がつきます。公式サイトに記載されている予算は次のとおりです(2026年9月29日確認)。みらいエコ住宅2026事業は、新築とリフォームで予算が分かれています。
| 事業(用途)・所管 | 予算 |
|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業(新築・長期優良住宅/ZEH水準住宅分) 所管:国土交通省 | 1,450億円 |
| みらいエコ住宅2026事業(新築・GX志向型住宅分) 所管:環境省 | 750億円 |
| みらいエコ住宅2026事業(リフォーム) 所管:国土交通省 | 300億円 |
| 先進的窓リノベ2026事業(リフォーム) 所管:環境省 | 1,125億円 |
| 給湯省エネ2026事業(新築・リフォーム) 所管:経済産業省 | 570億円 |
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業(リフォーム) 所管:経済産業省 | 35億円 |
注目していただきたいのは賃貸集合給湯省エネ2026事業の35億円です。1台あたり5万円〜7万円ですので、単純に割れば数万台分しかありません。4事業のなかで最も早く締め切られる可能性が高いと見ておくべき規模です。賃貸オーナーへの提案は、年度の早い時期に出してください。
出典:住宅省エネ2026キャンペーンについて【リフォーム】/同【新築】(確認日 2026年9月20日)
まず「新築」か「リフォーム」かで分かれる
併用のルールは、新築とリフォームでまったく違います。最初にここを分けてください。
新築:みらいエコ住宅2026事業と給湯省エネ2026事業は併用できない
公式サイトの新築のページには、はっきりこう書かれています。
「新築住宅において、みらいエコ住宅2026事業と給湯省エネ2026事業は、併用できません。」
新築で使える事業はこの2つだけです。つまり新築ではどちらか一方を選ぶことになります。判断材料は金額です。公式サイトの補助額(基本額)は次のとおりです(2026年9月20日確認)。
- みらいエコ住宅2026事業
- GX志向型住宅(すべての世帯):1〜4地域 125万円/戸、5〜8地域 110万円/戸
- 長期優良住宅(子育て世帯または若者夫婦世帯):1〜4地域 80万円/戸、5〜8地域 75万円/戸
- ZEH水準住宅(子育て世帯または若者夫婦世帯):1〜4地域 40万円/戸、5〜8地域 35万円/戸
- 給湯省エネ2026事業(すべての世帯)
- エコキュート 7万円/台
- ハイブリッド給湯機 10万円/台
- エネファーム 17万円/台
- ※戸建は2台/戸、共同住宅は1台/戸が上限
エネファームを2台入れても34万円ですので、みらいエコ住宅2026事業の要件を満たせるなら、ほとんどの場合そちらが有利です。逆に、長期優良住宅・ZEH水準住宅は子育て世帯または若者夫婦世帯が対象ですので、それ以外の世帯でGX志向型住宅にも届かない場合は、給湯省エネ2026事業を選ぶことになります。
なお、みらいエコ住宅2026事業には古家の除却で+20万円の加算があります(長期優良住宅・ZEH水準住宅が対象/新築住宅の建築主またはその親族が所有する住宅の解体を発注し、2025年11月28日から完了報告までに完了するもの/複数除却しても20万円が上限)。建て替えの案件では、この加算を含めて比べてください。
出典:住宅省エネ2026キャンペーンについて【新築】(確認日 2026年9月20日)
リフォーム:基本は併用できる。ただし同じ工事には重ねられない
リフォームでは4事業すべてが使えます。そして併用が認められています。みらいエコ住宅2026事業の公式ページには次のように書かれています。
「対象建材・設備の性能等に応じて、両事業を併用することができます。(同一の工事請負契約および工期でも可)」
ただし、「本事業で補助金の交付を受けたリフォーム工事については、給湯省エネ2026事業または賃貸集合給湯省エネ2026事業において、重複して補助金の交付を受けることはできません」と続きます。
つまりルールはこうです。
- 1つの工事=1つの事業。同じ給湯器を2つの事業で申請することはできません
- 1つの契約に複数の事業を混ぜるのは可。窓は窓リノベ、給湯器は給湯省エネ、残りはみらいエコ、という分け方ができます
出典:みらいエコ住宅2026事業 対象要件の詳細【リフォーム】(確認日 2026年9月20日)
窓の工事は「窓リノベが先」
ここが2026年度でいちばん間違えやすい部分です。みらいエコ住宅2026事業の公式ページの記載を、そのまま引用します。
「先進的窓リノベ2026事業の要件を満たす開口部の設備は、先進的窓リノベ2026事業へ交付申請し、補助金の交付を受けることができますが、本事業での補助金の交付を受けることはできません。(ただし、先進的窓リノベ2026事業の補助金申請額が予算上限に達するまでの期間に限ります。予算上限到達後、補助対象の事業はみらいエコ住宅2026事業となります。)」
読み解くと、こういう仕組みです。
- 窓リノベの要件を満たす窓は、窓リノベで申請する(みらいエコでは申請できない)
- ただしそれは、窓リノベの予算が残っているあいだだけ
- 窓リノベの予算が上限に達したら、同じ窓がみらいエコの対象に切り替わる
先進的窓リノベ2026事業の予算は1,125億円、みらいエコ住宅2026事業のリフォーム分は300億円です。年度の後半になるほど、どちらで申請することになるかが変わりうる、ということです。
契約前に、公式サイトの補助申請額の推移をご確認ください。公式サイトには事業ごとの申請額の推移を公開するページがあり、予算の消化状況を見ることができます。2026年9月29日時点の申請額は、予算に対して窓リノベ 26%・みらいエコ(リフォーム)7%・給湯省エネ 46%・賃貸集合給湯省エネ 49% でした。施主に「窓は○万円出ます」とお伝えする前に、その時点の状況を確かめる習慣をおすすめします。
給湯器を別の事業で申請しても、みらいエコの要件は満たせる
実務でありがたい扱いがひとつあります。みらいエコ住宅2026事業の公式ページには、次のように書かれています。
「本事業において『高効率給湯器』の工事を申請しない場合でも、『給湯省エネ2026事業』または『賃貸集合給湯省エネ2026事業』にて補助対象となる交付決定を受けている時は、『高効率給湯器』の工事を行ったものとして取り扱います。」
みらいエコ住宅2026事業でいちばん高い上限(100万円/戸)を取るには、開口部の断熱改修+躯体の断熱改修+特定エコ住宅設備の設置という「義務基準に相当する工事」が必要です。特定エコ住宅設備には高効率給湯器が含まれます。
この注記があるおかげで、給湯器は給湯省エネ2026事業で申請して額を取りつつ、みらいエコ住宅2026事業の上限判定では「給湯器をやった」と見てもらえます。両取りができる、数少ない組み立てです。
国の他の補助金・自治体の補助金との関係
国の他の制度とは重ねられない
公式ページには「同一の補助対象となるリフォーム工事に対して、重複して国の他の補助制度から補助を受けることはできません」と明記されています。長期優良住宅化リフォーム推進事業などを検討する場合は、工事を分けて、どちらでどれを申請するかを決めてから契約してください。
自治体の制度は「国費が入っていなければ」併用できる
公式ページの記載は「地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能です」です。
ここは自己判断が危ないところです。自治体の制度の原資に国費が入っているかどうかは、募集要項を読んでもわからないことがあります。窓口に「この制度に国費は充当されていますか」と直接お尋ねください。確認が取れなかった場合は、施主には「併用できる見込みですが、自治体の確認待ちです」とお伝えするのが安全です。
新築の補助とリフォームの補助は、同じ住宅で重ねられない
「リフォームの補助金の交付を受けた住宅と同じ住宅について、注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入または賃貸住宅の新築の補助金の交付を受けることはできません」と明記されています。買取再販で新築時の補助を受けた住宅を改修する場合などは、履歴の確認が要ります。
下限額にも併用の影響がある
見落とされやすいのが最低補助額です。公式サイトの表では次のとおりです(2026年9月20日確認)。
- みらいエコ住宅2026事業:5万円。ただし他の構成事業(先進的窓リノベ2026事業・給湯省エネ2026事業・賃貸集合給湯省エネ2026事業)で交付決定を受けている場合は、1つの交付申請で申請する補助額合計の下限が2万円以上に下がります(他事業の補助額を含めることはできません)
- 先進的窓リノベ2026事業:5万円(ガラス交換・内窓設置・外窓交換のいずれかを実施。ドア交換のみは申請不可)
- 給湯省エネ2026事業:要件なし
- 賃貸集合給湯省エネ2026事業:要件なし
この「2万円に下がる」扱いは、併用したときだけ効きます。窓リノベで交付決定を受けていれば、みらいエコ側は2万円分の工事からでも申請できる、ということです。小さな付帯工事を申請に含められるかどうかが、ここで変わります。
工事の割り振りを決める順番
ここまでを、契約前の実務の順番にまとめます。
- 新築かリフォームかを分ける。新築ならみらいエコと給湯省エネのどちらか一方を選ぶ
- リフォームなら、窓の工事を先に切り出す。窓リノベの要件を満たすなら窓リノベへ。公式サイトで予算の消化状況を確かめる
- 給湯器を切り出す。給湯省エネ2026事業(賃貸集合住宅の貸家なら賃貸集合給湯省エネ2026事業)へ
- 残りをみらいエコ住宅2026事業に寄せる。このときトリガールームを1つ決められるかを確認する
- 下限額を確かめる。みらいエコ側は、他事業で交付決定を受けるなら2万円から申請できる
- 自治体の制度に国費が入っていないかを、窓口に確認する
よくある質問
Q1. 1つの契約で3つの事業に申請してもいいのですか?
リフォームでは可能です。公式ページに「同一の工事請負契約および工期でも可」と明記されています。交付申請も、2026年7月31日からみらいエコ・窓リノベ・給湯省エネの3事業をまとめて出せる「ワンストップ対応」が始まっています(賃貸集合給湯省エネは対象外・出典:住宅省エネ2026キャンペーンのお知らせ(2026年7月31日)・2026年9月29日確認)。
Q2. 施主が自分で複数の事業に申請することはできますか?
できません。公式ページには「いずれの事業も工事発注者等が自ら行うことはできません」と書かれています。新築についても「注文住宅の建築主が自ら行うことはできません」と明記されています。
Q3. 補助金はいつ、どう受け取れますか?
公式ページには、交付決定後1〜2ヶ月後に工事施工者等へ交付され、そこから工事発注者等へ還元されるとあります。還元の方法は「工事代金の一部に充当」または「現金還元」のいずれかで、あらかじめ両者で合意しておく形です。4事業とも同じ流れです。
Q4. 予算が尽きたらどうなりますか?
公式の注記は「各事業の交付申請(予約を含む)の受付は、その補助金申請額が各事業の予算上限に達した時点で終了します」です。締切は「遅くとも2026年12月31日」であって、それより早く終わることが前提の書き方になっています。予約の受付終了は「遅くとも2026年11月16日」で、こちらが先に来ます。
まとめ
2026年度の併用のルールは、新築は一方だけ、リフォームは組み合わせられるのが大枠です。そのうえで押さえるべきは3点です。
- 窓は原則として先進的窓リノベ2026事業が先。その予算が尽きたらみらいエコ住宅2026事業に切り替わる
- 給湯器を給湯省エネ2026事業で申請しても、みらいエコ住宅2026事業の上限判定では「実施済み」として扱われる
- 同じ工事に2つの補助は受けられない。契約の前に、どの工事をどの事業で申請するかを決めておく
割り振りは着工してからでは直せません。見積もりを出す段階で、工事ごとにどの事業へ出すかを書き分けておくことが、施主にお渡しできる額を最大にする一番確実な方法です。制度の内容と予算の消化状況は変わりますので、契約の前に必ず各事業の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
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