2026年度のリフォーム補助で、いちばん間違えやすいのがみらいエコ住宅2026事業です。理由は、補助額の計算の前に「この工事をしていないと1円も出ない」という関門(要件化工事)があり、それを満たす部屋のことをトリガールームと呼ぶ、という二段構えになっているためです。ここを知らずに見積もりを出すと、工事は終わったのに申請できない、ということが起こります。本記事では、対象となる住宅・トリガールームの選び方・補助上限の4パターン・他の事業との併用を、公式サイトの記載にそって整理します。
- いくら
- 40万円〜100万円(1戸あたり・住宅の新築時期と工事の基準で4段階)
- いつまで
- 予算が尽きた時点で終了(交付申請は遅くとも 2026年12月31日・予約は遅くとも 2026年11月16日)
- 誰が使えるか
- 平成28年12月31日以前に新築された住宅の所有者等(居住する個人とその家族・賃貸に出す個人や法人・賃借人・管理組合)/戸建・共同住宅の別は問いません
- 誰が申請するか
- みらいエコ住宅事業者(あらかじめ登録した工事施工業者)。工事発注者が自ら申請することはできません
- 何が要るか
- 事業者の登録/工事請負契約(着工までに締結)/トリガールームでの要件化工事/建物の登記事項証明書(新築時期の確認)/補助額の合計が5万円以上(他の構成事業で交付決定を受けている場合は2万円以上)
- 出典と確認日
- みらいエコ住宅2026事業 対象要件の詳細【リフォーム】/2026-09-20 確認
対象になる住宅は「平成28年以前に新築されたもの」
公式サイトには、補助対象住宅は「平成28年以前に新築された住宅」と明記されています。具体的には平成28年12月31日以前に新築されたことが、不動産登記の建物の登記事項証明書(全部事項証明書)により確認できる住宅です。戸建住宅でも共同住宅等でも構いません。
ここには例外がひとつあります。公式の注記によれば、平成29年以降に新築された住宅でも、平成11年基準を満たさない住宅であることを証明できる場合は対象とされています。築年数だけを見て「平成29年築だから対象外です」と即答すると、取れたはずの案件を逃すことがあります。
逆に、次の建物は対象になりません。
- 不動産登記において、住宅以外の用途に分類されている建物
- 登記上は住宅でも、現に店舗や施設など住宅以外の用途に使用されている建物
店舗併用住宅については、住宅の部分は対象になりますが、住宅以外の部分の工事は補助対象外と公式に記載されています。見積もりを分けておく必要があります。
出典:みらいエコ住宅2026事業 対象要件の詳細【リフォーム】(確認日 2026年9月20日)
2026年度の関門「トリガールーム」
要件化工事と補助対象工事は別のもの
公式サイトは、リフォーム工事を「要件化工事」と「補助対象工事」の2種類に分けています。この区別が、この制度の一番わかりにくいところです。
- 要件化工事=補助を受けるために必要な工事。補助額は増えません。これをやっていないと申請そのものができません
- 補助対象工事=補助金額を算出するための工事。ここに積み上げた工事の額の合計が補助額になります
そして、要件化工事を実施した「外皮に面する開口部を有する1つの居室」を、公式サイトはトリガールームと呼んでいます。引き金(トリガー)を引く部屋、という意味です。
居室に当たるもの・当たらないもの
公式サイトは、居室を建築基準法第2条4号の定義(継続的に使用する室)としたうえで、具体例を挙げています。
- 居室に当たる:居間(リビング)・寝室・子供部屋・台所(キッチン)・書斎 等
- 居室に当たらない:トイレ・浴室・洗面室・廊下・納戸・倉庫・玄関ホール・車庫
「浴室の窓を内窓にしたので要件は満たしています」という組み立てはできません。浴室は居室ではないためです。施主から相談を受けたときに真っ先に確かめるべき点です。
トリガールームに選べない居室
公式サイトには、トリガールームとして認められない居室が明記されています。
- 外皮に面する開口部がない居室(納戸等)
- 外皮に面する開口部の一部のみを断熱改修した居室
- 外皮に面する開口部について、2025年11月27日以前に断熱改修した居室
- 壁や建具等で仕切られていない居室(つながっている場合は、その範囲を1つの居室とみなします)
- 住宅以外の用途で使用している居室
実務で効いてくるのは2つ目と3つ目です。その部屋の窓を全部やらないといけないこと、そして過去にその部屋の窓を断熱改修済みだと、その部屋はトリガールームに選べないことです。「前回のリフォームでリビングの内窓は入れてあります」という住宅では、別の居室をトリガールームに選ぶ組み立てが要ります。
なお、トリガールームの「天井」が上階の部屋と接している場合、または「床」が下階の部屋と接している場合は、その部位の躯体の断熱改修は行われたものとみなすことができると公式に記載されています。マンションの中間階では、この扱いが使えるかどうかで工事量が変わります。
補助上限は4パターン
補助上限額は、「対象となる住宅の新築時期」と「実施する要件化工事の基準」の組み合わせで決まります。公式サイトの表は次のとおりです(2026年9月20日確認)。
| 住宅の新築時期 | 義務基準に相当する工事 (開口部の断熱改修+躯体の断熱改修+特定エコ住宅設備の設置) | 次世代省エネ基準に相当する工事 (開口部の断熱改修+躯体の断熱改修) |
|---|---|---|
| 〜平成3年 | 100万円/戸 | 50万円/戸 |
| 平成4年〜平成28年 | 80万円/戸 | 40万円/戸 |
公式の注記には、平成3年12月31日以前に建築された住宅は特に性能向上が必要であるという観点から、住宅の新築時期ごとに必要な工事の組み合わせが定められているとあります。古い住宅ほど上限が高い代わりに、求められる工事も重くなる作りです。
上限額は上限であって、その額が出るわけではありません。実際の補助額は「補助対象工事ごとに定められた補助額の合計」です。施主への説明では、必ず工事メニューごとの額を積み上げてお伝えください。
補助額を積み上げる9つの工事メニュー
トリガールームで要件化工事を実施していれば、その住宅で実施する他のリフォーム工事も補助対象工事に含められます。公式サイトに挙げられている工事メニューは次の9つです。
- 開口部の断熱改修
- 躯体の断熱改修
- 特定エコ住宅設備の設置(高効率給湯器、高効率エアコン)
- エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽、節湯水栓、蓄電池、第一種換気設備)
- 子育て対応改修
- 防災性向上改修
- バリアフリー改修
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵保険等への加入
トリガールーム以外の部屋の工事も積み上げられるという点が、提案の幅につながります。リビングの窓で要件を満たしたうえで、浴室の高断熱浴槽・トイレの節水型便器・手すりの設置までまとめて1つの申請にできます。
補助対象にならない工事(見積もりの前に)
公式サイトには、補助の対象にならないリフォーム工事の例が挙げられています。
- ドアの一部および欄間に取り付けられたガラスを交換する工事
- 店舗併用住宅等の住宅以外の部分の工事
- 住宅の所有者等が住宅設備を購入し、その取付を住宅事業者に依頼する工事(いわゆる施主支給や材工分離による工事)
- 外皮以外の部分(外気に面しない間仕切壁)の窓やガラス、ドアの工事
- 太陽光発電設備の設置工事
- 家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(エネファーム)の設置工事
- リース設備の設置工事
- 中古品を用いた工事
とくに施主支給と材工分離が対象外である点は、施主にとって意外に映ります。「設備は自分でネットで買うので工賃だけで」という相談は、この制度では補助が受けられません。契約の形を決める段階で伝えておくべき内容です。
他の事業との併用
給湯省エネ2026事業・賃貸集合給湯省エネ2026事業とは併用できる
公式サイトには、対象建材・設備の性能等に応じて両事業を併用することができる(同一の工事請負契約および工期でも可)と書かれています。ただし同じ工事について重ねて補助を受けることはできません。
あわせて、実務上ありがたい扱いがあります。この事業で「高効率給湯器」の工事を申請しない場合でも、給湯省エネ2026事業または賃貸集合給湯省エネ2026事業で交付決定を受けているときは、高効率給湯器の工事を行ったものとして取り扱うと公式に記載されています。つまり給湯器を別の事業で申請しても、この事業の要件化工事(義務基準の組み合わせ)の判定では、実施済みとして見てもらえます。
先進的窓リノベ2026事業との関係は「原則あちらが先」
ここは読み違えやすい部分です。公式サイトの記載は次のとおりです。
先進的窓リノベ2026事業の要件を満たす開口部の設備は、先進的窓リノベ2026事業へ交付申請して補助金の交付を受けることができるが、本事業(みらいエコ住宅2026事業)での補助金の交付を受けることはできない。ただし、先進的窓リノベ2026事業の補助金申請額が予算上限に達するまでの期間に限る。予算上限到達後、補助対象の事業はみらいエコ住宅2026事業となる。
同じ窓を両方で申請することはできず、窓リノベの予算が残っているうちは窓リノベへ、尽きたらみらいエコへという切り替わりが制度として組み込まれています。先進的窓リノベ2026事業の予算は1,125億円で、みらいエコ住宅2026事業のリフォーム分は300億円です。年度の後半は、どちらで申請することになるかが変わる可能性があります。
国の他の補助金とは併用できない・自治体のものは条件つきで可
公式サイトには「同一の補助対象となるリフォーム工事に対して、重複して国の他の補助制度から補助を受けることはできません」、「地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能です」と書かれています。自治体の制度を重ねる提案をするときは、その制度に国費が入っていないかを、自治体の窓口でご確認ください。
新築の補助とは重複できない
「リフォームの補助金の交付を受けた住宅と同じ住宅について、注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入・賃貸住宅の新築の補助金の交付を受けることはできません」と明記されています。
期間と手続き
- 工事請負契約日:契約日は問わない。着工までに締結された工事請負契約が対象(契約前に着工した場合は対象外)
- 工事着手:2025年11月28日〜遅くとも2026年12月31日まで(予算上限に達した場合は当該時点まで)
- 交付申請の予約:申請開始〜遅くとも2026年11月16日まで
- 交付申請:申請開始〜遅くとも2026年12月31日まで
公式の注記では、工事着手とは「締結した工事請負契約に含まれる最初の工事に着手すること」であり、補助対象の工事に限定されないとされています。外構だけ先に始めた、という場合もそこが着手日になります。
締切は「遅くとも」であって、予算上限に達した時点で終了します。公式サイトも「お早めの申請をおすすめします」「締切は予算上限に応じて公表します」と記載しています。施主に「年内は大丈夫です」と言い切らないでください。
会社側の義務
登録事業者には、次の義務があると公式に記載されています。受注前に社内で確認しておく内容です。
- 経理書類の保管:補助事業に要した費用を他の経理と明確に区分し、帳簿と証拠書類を交付を受けた年度終了後5年間保存する
- 調査への協力:事務局が行う調査(住宅や事務所への立ち入りを含む)に協力する義務がある。拒否した場合、交付申請の却下・交付決定の取り消し・交付済の補助金の返還請求・他の補助金事業への交付申請の制限等の措置を受ける場合がある
- 財産処分の制限:交付を受けて取得した設備等は、処分を制限する期間を経過するまで、国または事務局の承認なく目的に反して使用・譲渡・交換・貸付・担保提供・取り壊しができない
まとめ
みらいエコ住宅2026事業のリフォームは、平成28年以前に新築された住宅が対象で、補助上限は住宅の新築時期と要件化工事の基準で40万円〜100万円です。金額の前に、トリガールームを1つ決められるかを確かめてください。居室であること、外皮に面する開口部を全部改修すること、その部屋の開口部を2025年11月27日以前に断熱改修していないこと。この3つが揃わないと、どれだけ工事をしても申請できません。
そして、窓の工事は原則として先進的窓リノベ2026事業が先で、その予算が尽きてからこの事業に切り替わります。どちらで申請するかによって施主にお渡しできる額が変わりますので、契約の前に各事業の公式サイトで最新の予算の消化状況をご確認ください。
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2026年度の住宅の補助金の全体像は2026年度に使える住宅の補助金|工務店が押さえる4つの制度と締切で、このコーナーのほかの記事は住宅補助金ガイドの記事一覧でご覧いただけます。
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