住宅省エネ2026キャンペーンは省エネの制度です。耐震は別の枠組みで、しかも制度の中心は国ではなく自治体にあります。そのため「耐震改修の補助金はいくらですか」という問いに、全国共通の答えはありません。市町村ごとに金額も要件も違い、同じ県内でも変わります。本記事では、耐震改修の補助を提案するときに必要な考え方と、その土台になる当サイトの記事14本をまとめます。
- いくら
- 自治体により異なる(全国共通の金額はありません)
- いつまで
- 自治体の年度ごとの募集による。予算に達した時点で終了する制度がほとんどです
- 誰が使えるか
- 多くの自治体で昭和56年5月以前に建築された木造戸建住宅が中心。耐震診断の結果が要件になることが一般的です
- 誰が申請するか
- 自治体により異なります。所有者本人が申請する制度が多いですが、事業者の登録を求める自治体もあります
- 何が要るか
- 耐震診断(補助がある自治体も多い)/申請の時期の確認(着工前の申請を求める制度が多い一方、工事の完了後に申請する制度もあります)
- 出典と確認日
- 下記は当サイトの公開記事です(2026-10-02 にすべて公開中であることを確認)。各制度の金額と締切は、必ず自治体の公式ページでご確認ください
耐震の補助が「自治体ごとに違う」理由
省エネの補助金と耐震の補助金は、お金の出どころと決め方が違います。住宅省エネ2026キャンペーンは国が制度を決めて全国一律で運用しますが、耐震改修の補助は、国の交付金を使いながら、要件と金額を市町村が決めます。
その結果、次のようなことが起こります。
- 隣の市では対象になる住宅が、自分の市では対象外になる
- 同じ県内でも、補助の上限の額が違う
- 耐震診断が無料の自治体と、自己負担がある自治体がある
- 年度の途中で予算に達して終わる
この違いがそのまま営業の難しさになります。「調べてからお返事します」を繰り返すと商談が止まります。自分の営業圏の自治体だけでも、制度の形を先に頭に入れておくことが差になります。

1. まず「旧耐震かどうか」を確かめる
多くの自治体の制度は、昭和56年5月以前に建築された木造戸建住宅を対象にしています。福岡県の木造戸建て住宅性能向上改修促進事業も同じ線引きで、さらに耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満であることを要件にしています。
施主から相談を受けたら、まず建築時期をお尋ねください。ここで対象かどうかがほぼ決まります。
2. 耐震診断の補助から入る

いきなり改修工事の話をすると、施主は身構えます。多くの自治体には耐震診断への補助があり、無料または少額の自己負担で診断できます。診断は、改修の提案の根拠になると同時に、施主との接点をつくる入り口になります。
3. 自治体ごとの制度の実例を知る
制度の形は自治体ごとに違いますが、よその自治体の事例を知っておくと、自分の営業圏の制度を読むのが速くなります。「こういう条件がよくある」という感覚が持てるためです。
- 2026年度の耐震改修補助金を活用する際の申請ポイント─姫路市の事例から学ぶ
- 福島市の耐震化促進事業を活用した改修工事――補助金申請から施工までの流れ
- 東京の木造住宅密集地域における耐震補強工事の課題と対策:工務店が知るべき施工困難地域への営業戦略
- 2026年度の耐震補助金を活用した木造住宅改修事業——自治体別の募集要項と申請のポイント
- 木造住宅の耐震改修で補助金を活用する―自治体別サポート制度の申請ポイント
4. 「補助があっても進まない」現実を踏まえる
耐震改修は、補助金があっても自己負担が残ります。高齢の所有者にとっては、残りの居住年数と工事費を天秤にかける判断になります。制度を説明するだけでは動きません。
ここで効いてくるのが省エネ改修との組み合わせです。耐震だけでは「いつか来る地震のため」の出費ですが、断熱を合わせれば今日から寒くない・光熱費が下がるという実感につながります。福岡県の制度が耐震改修と省エネ改修をひとつの事業にしているのも、同じ考え方です。
5. 解体・建替えという選択肢も持っておく
耐震診断の結果によっては、改修より建替えや解体のほうが合理的な場合があります。解体にも補助制度があります。改修一択で提案すると、施主にとって最善でない選択を勧めることになりかねません。
6. 契約と説明で揉めないために
耐震の話は、性能の表示をめぐる行き違いが起きやすい分野です。耐震等級を契約書に書くときの注意点は、事前に押さえておいてください。
7. 断熱とセットで提案する
旧耐震の住宅は、断熱性能も現在の基準を大きく下回っていることがほとんどです。壁を開けるのは一度で済ませたいというのが施主の本音でもあります。耐震補強と断熱改修を同じ工事にまとめられれば、足場代や仮住まいの費用も一度で済みます。
断熱側には、国の先進的窓リノベ2026事業(住宅1戸あたり上限100万円)とみらいエコ住宅2026事業(リフォームで1戸あたり40万円〜100万円)があります。耐震は自治体、断熱は国という組み立てで、施主にお示しできる総額が大きく変わります。
国の2つの事業は、交付申請の予約が遅くとも2026年11月16日まで、交付申請が遅くとも2026年12月31日までで、どちらも予算上限に達した時点で締め切られます(各事業の公式サイトで2026年10月14日確認・国土交通省の発表)。補助の上限額は先進的窓リノベ2026事業「事業概要」とみらいエコ住宅2026事業「リフォーム」の公式ページによります(2026年10月20日確認)。

調べる順番
耐震改修の補助を提案するときの順番をまとめます。
- 建築時期を確かめる(昭和56年5月以前かどうか)
- その市町村の耐震診断の補助を調べる(多くは無料または少額)
- 診断の結果(上部構造評点)で、改修・建替え・解体のどれを提案するか決める
- その市町村の改修補助の金額・要件・受付状況を、窓口に電話で確認する
- 断熱改修を同じ工事に組み込めるか検討する(国の制度が使えます)
- 申請の時期を制度ごとに確かめる(着工前の申請を求める制度が多い一方、完了後に申請する制度もあります。たとえば名古屋市の住宅等の脱炭素化促進補助は、令和8年度から「工事着工前」が「工事完了後」に変わりました)
4つ目は必ず電話でご確認ください。公式ページの更新が追いついておらず、すでに予算に達していることがあります。愛知県の名古屋市では、令和9年2月まで受け付ける予定だった断熱窓改修が、令和8年9月8日に予算到達で終了していました(名古屋市「令和8年度 住宅等の脱炭素化促進補助」)。耐震の制度でも同じことが起こります。
まとめ
耐震改修の補助は自治体ごとに違うのが前提です。全国共通の金額はありません。押さえるべきは3点です。
- まず建築時期と耐震診断。昭和56年5月以前かどうかで、ほとんどの制度の対象かが決まる
- 金額と受付状況は市町村の窓口に電話で確認する。ページの情報は遅れることがある
- 断熱とセットで提案する。耐震は自治体、断熱は国。合わせると施主にお示しできる総額が変わる
上に挙げた記事は、いずれも当サイトで公開しているものです。自分の営業圏の自治体を調べる前に、近い条件の事例を読んでおくと、制度の読み取りが速くなります。制度の内容は変わりますので、提案の前に必ず自治体の公式ページと窓口でご確認ください。
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